読んだ。反対意見とかそういうのではなく。
勝手に語りたいところを抽出して、ゲーム語りにする。多分ゲーム以外も似たようなものだと思う。
—— クリエイター気取り(笑)。
川上 思いつきを口にするのが企画だと思ってるんですよ。まあ、クリエイター気取りなのはいいんですけど、クリエイターに対する認識を正しくもってほしいですよね。優秀なクリエイターは論理的にコンテンツをつくるんです。そのなかで希少性を高めるために、感性を手段として利用するってことはあると思います。コンテンツがあふれている今は、希少性も勝負のポイントになってきますからね。でも、基本は論理なんです。
川上 それを理解せずに、企画は感性で勝負するものだと思って、思いつきを口にするんですよね。でも、思いつきって5秒とかで出てくるけど、それをエンジニアが実現するには、1ヶ月、長い時には1年とかかかるわけです。それで「やっぱりこの企画ダメでした」ってなると、思いつきで企画を立てる人の言うことを、エンジニアは聞かなくなります。彼らを説得するためには、企画の正当性を説明するためにすごく明晰な論理が必要。それが企画者とエンジニアを一緒のチームにするとき、一番難しいところです。
ゲームの場合、1年ぐらいかけて作るから(俺が関わった最長記録は2年ぐらいだ)思いつき5秒のアイデアをねじ込んで「やっぱダメでした」だったら普通に呪われる。
人の時間を無駄する罪は果てしなくデカい。
タチの悪い人はこの「仕事の時間差」を理解できない。
PCに向かって1年かけてコツコツと積み重ねてきた積み木を、思いつき5秒でぶち壊すのだ。
なんとなくそれがいいアイデアだと思った。とか、俺のアイデアを入れたいと思ったとか。
そういう、フラッシュアイデアを言う奴は、それが聞き入れられないと不機嫌になったりする。
そこまで作ってきた人たちは、ここまで積み木はつまれているので、そのピースを差し込む場所がない、差し込むと大幅な仕様変更が必要である、その結果クソゲーになる、開発期間が延びる、見たいな事が容易に想像がつく。
明らかに考えが浅いから出る発言だから。
この素敵な徒労感は普通に現場に悪影響を与える。
また。
仮にこの、フラッシュアイデアが大成功したとする。
思いつき5秒が全部美味しいトコロをもってくわけだ。
逆にフラッシュアイデアの所為で開発が難航したとする。その責任をフラッシュアイデア発案者は取らない。
しかもかかったコストは5秒だ。
9割完成したゲームに思いつきで口を挟む人はいる。
ダルマの目だけ入れるように、竜眼だけを描くように、美味しいとこだけもってこうとして、すべてを台無しにする人が居る。しかも本人は悪意がない。
だが被害は甚大なのだ。
そういうアホと俺の意見は違う。俺のアイデアはちゃんとしている。
だから俺のアイデアを聞け!
って時に必要なのが、ロジックなのだ。
ちゃんと考えろ。というだけの話。
明言して置くと、「自分で手を動かす能力に欠ける人は、アイデア偏重する」傾向がある。
また。
プロジェクトの成否(売り上げ)で、関係者の給与賞与が決まるとする。
企画や運営がクソならば、開発がどれほど頑張っても利益は出ない。もちろんその逆もある。
(俺は両方やってたので、両方の嫌なパターンを見たことがある)
アホなアイデアに付き合って、時間も金も失うのは真っ平ごめんというのは、明確には考えていなくても、そういう空気は自然発生する。
だから、これはアホなアイデアじゃないんだ。裏打ちがあるんだ。工数比でトクなんだ。
って時に必要なのが、ロジックなのだ。
だからロジックはとても重要なんだ。
少なくとも、そこまで積み木を積んだ奴がなるほどと思う程度には考えられていないといけない。
考えて仕様書を起こすだけなら一人の工数だが、さて作るぞとなったら一体何人何ヶ月か。
考えすぎということはない。そのほうが安いんだから、会社的にも考え過ぎて損はない。
川上 そして、僕らが次にやったのは、エンジニアを企画職にコンバートさせること。そうすると、技術のこともわかる企画者になるので、エンジニアも言うことを聞いてくれるんです。
結局ロジックで説明するなら知識と経験があったほうがいい。
無知な人は開発をブラックボックスにしてしまう。
ブラックボックスの中に、重要なものは大量に入っている。
「飛行機をライセンス生産しているが、エンジンとメカニクスはブラックボックスです」
これは、飛行機を自分で作る能力がないということだ。
せめて知ろうとする努力は欲しい。
—— なるほど。エンジニアが企画者になった場合、技術のことがわかるがゆえに、発想が制限されるということはないんですか?
川上 ないですね。むしろ、わかった上でぎりぎりを狙えますから。でもこの施策にも問題があったんです。エンジニアで、企画者に転向してもうまくいきそうな人っていうのが、意外と少ないという(笑)。
—— それはどうしてなんですか?
川上 企画者って、やっぱりある程度のコミュニケーション能力が必要ですよね。エンジニアってその能力が、欠けてる人が多い。というか、大半がそう(笑)。
これはもうそういうもんだ。
開発者は開発に時間をかけてきたから開発能力がある。ポイント割り振り制みたいなもんだ。
コミュニケーションにポイントを振っていない。
もちろんコミュニケーション能力も開発力もあるようなスーパーマンは居るが、スーパーマンの絶対数は少ない。
(聞いて驚け、俺ですらコミュニケーション能力がまだマシなほうにカウントされる。その分スキルが足りない)
なので。
とりあえず、自分の持っていないスキルを持っている人をリスペクトしようぜ。
とくにね。今はunityふくめ個人が休日にゲーム作るぐらいの環境がそろっているのだから。
それでもブラックボックスってのは怠惰だ。
「ブラックボックスだ、それを理解しなくていい」
と自分から切り離した瞬間に、理解を放棄した人の言葉は響かない。
それは開発力もそうだしコミュ力もそうだ。
あとで「てにをは」を直すかも