アイテム課金に関して
 大量のアイテム課金に関するdisを読んだのだけれど。

 アイテム課金に対するdisはたいていの場合「お前が遊びたいようなゲームはお前の求めるような値段では遊べない」で反論が終了してしまう。

 以上終了でいいんだけど一応色々書いておく。

 どうにもweb上の言論というのは、自分の感情を代弁してくれるものにしか賛同出来ない人が混ざっているようで、このあたりは残念極まりないのだけど。

■前置き
 アイテム課金に関する意見は多くある。一問一答するとこうなる。

「アイテム課金なんかやってたらゲームが終わる
 ⇒やらなきゃとっくの昔に終わってる。

「ゲーム性にかかわるところで課金すんな」
 ⇒まったく同意だが、そうでない手法の成功例が無い。(上回れない)

「コンシュマでアイテム課金すんな」
 ⇒そして滅びる。


 こんな感じじゃないすかね。
 全部商品としてのゲームの話ね。
■JoJoとパワプロ
 ちょっと前ではJoJoASB、最近ではパワプロがアイテム課金で話題になった。
 共にamazonレビューが激しいので確認してみて欲しい。(jojo)(パワプロ

 コンシュマに関して言えば、もともと「ゲーセンで1回100円かかったゲームが、一度買えば以後やりたい放題」というのがウリで出てきた物なので、商習慣的にアイテム課金と相性が悪い。
 基本無料でアイテム課金ならともかく、パッケ代+アイテム課金とかは余計にね。
 商習慣に無い所でさらに金を取られるとイラっとくるのは理解出来る。

 JoJoは随分早い時点で予約特典を公開して予約を受け付けていたので、発売ギリギリになって、ダウンロードコンテンツとその金額が告知され、既に予約していた人間としては、かなりガッカリ来た。
 実際プレイしてみて、キャンペーンモードのソシャゲ臭さにも相当にゲンナリ来た。
 しかしそうなってしまうのも解らないでは無い。
 かつてのSFCのジョジョとPS3のジョジョで値段はそれほど違わない(注:SFC版は9500円)が、開発費用はどれほど違うだろうか。
 有る意味そういう稼ぎ方の判断がされるのは残念だけど、仕方の無い部分でもある。
 (流石にキャンペーンモードは、シマッタやり過ぎたと思っているんじゃないのか。そういう試行錯誤も必要だろう)

 パワプロはどうか。
 事前情報を追っていなかったので、自分は詳しい肌感覚は解らないが、ゲーム性に関わる課金がある為に非難の声が上がっている。気持ちはとても解る。
 いわゆる旧来のゲーマーはゲームの結果が課金で変わるのが我慢がならない。
 だがいまのところ、そこに課金するのが一番効果があるとデータが物語っているので、選択肢として他は出てこないだろう。(あとガチャな)

 パッケージの単価は従来より安く設定されているが、そこに触れている人は少ないようだ。
 非難の為の非難になっている人も居る。
 シリーズ物が途中から課金になったら確かにイラっとするのも良くわかる。

 実際ゲーム性と関係ない箇所、たとえばアバター衣装をDLCとしたゲームがあるが、非難轟々だったのを見たことがある。
 文句を言う人はなんにでも文句をいうのだ。それは「もっと安くしろ」「初期料金で全てをよこせ」と言っているのと変わらない。そりゃ安いほうがいいのでその気持ちも解る。

 だが、メーカー側だって食えなきゃ撤退するしかない考えた上での選択だ。
 気に入らなければ買わない選択肢を行使するしかない。

■実際のところアイテム課金でもなければゲームを作るのは難しい
 述べたようにコンシュマーの商習慣では、DLCやスタミナ課金はそぐわない。
 つまり、売り上げに限界があるということだ。100万本売れても100万本分以上の利益は生まない。当たり前。
 アバター商売(衣装のDLC)だって、一人で同じものを複数は買ってくれない(ガチャでなければね)。

 10万本売れても5億円だ。今時ちょっと気合の入った開発をしたら5億円ぐらいすぐ溶ける。
 10万本を超えて売るのは以前よりはるかに難しい。

 これが、スタミナ課金や、DLC、ガチャを入れれば、売れた本数以上の利益が出る可能性がある。
 確率がからむものがあれば、同じものを何度も買う可能性が出る。
 むしろ、そこの利益をアテにしないと高騰した開発費をカバーできない。
 だから、何とか商習慣が変わる事を期待しているのだと思われる。

 商売なんだから、赤字覚悟でゲームを作れってわけにもいかない。

 コンシュマーで今までの商売では、もうリスクがデカ過ぎるのだ。
 海外産のゲームは市場が広いが、日本市場はシュリンクしつつある。
 そもそもゲーム人口が、人口ピラミッド的に50万人のオーダーで減っている。他の趣味も増えた。
 残業と塾で可処分時間が少ないうえに、ソシャゲが断片時間を削り取る。

 ソシャゲとコンシュマーの利益グラフでも見たら、もうバカバカしくてコンシュマーは作っていられない。
 ソシャゲも大利益を出すのは一部のタイトルに限られるが、リスクとリターンでまだ釣り合いが取れる。
 コンシュマーはリスクばかりが増大している。
 金を払わない口やかましいファンなんてリスクまで有る。

 もう一杯一杯もいいところなのね。

■酷い商売には付き合いたくないが
 自分にとって、ゲームにおける「商売としてこれは酷い」と感じたものは「アイテム課金」と「青天井ガチャ」であった。
 最初、良識あるメーカーはこのチキンレースでアクセルを踏むことに躊躇した。
 しかし踏んだメーカーが居た。
 海外運営のMMOなどもエグかった。
 一度そういう商売が成立するとまともな商売では勝ち目が無い。

 今はみんなベタ足でアクセルを踏む。任天堂ですら模索する(十二分に良心的だと思うが)。

 MMOからソーシャルゲームに主戦場が移ったとき、ユーザーはゲーマーではなかった。
 旧来のゲームでなくても商売が成立した。成立するならそこで商売することを選ぶのは自然だ。

 たとえ話だが。
 壷に岩、小石、砂、水、と入れていく話がある。
 岩を壷いっぱいに入れてもまだ小石が入り、小石が一杯に入っても、まだ砂が入る。
 しかし、先に、水や砂を入れてしまうと、もう二度と岩は入らない。
 似たようなものだ。

 ネットにソシャゲにスマートフォンに、小さく細かく削り取られた時間は、まともなゲームをプレイする余裕が無い。
 また、巨大なゲームゲームしたゲームを作る余裕も無い。

 もう一つたとえ話。
 解りやすい例として、コンビニのホットスナックがある。
 ああいうのは、脂肪と調味液を注入してジューシーで美味しく仕立ててある。みんなもっと本物の旨い食いものが食いたいが、安さと手軽さに惹かれてああいうものを食べる。
 チキンナゲットも鶏肉の肉以外の部位が多いという。それでも食べる。
 食品としてどうかはさて置き、安さと手軽さがあれば商品として成立する。
 そして、本物の食品(何が本物かはこの際置く)は、駆逐されていく。
 買う人が居るから、売る人がいる。売り上げが上がる。

 そして買う人がいなければ、市場は無くなる。
 おそらく、従来型の買い切りのコンシュマー市場は早々にシュリンクする。
 アイテム課金商売より先に消えるだろう。

 インディーズや志高くすぐつぶれる泡沫メーカーや、お金が有り余ってる大メーカーの税金対策にでも期待しないと、新しい息吹はなかなか出てこない。

■俺達はどうすべきか
 俺自身は、自分の好きなジャンルのゲームが滅びていったので。
 少しでも好むゲームにはお金を落とすようにしてるし、なるべくその良さを人に伝えようとしている。
 コレはあくまでも俺個人の問題だ。業界で口に糊してるし、無関心では居られない。
 何とかならないかと常に思っているし、自分に出来る手は打ちたいのが本音だ。

 では、ユーザーはどうか。
 ユーザー的には知ったこっちゃないでいい。いいと思っている。

 色々書いているが、メーカーの事情をユーザーが勘案する必要は無い。
 買わなきゃいいし、買わないという判断の出来る商売であればdisる必要もない。

 それを超えてdisりたいなら、もう少し現状を知った上で突っ込まないと、無知なままの提言は、状況に関わる人には届かない。
 みんな解った上でやってる事だからさ。

 感情を文字列にしただけでは、同じ感情を持つ人たちと連帯を得れるとおもうが、それだけだ。

 個人的には、
 
「初期投資で得られるものについて宣伝等に誤認狙いが含まれない」

 ようになるのが理想だと思っている。嘘が無いなら買わない選択肢があればそれでいい。

 日本の場合は、一度お金払ってしまえば文句言う権利が発生するという感覚が強い。
 基本無料ゲーが、あこぎな課金をしても、それはパッケ商売よりは文句を言われ難い。
 課金した人だけが文句を言うからだ。
 ソーシャルゲームは初期投資がゼロ円で、その後いくら必要かなどは明かされない。大抵はプレイするだけならずっと無料で、有る程度上位を狙おうとすると課金が必要になる。
 この構造は、文句が出にくい。だから多くのゲームがそうなる。

 そりゃパッケを買った上で満足出来なければ、文句も言いたくなる。
 基本無料で、本人熟慮の上に買ったなら、それが御無体なガチャでも納得の上だ。

 結局、今、鬼の首を取ったかのように責められているコンシュマーでのアイテム課金は商習慣違いで責め立てられている側面が強い。

 今後、コンシュマーメーカーはいかに追加課金アイテムを自然な形でゲームに取りいれるかを模索していくだろう。
 PS4やxboxOneの情報を見てもそうだ。
 appストアやandroidマーケットの御無体な盛り上がりを見てもそうだ。

 旧来のコンシュマーユーザーはそれに対して、嫌悪感を示すだろう。

 この嫌悪感がなんらかの発明や、なし崩しで解消すれば、まだコンシュマは生き残るだろうが。
 基本的に、どこの分野、どのジャンルでも、「基本無料+アイテム課金」になっていくと思う。

 コレは本当に随分前から言ってるが
「ゲームは、ネット+基本無料に集約していく」
 「初期価格型コンテンツは、巨大なものか、スキマなものとして残っていく」

 さすがにこの予想が外れることは無いだろう。

 付き合うもよし、逃げるもよし、放置するもよし。disるもよし。

 ただ「俺はゲームが好きだから」的な言説からゲームを殺す文脈を多く見るので。
 思わずウフフとしてしまう。

2013/10/30(水) 14:55:14| 固定リンク|ゲーム| トラックバック:1 | このエントリーを含むはてなブックマーク|
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Gnosyにおんぶにだっこで色々記事を見ている今日この頃。 そんな中、下記のエントリを読んでみた。 アイテム課金に関して:島国大和のド畜生 http://dochikushow.blog3.fc2.com/tb.php/2755-58a22a9e アイテム課金はとりあえずとして、コンシューマーゲームの追加課金についてはこんなんかなぁ? 1...
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