â飼育を始めるまでは、ダンゴムシの寿命は一年だと思い込んでいて、まさか彼らが越冬できるとは思いもしませんでした。ときどき見かける、体長が人差し指の先ほどの大きな個体は、越冬と脱皮を繰り返し、数年生き延びている個体です。
成長のための脱皮の様子は興味深いです。まず、体全体の古い表皮が白っぽくなって浮いてきて、動きが鈍くなります。その後、体の後ろ半分の古い表皮が、次いで前半分が脱げます。脱皮直後の表皮は柔らかく、固くなるまで数日かかります。そのため、この時期の外敵からの攻撃は致命的です。また、腹をすかせた他個体に狙われるのもこの時期です。体の後ろ半分から脱皮が起こるのは、まず逃げるために後ろ半分の脚を固め、それから大事な感覚器官の集中する体の前半分を脱皮するためだと言われています。脱げた殻は、脱いだ個体が食べてしまいます。â
ダンゴムシに心はあるのか P71『第二章 ダンゴムシの実験』 より
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