後輩「好きです、先輩」先輩「うん」
- 1 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:02:35.82 ID:UwC+1ExF0
- 先輩「それで後輩ちゃん、この曲だけど」
後輩「……またスルーですか」
先輩「何が?」
後輩「『好き』って」
先輩「あー。それでこの曲……」
後輩「」
先輩「ん?」 - 2 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:03:57.20 ID:UwC+1ExF0
-
後輩(弱小吹奏楽部に入部して、1年と半分)
後輩(人数も少ないし、大会も地区止まりだった)
後輩(中学から吹奏楽をやっていた私には、少し物足りない部活だけど)
後輩(私が続けてきたのは……)
後輩「えっと、で、何でしたっけ?」
先輩「ここ。2ndの方吹いてくれる?」
後輩「わ、わかりましたっ」
後輩(この人が、いたから) - 3 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:05:51.27 ID:UwC+1ExF0
-
先輩「ごめんね、迷惑かけてばっかり」
後輩「い、いや、こちらこそ、1年生を入れられなくて」
先輩「ううん、後輩ちゃんがいてくれれば、私はそれで」
後輩「先輩……」
先輩「じゃあ、パート練習、しよっか?」
後輩「はい!」
後輩(花形と言われるトランペット、なのに、先輩と私の二人きり)
後輩(最初は、一人きりのこの人を放っておけなかっただけ)
後輩(でも気づいたら、落ちてた)
- 4 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:06:54.26 ID:UwC+1ExF0
-
先輩「成功すると良いね、文化祭のステージ」
後輩「そうですね、って、え!?」
先輩「どうしたの、急に立ちあがったりして」
後輩「文化祭ってことは、先輩、引退じゃないですか!?」
先輩「い、今更ね」
後輩「だって嫌です、先輩が引退なんて」
先輩「私が引退したら、後輩ちゃん一人だものね」
後輩「そうですけど、ですけど」
先輩「頑張ろうね」
後輩「……はい」
後輩(文化祭まで、あと一か月、か……)
- 6 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:09:18.88 ID:UwC+1ExF0
-
――文化祭3週間前
後輩「好きです、先輩」
先輩「今日は合奏だ!」
後輩「…………」
先輩「チューニングしなきゃ後輩ちゃんに怒られちゃうもんね、ふふっ」
後輩「……はい」
――文化祭2週間前
後輩「好きです、先輩」
先輩「うーん、ここのメロディー、もっと大きく吹かなきゃ、だよね?」
後輩「……はい」
後輩(どうして……?) - 7 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:13:37.99 ID:UwC+1ExF0
-
――文化祭1週間前
後輩「好きです、先輩」
先輩「来週の今日は、文化祭だね」
後輩「…………」
後輩「そうですね」
後輩(告白をスルーされるのにも慣れた)
後輩(でも、今日こそ……)
後輩「先輩!」
先輩「ん?」
後輩「す、好き、です!」
先輩「…………」
後輩(き、聞いてもらえた……?)
先輩「えっと、譜面台持って来なきゃ」
後輩「…………」
後輩「……はい」
後輩(何で聞いてくれないんだろう)
後輩(そんなに、私のことが嫌いなの?) - 8 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:17:52.42 ID:UwC+1ExF0
-
部長「どうしたの、後輩」
後輩「部長!」
部長「最近ずっと、悩んでるでしょ」
後輩「えっ、何で」
部長「見てたらわかるよ、そんなの」
後輩「……」
部長「聞こうか」
部長「そんな顔でステージ乗られるの、嫌だし」
後輩「す、すみません……、でも」
部長「うちのこと、信用できない?」
後輩「……いいえ、でも」
部長「じゃあ、部長権限。話しなさい」
後輩「部長……」
後輩「……実は」
- 9 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:21:25.41 ID:UwC+1ExF0
-
後輩「……というわけで」
部長「まあ、知ってたけどね」
後輩「えっ」
部長「後輩わかりやすいから」
後輩「じゃあ何で話させたんですか……」
部長「面白いから、かな?」
後輩「…………」
部長「嘘よ、嘘だから、そんな顔しないで」
後輩「す、すみません……」
- 10 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 18:27:11.21 ID:UwC+1ExF0
-
部長「で? 後輩は、どうしたいの?」
後輩「私は……」
後輩(どうしたい?)
後輩(先輩に毎日、好きって伝えて)
後輩(付き合いたい?)
後輩(それも何か、違う気がする)
後輩(でも、好き、先輩が好き)
後輩(わからないけれど、でも)
後輩「私は、先輩と、ずっと一緒にいたい」
部長「それ、ちゃんと言ってあげたほうが良いんじゃないかな?」
後輩「え? 私今、何て?」
部長「頑張ってね、後輩」
後輩「あの、よくわからないんですけど」
部長「ううん、もう大丈夫」
部長「あとは、あなた次第よ、後輩」 - 11 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 20:06:55.75 ID:UwC+1ExF0
-
――文化祭2日前、夜
後輩(あれから、私は先輩に好きって言うのをやめた)
後輩(というより、何故か言えなくなってしまった)
後輩(でも先輩は普段通りで、何も気にしてなくて)
後輩(先輩が一人になるのは可哀想だからってやってた部活だけど)
後輩(先輩は私を必要としてたわけじゃないのかな)
後輩(むしろ、私が先輩を必要と……)
後輩「…………」
後輩(これで最後にしよう)
後輩(メール……部活の話以外でするの、久しぶりだな)
後輩『先輩、好きです』
後輩「…………」
後輩「……やっぱやめよ」 - 12 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 20:17:27.55 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(この1週間、後輩ちゃんが好きって言わなくなった)
先輩(やっぱり、無視し続けたから?)
先輩(嫌われちゃったかな)
先輩(…………)
先輩(引退したら後輩ちゃんと会うこともなくなる)
先輩(卒業したら、もっとだ)
先輩「……あれ、おかしいな、何で泣いてるんだろ」
先輩「変なの」 - 13 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 20:32:40.10 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(後輩ちゃんが入部したとき、私は一人でトランペットを吹いていた)
先輩(先輩方二人が引退してから半年、一人だった)
先輩(だから後輩はほしかった、でも……)
――
先輩『よろしくね……?』
後輩『先輩一人でやってるんですか?』
先輩『うん……』
後輩『そうですか』
先輩(何か話題を……)
先輩『い、いつからトランペットやってるの?』
後輩『中1からです』
先輩『そ、そうなんだ……』
先輩(私よりも長い……)
――
先輩(自分より楽器歴が長くて)
先輩(いつも何だか不機嫌そうで、怖かったな)
- 14 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 20:47:27.32 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(ピッチが合わないときはにらんでくるし)
先輩(未だに高音は後輩ちゃんの方が出るし)
――
先輩『こ、後輩さん?』
後輩『先輩、何でさん付けなんですか、私のこと』
先輩『や、その、礼儀正しくいこうかなぁ、って……?』
後輩『そういうの、いらないんで』
先輩『は、はい……』
後輩『だから、そういうの。いらないです』
先輩『……うん』
――
先輩(いっそ先輩と呼ばせてください)
先輩(そう思ったことは数え切れないほど……) - 15 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 21:09:54.96 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(後輩ちゃんは私のことを、先輩って呼んでいた)
先輩(あの頃は、「こんな下手な奴のことを先輩って呼びたくない」って思っているんじゃないかって疑っていた)
先輩(あの子の本心、全然わかんなくて)
先輩(耐えられなくて)
先輩(それで……コンクールのソロ、あげたんだっけ)
――
後輩『何でですか、先輩が吹けば良いのに』
先輩『後輩さんのほうが上手い、から……』
後輩『…………』
後輩『わかりました、吹きます』
――
先輩(あのときは、それで良いと思っていた)
- 16 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 21:29:29.34 ID:UwC+1ExF0
-
後輩(先輩を好きになったの、いつだっけ?)
後輩(……いや別に、もう好きとか言う気ないけど)
後輩(あ、思い出した)
後輩(私が1年で、先輩が2年で)
後輩(コンクールのソロを吹くことになったとき……)
――
放課後、音楽室
3年生A『後輩って、何で1年なのにソロ吹くの?』
3年生B『調子乗ってるよね』
3年生A『まあ、ちょっとは上手いかなって思うけどー』
後輩(……聞こえてるんですけど)
後輩(毎日毎日、よく飽きないよね)
後輩(あんたたちより絶対、私の方が練習してるし、楽器歴も長いし、上手いし)
後輩(……でも、最近外すこと多いから、何とも言えない)
――
- 17 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 21:48:29.98 ID:UwC+1ExF0
-
――
朝、音楽室
後輩(……昨日も外した)
後輩(もうコンクール近いのに……)
後輩(朝練では、吹けるのに)
後輩(合奏では吹けなくなる……)
後輩(あ、今日は朝練、一番だ)
後輩(いつもは先輩いるのにな)
後輩(…………)
後輩(何で今日は外すんだろ)
後輩(いつも、朝練のときだけは上手くいくのに)
後輩(コンクール近いのに)
後輩(もう一度、楽譜を見直そう)
3年生A『後輩、また昨日も外してたよね』
3年生B『調子乗ってたツケってやつかな?』
3年生A『でもぉ、うちらのコンクールつぶされたら困るっていうかぁ』
3年生B『わかるー、それなー!』
後輩(何でいるの……!?)
後輩(いつも朝練なんか来ないくせに……)
- 18 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 21:57:04.64 ID:UwC+1ExF0
-
3年生A『中学から楽器やってたとか言うけど』
後輩(うるさい……)
3年生B『ほんとにねー!』
後輩(うるさ……)
3年生A『でもさあ』
後輩(うる、さ……)
3年生B『わかるー』
後輩(うるさい……う、るさ、い)
後輩(……うるさい…………)
後輩(うるさい)
後輩(うるさい)
後輩(…………)
後輩(たすけて……)
後輩(せんぱ、い……) - 19 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 22:09:48.29 ID:UwC+1ExF0
-
3年生A『後輩なんか消えちゃえば良いのにー』
先輩『……今、何と言いましたか』
3年生A『あれー、先輩ちゃんいつからいたのー?』
3年生B『おはよー、朝練なんてえらいねー』
先輩「何と言ったかって、聞いてるんです!!!」
3年生A『……は?』
3年生B『何怒ってるの? 先輩ちゃんだって、ソロとられてウザくないの? あいつ』
先輩『そんなことはどうだって良い!!』
先輩『後輩ちゃんは! 私の!』
先輩『大切な後輩だから!!!』
3年生A『……うわめんどくさ、行こ』
3年生B『意味わかんない……』 - 20 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 22:22:39.70 ID:UwC+1ExF0
-
後輩『……先輩』
先輩『ごめんね、後輩ちゃんごめんね』
後輩『何で先輩が泣いて……』
先輩『私が頼りないから、私が2年生だから』
後輩『先輩、先輩ちょっと』
先輩『気づけなくてごめんね』
先輩『こんなことなら、私がソロ吹いてれば良かった』
先輩『やめても良いよ、全部』
先輩『私は一人でも大丈夫だから』
先輩『ごめんね、ごめんね』
後輩『…………』
後輩『……やめませんよ』
先輩『え……?』
後輩『先輩なんか! 泣き虫で、へたれで!』
後輩『わ、私より、下手なくせに!』
後輩『一人で大丈夫とか、言わないでくださいっ!!』
- 21 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 22:37:12.75 ID:UwC+1ExF0
-
先輩『ご、ごめ……やっぱり下手だよね』
先輩『頼りないよねやっぱり……』
後輩『違う、私知ってます』
後輩『先輩、練習頑張ってます』
後輩『2年目にしては、上手いですし』
後輩(……そんな言い方したいわけじゃない)
後輩(私を守ってくれた先輩が、私は……)
後輩『す、好きです、先輩!』
先輩『……うん?』
――
後輩(……あれ?)
後輩(何で私、そこだけ口に出したんだ)
後輩(一緒に頑張りたいとか、守ってくれて嬉しかったとか)
後輩(…………) - 22 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 22:57:39.57 ID:UwC+1ExF0
-
後輩『好きです、先輩』
先輩(そう言われ続けて、もう1年以上経つ)
先輩(最初はあのコンクールの前)
先輩(あのときから、後輩ちゃんのこと、守らなきゃって思うようになった)
先輩「懐かしいなー……」
先輩(そりゃあ、最初は「告白された、どうしよう」って思ったよ?)
先輩(でもあの子、毎日言ってくるんだもの)
先輩(どうして良いかわからないまま、半年過ぎて、1年過ぎて)
先輩(後輩ちゃんが好きって言ってくれるの、日常になって)
先輩「…………」グスッ
先輩「……引退、かぁ」
- 23 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 23:29:08.88 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(後輩ちゃんの好きって)
先輩(どういう意味だったんだろうな……)
後輩(私の好きって)
後輩(何だったんだろう……)
――
コンクール後
後輩『銅賞、でしたね』
先輩『あ、でも、後輩ちゃんのソロ、褒められてるよ』
後輩『本当だ!』
後輩(あのとき、先輩が守ってくれたから)
後輩(そんな先輩に感謝してるし、私は本当に……)
後輩『先輩好きです!』
先輩『え? うん?』
――
3年生引退後
先輩『ふぅ、やっとあの人たちと離れられた』
後輩『え?』
先輩『後輩ちゃんが泣かないように私が守らないと』
後輩『何言ってるんですか、泣いてたの先輩ですよ』
先輩『そうだけど、でもー』
後輩(へたれのくせに、あんなときだけ強気になって)
後輩(結局泣いちゃうし、でも私は……)
後輩『先輩好きです』
先輩『あ、ありがと?』
――
後輩(……あれ?) - 24 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 23:42:31.99 ID:UwC+1ExF0
-
後輩(今年に入って、先輩好きだなって思うようになった)
後輩(好きの意味はよくわからなかったけれど)
――
新年度
先輩『1年生入ると良いなぁ』
後輩『え?』
先輩『ほら、後輩ちゃんもそう思うでしょ?』
後輩『いや、私は……あの、私は』
後輩『私は、先輩と二人きりが良いかなぁって……?』
先輩『……』
後輩『先輩のこと、好きだから……』
先輩『…………』
先輩『えー何言ってんのー?』
先輩『可愛いこと言うなんて後輩ちゃんらしくないなあー』
――
後輩(先輩は、好きって言っても聞いてくれない!)
後輩(そう思っていた、でも)
後輩(もう1年も好き好き言い続けてるのか)
後輩(そりゃあ聞かなくもなるわ……)
後輩(…………)
後輩(……何か恥ずかしくなってきた) - 27 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/04(土) 23:53:13.90 ID:UwC+1ExF0
-
先輩(後輩ちゃんは、私のことどう思っていたんだろう)
先輩(……ううん、違う)
先輩(私は、後輩ちゃんのこと)
先輩(どう、思ってたんだろう)
先輩(…………)
先輩(寝よう)
- 28 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 00:05:34.39 ID:EHbnRPww0
- ――文化祭前日、朝
後輩「おはようございます、先輩」
先輩「おはよ」
後輩「……」
先輩「……」
後輩(何で平気で毎日好き好き言えてたんだろう)
先輩(今日も言ってくれないのかな、好きって)
後輩「…………」
先輩「…………」
後輩(恥ずかしい)
先輩(何となく、嫌われてるわけではないと思うんだけど)
後輩「………………」
先輩「……こうやって朝練するのも、明日で最後かぁ」
後輩「…………」
後輩「……そうですね」
- 29 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 00:21:04.15 ID:EHbnRPww0
-
先輩「ねぇ後輩ちゃん?」
後輩「何ですか?」
先輩「後輩ちゃん、好き」
後輩「……え?」
先輩「って最近言わなくなったよね」
後輩「……はぁ」
先輩「何で?」
後輩「何でって……」
先輩「なんでー?」ニコニコ
後輩(うっ……)キュン - 30 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 00:25:58.62 ID:EHbnRPww0
-
後輩「な……」
後輩「何ででも良いじゃないですか……!」ダッ
先輩「あ、後輩ちゃ……」
後輩(先輩のバカ……)
先輩(あれー、おっかしいなー)
先輩(もう後輩ちゃんをいじめる人もいないしなあ) - 31 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 00:40:42.48 ID:EHbnRPww0
-
――昼休み、教室
部長「何? 後輩が好きって言ってくれない?」
先輩「うん」
部長「そもそも毎日言われてたんだ?」
先輩「あー、うん」
部長「で、お前はどうしたいわけ?」
先輩「後輩ちゃんが変なのは嫌だなーって」
部長「毎日好きって言われるのも変だとは思わないのか」
先輩「慣れって怖いよね」
部長「本当に慣れたの?」
先輩「……え?」
部長「まあ、そういうことでしょ」
先輩「…………」 - 32 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 01:04:05.00 ID:EHbnRPww0
-
――音楽室
後輩(昼練、先輩来ないなぁ)
後輩(……来ても困る、けど)
先輩「いた」
後輩「!?」
先輩「ねぇ後輩ちゃん」
後輩「何ですか?」
先輩「ううん、何でもない、楽器吹いてくる」ニコニコ
後輩「……??」
先輩(慣れたっていうのも嘘じゃないと思う)
先輩(正しく言うなら)
先輩(ずっと、このままで……)
先輩(……明日引退だった) - 33 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 01:29:29.68 ID:EHbnRPww0
-
――放課後
先輩(最後の合奏練習が終わった)
先輩(皆は引退だ引退だ言ってるけど)
先輩(私は、引退そのものは)
先輩(どうも思ってない……んじゃないかな?)
後輩(やっぱり最後に、聞いてほしい)
後輩(もう一回、好きって)
後輩(……言いたい)
後輩「先輩、好き……」
先輩「うん、知ってる」
後輩(あ、口に出しちゃった)
後輩(って、え?)
先輩「後輩ちゃんが私を好きなの、知ってるよ」 - 34 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 01:56:30.79 ID:EHbnRPww0
-
――帰り道
後輩「……」
先輩「何で黙ってるの?」
後輩「先輩と一緒に帰るの初めてだから、変な感じだなって……」
先輩「6回目だよ」
後輩「……すみません」
先輩「うん」
後輩「……」
先輩「後輩ちゃんって面白いよね」
後輩「何がですか」
先輩「好きだよ、後輩ちゃん」
後輩「……明日、良いステージにしましょうね」
先輩「……え? スルー?」 - 35 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:02:41.09 ID:EHbnRPww0
-
先輩「ねぇ後輩ちゃん」
後輩「何ですか」
先輩「どういう意味だったの?」
後輩「何のですか」
先輩「好きって」
後輩「…………」
後輩「あー、私もとうとう一人かぁ」
先輩「スルーはさせない」
後輩「私のは何度もスルーしたくせに」 - 36 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:10:37.22 ID:EHbnRPww0
-
先輩「だって仕方ないじゃない」
先輩「後輩ちゃんのこと、怖かったし」
後輩「そうなんですか?」
先輩「うん」
後輩「じゃあ、先輩の先輩と、どっちが怖かったですか?」
先輩「私の1個上ってこと?」
後輩「はい」
先輩「うーん、どっちだろ」
先輩「後輩ちゃんがいなくなっちゃうほうが、怖いかな」
後輩「答えになってないですよ、それ」
先輩「なってるよ」
- 37 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:17:03.27 ID:EHbnRPww0
-
先輩「ねぇ後輩ちゃん」
後輩「何ですか」
先輩「好きだよ」
後輩「……」
後輩「それはどういう意味で?」
先輩「わかんない」
後輩「……」
- 38 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:19:11.78 ID:EHbnRPww0
-
先輩「ねぇ後輩ちゃん」
後輩「何ですか」
先輩「好きって言って」
後輩「それはどういう意味で?」
先輩「どうでもいいよ」
後輩「えっ」
- 39 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:37:04.82 ID:EHbnRPww0
-
先輩「意味とか、どうでも良いよ」
先輩「私がいて、後輩ちゃんがいて」
先輩「後輩ちゃんがいて、私がいて」
先輩「すごく、しあわせだったから」
先輩「これからもずっと、後輩ちゃんに好きって言われたい」
先輩「だめかな、そんなの」
後輩「……」ウルッ
後輩「先輩、す――」
先輩「で、どういう意味の好きだったの?」
後輩「は?」
- 40 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 02:58:16.70 ID:EHbnRPww0
-
後輩「意味なんてないですぅ」
先輩「ごめん」
後輩「意味なんてどうでも良いんですぅー」
先輩「ごめんってば」
後輩「毎日好きって言ってやりますからぁ?」
先輩「すみませんでした」
後輩「ううっ……」ポロッ
先輩「……え?」
後輩「う……うぅ……」グスグス
先輩「え? え?」 - 41 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 03:44:59.92 ID:EHbnRPww0
-
後輩「私のこと、助けてくれて」
先輩「うん」
後輩「後輩にしてくれて」
先輩「うん」
後輩「練習熱心で」
先輩「うん」
後輩「ずっと一緒にいた先輩が」
先輩「うん」
後輩「私は、大好き」
先輩「要するに、一緒にいたいってこと?」
後輩「……うん」コクッ - 42 : ◆Vb6AI4SFDA 2014/01/05(日) 03:56:59.47 ID:EHbnRPww0
-
――文化祭
先輩「最後のステージだ」
後輩「先輩」
先輩「ん?」
後輩「好きです」
先輩「私も」
(終) - 43 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/05(日) 08:59:19.59 ID:jSzWCaq+o
- 乙
転載元
後輩「好きです、先輩」先輩「うん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388826155/
後輩「好きです、先輩」先輩「うん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388826155/
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