大阪で増殖中という「キャベツ焼」の店。
先日のミーツ・リージョナルの大阪は天満取材のとき、「キャベツ焼」の店を見かけた。
お好み焼屋で取材のあと、つぎの店の取材の前に、腹ごなしもかね、堀川戎へ行こうと、環状線天満駅から天神橋筋商店街を南へ歩いていたら、あったのだ。ミーツの編集さんに聞いたら、いま大阪で増殖中とか。
見たところ、具がキャベツだけのお好み焼という感じだった。むかしからの呼び方なら、「一銭洋食」といったところらしい。
関東なら、どんど焼(あるいは、どんどん焼)になるか。そもそも、お好み焼と一銭洋食とどんどん焼の区別もさだかでない。具の量や種類で決めてよいものかどうか。
先日、埼玉県の行田が有名な、だけど行田でなくても、その近隣にはある「フライ」を食べた。これは、店によってちがいがあるが、おれが食べたのは、ネギらしいものがちょびっと入っているだけで、具といえるほどのものはない。揚げるのではなく、鉄板焼なのに「フライ」。おれの感覚では、どう見ても、どんどん焼だが、一銭洋食のようにソースで食べる。おなじ埼玉県の秩父では、呼び方が「お焼」になって、必ずしもソースを使うとはかぎらない。
料理法的にどう分類するかはともかく、ようするに、小麦粉食のあるところ、このテのものがある。あるにしても、それを、かくもハデに出店する動きは、なにやら昨今の「不況」なるご時勢の反映だろうか。
ど派手な赤い看板の下は、一間ほどの間口。焼いているまわりに6、7人が座れるイスがあって、空きがないほどつぎつぎと人が寄る。もちろん持ち帰りもありだ。
天神橋筋商店街は、大阪どころか、たぶん日本で一番長いアーケード商店街で、人通りも多い。その視線の中で、1個130円のキャベツ焼にかぶりつく人が絶えない。
かっこつけの東京じゃ、人目を気にして、こうはいかないだろう。それに、キャベツ焼一品だけじゃ、いくら安くても、展開は線香花火でおわるんじゃないかなあ、なんて考えて帰ってきた。
で、ネットで調べたら、この店は「キャベ焼グループ」といい、なんと、すでに東京のイトーヨーカ堂曳舟店に出店しているのだ。案内を見ると、「東京スカイツリー景気」に便乗しようというコンタンらしい。オシャレな都心ではなく、はずして曳舟というのも、心憎い。
それに、そばと玉子入りの新商品「キャベそば」250円も売り出している。
http://www.kyabetuyaki.com/about_kyabetsuyaki.html
うーむ、これは、やはり「大阪の商魂」というべきなのだろうか。あくまでも実質的に、安い方から勝負していく姿勢。うーむ。安いとはいえ、時代のオシャレ感覚のファストフードを意識してか、ファッショナブルに食べさせようという、ニクイ攻めも見られる。
それにしても、ど派手な看板。
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
藤本さん、校了、お疲れさまでした。
お世話になりました。ありがとうございました。
大阪へ行くと刺激的なことが多くて、いろいろブログに書きたいことがたまってしまいます。とりわけ今回のような取材では、「企業人」や「消費者」ではなく、まちに生きる姿と、たくさん出あえるのが、うれしいですね。
キャベツ焼、そのように増殖していたとは、まったく知りませんでした。それにしても、「家の下開いてるし、玄関端に寄せてたこ焼き屋やろか」といったノリではじめた、東京なら安直すぎて商売になりそうにないものが、短期に受け入れられ広がってしまうなんて、おもしろいです。
これ、「縁日的商売」というか、おでん屋にしても、屋台なノリの商売が大阪には多い気がします。
もうまた大阪へ行きたい気分です。
これからも、よろしくお願いします。
投稿: エンテツ | 2011/01/22 07:47
エンテツさん、無事に校了いたしました。
ありがとうございました。
やはり普段大阪に暮らしている我々と視点が違い、
取材後のブログを楽しく読ませていただいております。
キャベツ焼きをはじめて街で見たのは、7-8年前に
心斎橋商店街だったと記憶しています。
元々は、「家の下開いてるし、玄関端に寄せてたこ焼き屋やろか」ってな西成のおばちゃんが、お好みより軽いノリで始めたもののような。
それから5年前ほどにチェーンができて一気に増えましたが、
大阪人としては今ではやや辟易かつもうええやろ的ムードもありますね。淘汰がすっかりされた後なので、残っているところは頑張っているところなのでしょう。
実は取材当日、路地の一坪ぐらいの店で、年季入りまくりのおばちゃんがやっているキャベツ焼きの店があったのですが、当日はお休みでした。
そこも合わせて見ていただきたかったですね。
投稿: 藤本編集 | 2011/01/21 21:18