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2006.07.20

東京が世界の中心なのかも

 「東京が世界の中心なのかも」とか書くと釣りですか失笑とかなりそうだが、今週のニューズウィーク(日本版)7・26”さあ新メガロポリスの時代へ”を読むと、そんなことを考えさせられた。極東ブログ的な関心のスレッドで言うと、「極東ブログ: 進展する世界の大都市化」(参照)に続く。
 中心というのが最大規模を指すなら、「東京が世界の中心なのかも」ではなく、マジで中心としか言いようがない。先の記事の話から見るとこうなる。

ボストン・ワシントン・NY   5480万人
大東京圏  5470万人 
上海・南京   5050万人 
欧州低地地帯  5000万人
大ロンドン圏  4910万人 
シカゴ・ピッツバーグ  4500万人 
大ソウル圏  4300万人 

 ボストン・ワシントン・NY圏に東京が微妙に負けているけど、ほぼ同格だろう。地域的に見れば、日本の場合、これに中部日本(大阪・名古屋)3610万人がほぼ隣接するのだから、最強と言っていいのではないか。もっとも、大阪ですかの溜息は「極東ブログ: 夕張市自治体破綻、雑感」(参照)とか見るとあるが。
 それにしても、地方がなんだかんだとか言っても結局日本は大東京に国の人口の半分近く集約したことで、事実上最強のシフトを固めていた。傍の国から見ると、恐ろしい国だなという感じがするのではないか。ちょっとノドンを打ち込んでみたくなるくらい。この大東京で足りないのは、消費と若い人の活力か。でも、爺・婆パワーがそれを十分に補って席巻したりして……いや、これも案外マジで。日本人訳もなくみたく長生きしているし。


 日本は国というよりも、大東京圏を中心につながり合った巨大都市圏のようだ。地図を見ていると、日本の三つの主なメガロポリスが、人口1億人以上の巨大な一つのメガロポリスに思えてくる

 日本はこれから人口縮小にはなるが、クリティカルな領域にすぐ突っ込むわけでもないので、二十年スパンでこの構造が維持できるだろう。
 ニューズウィークの記事の議論のほうに戻ると。

 中国の経済は急成長しているが、繁栄しているのは国全体ではなく上海など東部の一部地域だけ。同様に、インドでハイテク産業が栄え、雇用が増えているのは、主にバンガロールからハイデラバードまでの限られた地域だ。
 世界の繁栄の原動力となっているのは国ではなく、活力に満ちた地域といっていい。

 この地域のようすがわかるように経済力を高山に見立てた地形図ができてそれが記事にも掲載されているのが非常に面白い。

 そこで私たちは新メガロポリスの世界地図を作ろうと考えた。人工衛星がとらえた画像を見れば、宇宙から見える地表の光で各地域の輪郭はわかる。そこに、人口や経済力などのデータを盛り込んで地図を作った。

 この地図は記事には一部掲載されているがネットにはないものか?
 いずれにせよ、世界の実態というのはこういうことなのかというのが一目でわかる。
 数字からは突出と地域内の分散がよく見えないが、例えば大ソウル圏といっても突出はなく実は韓国(南朝鮮)をほぼなだらかに覆っている。また、大ロンドン圏などもそれに近い。突出した集約度からすれば東京がダントツである。
 中国については、この一部の繁栄は他の部分の労働の流入で成り立っているのだから、それだけまだまだ余力があるともいえるし、それってマジこいて問題ではないかとも言えるかもしれない。いずれにせよ、国の割で考えていくと見えないことは多くなってきている。
 こうした巨大都市がイコール繁栄と消費かというとそのあたりは難しい。記事ではつまらんオチが付いているが本質的な問題というか、日本への課題でもあるのは、巨大都市が未来の富を産む構造になっているかということだ。
 「文化の中心地」みたいな与太話はさておき、新しい産業構造やエネルギー問題にこうした構造がどう対応するのだろうか。
 それ以前に、日本人がほぼ自覚してないのにこんなものを作り上げる日本の底力というのは、さらにその慣性というか延長として、何をもたらそうとしているのか。もしかして、出会い?

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「環境」カテゴリの記事

コメント

オジャマシテイマス。

>ちょっとノドンを打ち込んでみたくなるくらい。

思わず噴出して苦笑いしてしまいました。
いや、まことにその通り。(変な意味じゃなくってね

投稿: Nagarazoku | 2006.07.20 13:59

これは面白い分析ですね。とても興味深いです(^^)
繁栄するのは国(領土全体)ではなく、国家中枢都市
と貿易都市なのである、貿易都市と国家中枢都市が
重なるカルタゴのような都市は強大だ、というのを
都市国家論の本で読みましたけど、日本はまさに
現代の都市国家って感じがしますね。

カルタゴのように繁栄することは素晴らしいと思いますが、
末路がカルタゴみたいにならなければいいのですが(^^;
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%82%B4

投稿: kagami | 2006.07.20 19:56

ニューズウィークを立ち読みしてきたのですが、記事中の地形図は、人口規模ではなく経済規模を表したものだとありましたので、ここにその旨指摘しておきます。

投稿: another at hatena | 2006.07.20 23:34

出会い!
すばらしいオチ。

投稿: jiangmin | 2006.07.20 23:41

ただこういう弊害も生んでますね。
今年度アニメの放映本数地図と図表
http://d-paranoia.sakura.ne.jp/fa/anime/rank.html
http://www.d-paranoia.com/anime/anime.html
日本の各地方の疲弊は強烈なところまできていて、中にはここ数十年に築き上げたインフラと高い民度が崩壊仕掛けている地域までありますから。
アニメのこの日本図は、アニメは少しでも売れないと判断したらすぐさまその地域を撤退します。そういうことを何年か続けた結果です。
本当に東京圏のみに集中する結果になった。
雑誌の記事の詳細は知りませんが、少なくとも東京圏は誇らしい広がりではなく、むしろ日本が縮小している課程ではないと思います。
にしても、韓国の総人口は4500万人しかいないのに、43万人が一都市圏の中にあるって・・・

投稿: はわわ | 2006.07.21 09:43

世界広しと言えども 千年の長きに渡り都で有った都市は4つしか無いすです。今も都市として機能して栄えてる都市としては ローマ
パリ、イスタンプール、京都、の4都市だそうです。人口の多さで見たら そうなるのですか・・・。日本はコンパクトな大きさの割に
山、川、海、そして都市の発達が早くから集中してたのですねー。
東京遷都は国家の発展には寄与したのでしょう。都市インフラも一極集中でコストが安く上がるし、鉄道網の集中状態は石油価格高騰の時代には適合してるから、一概に「東京砂漠」とか「人工都市」とかの悪口も考慮しても 利便性、効率性、社会インフラ維持費の安易性も入れると、環境の方も工夫で乗り切れば人口が減少してる時代にも生き残れると思いました。

投稿: ようちゃん | 2006.07.21 11:40

大阪はバブルの負の遺産が大きいねぇ、
これを機会に膿を一掃せんといかんな。

投稿: 大阪人 | 2006.07.21 12:29

東京のど真ん中,っつーと吉祥寺駅前とかで
(ヘソ祭りの最中が良いな)
「おれは世界中のみんなを愛してる,本当だ,神様に誓っても良い.おれはみんなを愛してる,お前たちみんなを!」

と叫んで自爆テロしちゃったりすればまさにあの小説のようになりますか.宇宙のどこかにわたしの銅像が建つでしょう.
いえ,やりませんけど.

投稿: ネオ筑摩屋松坊堂 | 2006.07.21 22:07

>「文化の中心地」
秋葉原のヲタク
池袋のやおい
渋谷のコギャル

投稿: えの | 2006.07.22 08:44

「首都機能移転の掲示板」で共同管理人やっている杉山真大です。掲示板で紹介されていたのでやって来ました。
http://6400.teacup.com/0120320354/bbs

首都機能移転の議論を長らくやっていて気がついたのですけど、いわゆる首都機能移転の推進派って建前で価値観の多様化を訴えていながら、中心としての東京の役割を放棄することについては概ね否定的なんですよね。例えば、東京に経済的な中枢機能が集中したり専門家が集まっていたりすることについては認めていても、だからオフィスを規制しようとか東京大学を解体して人と知的資源を全国に分散しようという意見には反対する。で、首都機能移転をすれば良いんだという主張を何の根拠も無く主張している訳です。

そもそも東京一極集中が単一の価値観を生み出しているのなら、その最たるものの中心としての東京の役割を解体するということになるのは当然の帰結の筈なんですよ。その問題に何も手をつけないままでパワーエリートだけが別天地に移れば価値観が多様化するというのこそ、具体性の無い絵空事だと言うのは少しでもモノを知っていれば解ろうものですが・・・・・

投稿: 杉山真大 | 2006.07.22 21:48

みんな この写真を見たことあるかもしれないけど一応見て!http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/image/0208/earthlights02_dmsp_big.jpg

この夜景の写真を見ると
いかに東京やその他の都市がいつ頃に形成されて
それが どんだけ「特殊」な環境下にあるのヵ わかるョ

中世にできた道の上が そのまま光の道になっていて
それが 各都市に光が供給されていっているみたいだよネ

特に東海道・山陽新幹線路線図あたりのがビカビカ太くてグレイトだと思いました。
(なんで そこ が太いか想像しながら日本史の本を読みつつ・・)

地図の範囲を広げて 日本国外の光の道のできかたを見ると
本当にココの管理人さんがゆったことと同じになるね

アジア地域の光り方
日本という国から 西側に光の粒があふれているみたいに見えます(北朝鮮を除いて)

光の粒は なんだか偏西風が逆に吹いているみたいだ

投稿: 桎梏 | 2006.07.26 17:46

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受信: 2006.07.22 00:06

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