アプリ開発者を追い込むモンスターレビュア|お客様は神ですか、それともモンスターですか
2013年06月08日 公開
モンスターレビュアーという新しい生態系をもった生物がいます。
それはアプリ開発者を追い込み、そして根こそぎやる気を奪い、最後には何事もなかったかのように去っていく。
今回はiPhoneアプリ開発者の方々からお聞きした、モンスターレビュアーをご紹介します。
値段を下げればののしられ、値段を戻せば罵倒される
iPhoneアプリ開発において、一般的には最初のリリースで適正価格をだし、そこから一定期間値段を下げます。
この理由は明確でして、最初に価格を値下げ、もしくは無料にすることで、アプリをダウンロードランキング上位まで引っ張り上げることが目的となります。
- まずダウンロードしてもらう
- 多くの人に使ってもらう
- レビューしてもらう
- 評価してもらう
- こんな糞アプリに高いカネ払ったのに3日で値下げとか金返せ→☆1つ
- 昨日買ったが、なぜ無料にする告知を出さないんですか?詐欺?→☆1つ
しかし、貧乏神の方々は、自分と他人が別々の価格を支払ったことが気に食わない為、それを理由にアプリの評価を下げようと努力します。
しまいには、昨日買おうとして今日値下げが終わった事に気づかず「無料と思って買ったら有料だったので金返せ」というわけのわからない事を、アプリを評価する場で平気で☆一つをつける人までいるという。
適正価格評論家「無料にするべき」
アプリの評価の一つとして、そのアプリの適正価格がいくらなのかというのを適正に判断する「アプリ価格評論家型レビュアー」がたくさんいます。例えば絶賛するアプリには、300円でも安いくらい使いやすい!!という声があったりもします。
しかし、そのほとんどの判断基準は「無料」です。なぜ無料なのかというと、有料をあんまり買わない人のほうが多いからだと開発者たちは言います。
- 450円の価値がない。無料にするべき
- 無料のうちにダウンロードしておかなかった奴らは負け組
- 無料なら☆4つ、85円なら☆1つ
そもそも価格には意味があるわけでして、450円は高すぎと言ったレビューも、どこをどう直せば450円になるのかまで書いてくれると次の励みにもなりますが、内容については一切触れる気のないレビューにはガッカリすることもしばしば。
アップデートの度に自分の望む内容が無ければ☆1
例えばゲームアプリで、若干の音ズレがあった。やる側からしてみるとそれが気になって仕方がないので、早く直して欲しいという気持ちがあります。
開発者側としては、致命的なバグの修正に優先順位をつけて直していきます。
結果、細かいアップデートを行なっていくわけですが、アップデートされる度に、毎回同じ人が「音ズレなおってない☆1」という具合に他の内容について一切触れず、その一点だけを常に攻めてくる人がいるそうで。
これは愛のあるレビュアーですよね。
ちょっと意味がわからないんですが・・・
どうとらえていいのか、どう受け入れればいいのか全く納得がいかない!というレビュー。
- 、 ☆1
- ・・・・うーん。☆1
- Wi-Fiにつながらない☆1
- 英語で意味がわからない☆1
「Wi-Fiにつながらないというのは本当に意味がわからない・・・。どうしろとw」というお話も。いや、確かにw
例えばLINEのレビューには
このように、iPodtouchをアプリの力でWi-Fi以外で繋がるようにしてくれというレビューもあります。
既に消してるのにレビューする背後霊レビュアー
つい最近のファイナルファンタジータクティクス獅子戦争のコメントにもありましたが、既に削除しているのにもかかわらず、アップデートで半額になり「もう削除済みだが、今頃アップデートしても運営がダメだからやる価値なし」といった具合に、無理やりレビューする人も多々います。
「あまりにも酷いので削除しましたが、いつになったらセーブ機能がまともになるんですか☆1」
↑2回前のアップデートで修正済み
アプリ開発者の色々な対策
さて、マイナス評価には一定のルールのようなものが実は存在します。
意味不明なレビューを除くと、そこに注力するだけでかなり大きな改善を望むことができます。
まだ使ってもいないのに「評価してください」ダイアログを出すアプリ
考えなくてもわかりますが、まだ使ってないのにこのダイアログを出すだけで、☆1が急増します。
意味不明な位置情報の取得
ちょっと開発に悪意があるんじゃないのと捉えることも出来ます。意味不明な情報の取得は☆1しかつきません。
すぐ落ちる
無料だろうが有料だろうが、直ぐ落ちるアプリはそれだけで一気に評価を落とします。
セーブがうまくされない
やった分を失った時の悲しみは、呪いに近い恨みを買う。
中断機能がお粗末なゲーム
長い時間プレイするゲーム系のアプリは、中断機能が必須とされている。
Androidアプリの修正を先に行うと☆が下がる
どちらも同じ修正が好ましい。あっちが先に修正されたと、評価をつける人も中にはいます。
アイコンとかけ離れた機能
例えばアプリのアイコンが、色んなアプリに鍵をかけれるようなイメージのものなのに、実は写真しか鍵をかけれないということがあれば、期待を裏切り、評価が下がる。
アプリ内課金の価格が高すぎる
基本無料、でもアプリ内でアドオンを追加したりなんだりするゲームにおいて、ゲーム内課金が高すぎる場合、ゲームの評価とは別に、酷評しかつかない。事実某有名リズムアクションゲーは、合計20,000円近く支払わないと全てのサウンドを追加できず、適正なゲーム評価のコメント等はもらえず、高いしか言われなくなっている。
アドオンを追加したら重くなったり落ちたりする
これは結構致命的でして、無料でアプリを落とし、追加でお金を払ってアドオンを追加してから落ちるようになったりすると、もはや許される要素は一切無く、詐欺アプリと呼ばれるようになります。
難易度が高いと正しく評価されなくなる
ゲームの難易度が高いと、ゲームの内容について評価されなくなる傾向が強いと言います。単に難しすぎる=クソゲーというレッテルを貼られ、低評価を量産します。
まとめ
今後もレビュアーと開発者の仁義なき戦いは続きます。
しかし、意味不明なモンスターレビューを除けば、ある程度の評価ルールも存在します。どちらもハッピーになれれば一番ですよね。
よく、コンビニや飲食店で、驚くほど私が神ですといった顔で店員に接する人を見かけます。
ですが、明日になったらその人がお客になることだってあるのが世のつながりというもの。レビューするときも、ちょっとだけ愛があれば、開発するほうのモチベーションもかわり、良い物がまた作れるというものじゃないですかね。
そんじゃーねー。