MPを守る方法・社会人編

 f:id:eiki_okuma:20170718181533j:plain

 人には、HPとMPがある。ゲームの話ではない。現実の話だ。
 朝起きたり、モノを運んだり、長時間歩いたり、そういうことを担うのはHPであり、体力だ。一方で仕事の能率を増したり、モノを考えたり、精力的に副業を行ったりするのに必要なのはMPであり、精神力である。

 現代社会において、MPを磨耗する手段はあまりにも多い。上司や人間関係、通勤の満員電車、じめじめした天候や気温・気圧の変化、免許の更新や役所での手続きなどの事務作業、身内の不幸など、ありとあらゆる日常の事象が人々の精神を蝕んでいく。

 f:id:eiki_okuma:20180703143649p:plain

 しかし、人が人として生活を豊かにするには、MPが必要不可欠だ。創作活動を行ったり、旅行に行ったり、勉強をして資格を取ったり、投資を学んだり、ゲームの大会に出たり、ブログやSNSで情報を発信したり、バイタリティ溢れる活動はきっとあなたの人生を楽しくさせてくれるし、そのこと自体があなたのMPを回復する好循環を生むだろう。

 社会人よ、MPを守れ。社会人*1でありながら創作活動をなんとか維持してきたぼくが自分なりに見つけた方法論をここにいくつか記すので、いくらかの助けになれば幸いである。

 

メリハリをちゃんと付ける

 人の精神力をもっとも奪っていく行為とは、何かを「ズルズルやる」ことだ。残業をズルズルと続ける、ついスマホを見ながらゆっくり食事してしまう、誘われるままに酒を飲んでしまう、休日は寝れるだけ寝てしまう。これらの行為は全部MPにとっての大敵である。

 メリハリこそが、エネルギーを生むための極意だ。具体的にぼくが実践していたことを挙げてみる。

  • 一日一時間ずつ残業するのではなく、残業する日としない日を作る。もっといえば残業はしない。
  • 飯や風呂の時は「情報」から離れる。これは時間的にも、精神的にも良い。
  • 不要な飲み会は避ける*2。また、当日の召集には応じない。
  • 休日はちゃんと時間を決めて起きる。睡眠時間を延ばすより、睡眠の質を高める。
  • 家事は効率化する。買出しはまとめる。外を出ない日は意地でも外に出ない。「外に出る支度」もコストが高いからだ。MP的には外食より自炊の方が良い。*3
  • 遊びの時間と作業の時間をきちんと分ける。遊びの日を作ってもいい。

 勿論いきなり全て始めるのは難しいし、上の具体例に従う必要はない。世間の偉い人は自分なりのルーチンを作っている(朝五時に起きたり、同じ服を何着も持ってたり)ので、それを真似してもいいし、自分なりに最適化しても良い。とにかく、重要なのはメリハリである。メリハリを生み出すためだったら何でもするべきである。

 

会社の徒歩圏内に住む

 f:id:eiki_okuma:20180703145426p:plain

 通勤は著しくMPを消耗する。

 徒歩圏内、あるいは自転車圏内に住居を構えることは最もオススメすることの一つだ。自転車で10~20分程度ならなお良い*4。これは普段から電車で通勤していると自覚しにくいのだが、朝早くから電車の時刻表を気にかけ、複雑な駅構内を競歩並のスピードで歩き、99%赤の他人で構成された人間の渦をもがいて進んでいく、これらの行為は非常に精神衛生上よくない。まるで地獄だ。

 純粋に時間で比べても徒歩と電車では大きく違う。一度 Door To Door で通勤時間を計測してみればわかるが、意外と駅から会社、駅から家、あるいは駅構内や乗換え待ちで時間というものは消費されている。自転車で10分の距離なのに、電車で行くと20分くらい掛かるなんてこともザラだ。言わずもがなだが、電車で一時間の距離に住むなんて行為は言語道断である。
 人が通勤列車にぶち込まれる理由は大体以下の通りだ。

  • 会社の近くに住むと不便
  • 会社の近くは家賃が高い
  • 実家から通える
  • 住む町にこだわりがある
  • タワマンを買ってしまった
  • 家族がいるので郊外のファミリー物件が必須

 下に行くほどどうしようもないこともあるのだが、もしあなたがまだ若く、理由が上から三つ目までくらいなら、とにかく住居を会社の近くに構えてみるべきである。自転車通勤のストレスフリーさはマジで人生が変わる。

 

美味しいものを食べる

 f:id:eiki_okuma:20180703151704j:plain

 給料の大半は迷惑料である。これは、ぼくの元上司が教えてくれた至言の一つだ。

 つまり、会社という組織の中で受けるあらゆるストレスの代価として、金銭的に補償しているものなのである。ならば、あなたはこれを使うべきである。将来に向けて大半を貯金しようものなら、ついでにストレスも貯金してしまうのだ。

 お金の使い道は様々だが、手っ取り早いものとしては、美味しいものを食べるのが一番である。日本では基本的に高い金を出せば美味しいものが食べられるということがある程度(ハズレもあるが)保証されている。いい肉、いい寿司、一ヶ月に一度でも良い。自分を労ってあげることが大切だ。

 f:id:eiki_okuma:20180703152549p:plain

 それはあるいは服でも旅行でも良いのだが、とにかく自分に返ってこないと、まるで何時間費やしても僅かな恩恵しか得られないネットゲームのエンドコンテンツのように、働くたびにどんどん精神力が削られていってしまう負の循環が生まれる*5。給料は現金のままではただの経験点である。ちゃんと経験点を使ってレベルアップしよう。

 

インプットを多くする

 f:id:eiki_okuma:20180703153101p:plain

 仕事というのはクリエイティブであろうがなかろうが、基本的にアウトプットを前提とする。そして人間は、アウトプットばかりしていると枯れる。

 常識的に考えて、一週間のうち殆どの時間を会社で過ごしているわけだから、圧倒的にアウトプットの時間の方が長い(もちろん、業務中にインプットする機会も多少はあろうが)。かつ、ここから更に兼業的にアウトプットをしていくのだから、我々は意識的にインプットを行う必要がある。

 例えばゲームクリエイターにありがちなのが、自分がゲームを作っているからといって他のゲームをプレイしなくなってしまうケース(特にゲーム会社勤めに多い)。ゲームクリエイターにとって他社のゲームを遊び、システムやデザインのトレンドを知ることは基礎研究である。四六時中遊び続ける必要はないが、最低限の知識は常にアップデートしていかないと、取り残されてしまう*6。これはイラストレーターでも、小説家でも、ITエンジニアでも、或いは営業マンであろうと同様だ。
 敵を知り、己を知るべし。孫子にもそう書かれている。 

 

イベントやコミュニティに参加する

 f:id:eiki_okuma:20180704134155j:plain

 クリエイターならコミケや展示会。エンジニアなら勉強会や懇親会、資格や投資ならセミナーや講習会など、探してみると案外イベントというものは多い。最近は業界最大手が勉強・交流を目的に開催するケースも増えてきている。これらイベントやコミュニティに参加するメリットは次の通り。

  1. 最新の知識・トレンドを吸収できる
  2. 同じ思いを抱えている人と知り合うことができる
  3. イベントの空気に触れることでモチベーションが上がる
  4. クリエイターの場合、イベント合わせで進捗が捗る
  5. 旨い酒が飲める

 趣味の活動といえど、一人きりで孤独に続けることは難儀である。同好の士を見つけ、ともに切磋琢磨することは、知識の面でも、モチベーションの面でも大いに助かるだろう。展示会や勉強会への参加を第一歩に考えるのも良い。あるいは、ゆくゆくは自分自身が壇上に立ち、講演することもとても勉強になるものだ。とにかく、昔と比べてイベントやコミュニティは益々洗練され数も増えてきているので、ここに参加しない手はないはず*7。

 

MPの循環を意識する

 冒頭で述べたように、消耗から守られたMPで創作等の活動を行えば、それ自体もあなたのMPを満たしてくれる。MPは循環するのだ。このポジティブな螺旋に一旦入ってしまえば、多少会社でげんなりすることがあっても、精神を健全な状態に保つことができる。

 f:id:eiki_okuma:20180705175926j:plain

 一方で、会社にすっかり気力を吸い取られてしまい、精神も行動も内側へ潜ってしまうと、負のスパイラルに陥ることがある。現代に生きる社会人の多くはこの状態に囚われていると言ってもいい。そこから抜け出すには、きっかけが必要だ。環境を変える、生活スタイルを変える、外に目を向けてみる。上で挙げた具体例は、その第一歩となりえるだろう。

 

まとめ

 通勤を改善し、オンとオフのメリハリを付け、空いた時間でインプットを増やし、外の世界に目を向け、志を同じくする人たちと旨い飯を食べる。全ては数珠のように繋がっている。その最初の一歩は、どこから始めても良い。

 あなたがサラリーマンとして精力的に働きたい場合でも、さっさと会社を辞めて独立したい場合でも、MPを健全な状態に保ち続けることは、きっとプラスに働くだろう。そして、あなたの夢中になる何かが、きっとまた世の中を少しだけ良くするのである。

 レッツMP生活。

 

 

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2006/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 156人 クリック: 3,495回
  • この商品を含むブログ (418件) を見る
 

人と世の中の見方を少しだけ変える本。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

これは劇薬の類。脳でしっかり呑み込めれば人間関係の形は180度変わる。

 

さ、洗い流そ。……おっと、違う CM だった。

 

 

*1:だった頃

*2:まあ、会社の飲み会が週2とかであるなら仕方ないのだが……

*3:更に徹底するなら、自動掃除機と食洗機を完備するとなおよい。自分はできなかったが。

*4:バイクや車でも電車よりはマシなのだが、徒歩・自転車に比べて公道で他の車を気にしないといけない分、精神負荷は大きい。

*5:まあ、ごくまれに通帳の残高を見ているだけで満足してモチベーションを維持し続ける奇特な人もいるわけだが……そういう人にはそもそもこの記事すら必要ないだろう。

*6:自分が会社勤めだった頃も、滅多にゲームをプレイしないと吹聴している人はよくいたが、彼らの思いつくアイデアは大体他のゲームで採用されているシステムの劣化だった。

*7:言わずもがな、詐欺的なモノには注意。