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sshd再起動時にssh接続が継続する動作について

公開日: : 最終更新日:2014/05/31 Linux, ssh, プロセス管理, 技術

Linux/Unixサーバにsshしている際、sshdを再起動したとする。
sshdは一度終了する訳だから、現在接続しているsshも切断されるかと思いきや、接続は継続する。
今まであまり気にしていなかったけど、この振る舞いについて調べてみた。

先ず、現象の確認から

対象サーバにssh接続し、sshdを再起動してみる。

$ ssh [email protected]    # 対象サーバに接続

$ hostname
centos1.example.jp

$ sudo service sshd restart
sshd を停止中:                   [  OK  ]
sshd を起動中:                   [  OK  ]

$ hostname
centos1.example.jp

sshdは一度停止されているにもかかわらず、対象サーバからは切断されていない。

プロセス構造から理由を探る

sshdプロセスの構成

先ず、sshdプロセスの構成を確認する。
この例ではサーバに対して同時に2ユーザが接続をしている状態である。

$ pstree -p #抜粋
init(1)─┬
        └─sshd(2592)
            ├─sshd(2602)
            │   └─sshd(2608)
            │       └─bash(2609)
            │           └─pstree(2671)
            ├─sshd(2630)
                └─sshd(2634)
                    └─bash(2635)

init配下にsshdのルートプロセス(2592)があり、個々のssh接続毎にsshdの子プロセス(2602と2630)が作成されている。
更にその下にsshd孫プロセスがあり、bashが起動されている。
bashにたどり着くまで、sshdルートプロセスを合わせて、3つのsshdが連なっている状態である。

再起動後のプロセス構造から分かること

ではsshdを再起動してみよう。 

$ sudo sshd restart
sshd を停止中:                   [  OK  ]
sshd を起動中:                   [  OK  ]

$ pstree -p  #抜粋
init(1)─┬
        ├─sshd(2602)
        │   └──sshd(2608)
        │        └──bash(2609)
        │             └──pstree(2712)
        ├─sshd(2630)
        │   └──sshd(2634)
        │        └──bash(2635)
        ├─sshd(2709)

init配下にぶら下がるsshdプロセスが3つになってる!
この結果から以下のことが分かる。

  1. 元々のsshdルートプロセス(2592)が消え、新たにsshdプロセス(2709)が立ち上がった
  2. ssh接続中のプロセス(2602、2630)は残っているが、親プロセスがinitに変わっている

 

つまり、再起動によって終了されたのはsshdのルートプロセス(2592)のみであり、子sshdプロセスは再起動対象外となっている。
個々のssh接続情報が保持されたプロセス(子プロセス)は生き残っているから、接続は切断されなかったのだ。

ちなみにこの状態から新たにssh接続を行うと、今回作成されたsshdルートプロセス(2709)の配下に新たにsshdのプロセスが立ち上がる。
また、生き残っていたsshd接続を切断すると、対応するinit配下のsshdが丸ごと消える。
新規の接続は再起動後のsshd(2709)が受け付け、既存の接続は、その接続が終了次第、無くなっていくのだ。

この状態でポート22をLISTENしているプロセスを調べてみると

$ sudo lsof -i:22 | egrep COMMAND¥|LISTEN
COMMAND  PID  USER   FD   TYPE DEVICE SIZE/OFF NODE NAME
sshd    2709  root    3u  IPv4  22206      0t0  TCP *:ssh (LISTEN)
sshd    2709  root    4u  IPv6  22208      0t0  TCP *:ssh (LISTEN)

となり、新規のssh接続を受け付けているプロセスは新たに立ち上がったルートプロセス(2709)であることが分かる。

もう少し突っ込んだ確認

以上の結果から、sshdのルートプロセスは新規接続の受け付けを行っていること、また、個々の接続情報はルートプロセスではなく、ssh接続毎に作られたプロセス上で保持していることが分かった。

今度はssh接続した状態で、自身の紐付くsshdルートプロセスを直接killしてみる。

$ pstree -p  #抜粋
init(1)─┬
        ├─sshd(2709)
            └──sshd(2845)
                 └──bash(2850)
                      └──pstree(2902)

$ echo $$
2850

$ sudo kill 2709  #sshdルートプロセスを直接kill!

$ pstree -p  #抜粋
init(1)─┬
        ├─sshd(2845)
            └──bash(2850)
                 └──pstree(3001)

ルートプロセスのみkillされ、子プロセスは生き残り、切断されなかった。
また、この状態からは、外部からのssh接続はできなかった。

なぜこのような振る舞いになるのか?

この現象はsshdの振る舞いと言うより、Linux/Unixのプロセス管理が関係している。

Linux/Unixでは親プロセスが死ぬと子プロセスは「孤児プロセス」として取り扱われる。
孤児となってしまったプロセスは即座にinitプロセスの配下に紐付けられ生き続けることができるのだ。
この動作をリペアレンティングと呼び、カーネルによって行われる。

従来、端末経由で接続し、各種コマンドを利用して作業を行う場合、親プロセスをkillした場合は子プロセスも同時に終了する動作となり、今回のsshdとは異なる振る舞いをする。
この違いはLinux/Unixのセッションやプロセスグループと呼ばれるプロセス管理の仕組みと、端末(ptsやtty)の仕様に関係している。

この辺もまた面白い話があるのだが、長くなりそうなのでまた次の機会にする。

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