dlitの殴り書き

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人文系の文献の取り扱いとか業績についてちょっとだけ

追記(2018/10/09 20:40ごろ)

 記事の公開後だいぶ経ってから思い出したのですが,下記の記事で「まず査読付き論文誌を探す」ことを推奨していたり具体的な雑誌名を挙げていることに気付きました。これこそ良い具体例だったのに最初に示さなかったのはもったいなかったというか,早い段階で読んでいただいた方々には申し訳ないです。言語学・日本語学の中でも「日本語を対象にした文章研究」というやや狭いトピックですが,著書,論文集や紀要論文との付き合い方についても書いてあるので興味のある方はどうぞ。

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はじめに

 私の専門は言語学(日本語)で研究・教育関係で他の人文社会系や理工系の研究・文化の一部に触れることがあるぐらいなのだけれど(あとアカデミックライティングに関わっている関係で他分野について調べることもある),その狭い範囲ですらいろいろな違いがあってとても「人文(社会)系は…」という情報提供はできそうにない。

 ただ,こういう話題については関係者や体験者ができるだけ具体的な情報提供をした方がよいというのが個人的な信念だったというのを下記の記事を読んで思い出したので少し書いておく。

anond.hatelabo.jp

 いろんな分野の関係者がいろんな視点から書くのが良いと思うのでできれば他の方々もいつかの機会でよいのでこういう話題に触れてみて下さい。

「○○学」の中でさえ違いがある

 おそらく,「社会学(としてまとめられる分野)」でもそうなのではないかと思うけれど,「○○学」の中でも下位領域によって文献や業績の取り扱い方には違いが出ることもある。

 私が関わっているところだと「生成文法」関係と「日本語学」関係では(生成文法理論を使った日本語対象の研究はたくさんあるにも関わらず)「査読論文」に対する感覚は違っているように感じることが珍しくない。ちなみに生成文法系が査読論文重めな感じなんだけど,これはたぶん主戦場が英語圏であるとか投稿できる国際誌が比較的多くあるとかいうことも関係している。

 それでも査読論文が低く評価されるということはないかな。やっぱり『日本語の研究(旧『国語学』)』に載った論文・著者は一般的に高い評価を受けていると思う。言語学一般で国内誌なら『言語研究』というのがあってやっぱり難易度も評価も高い査読誌。

 一方でそれに加えて著書や査読付き扱いではない論文(依頼論文や論文集掲載のもの),紀要論文なんかも場合(内容)によっては評価されることもある,ぐらい。この辺りの基準はまた人文社会系内でもいろいろ違いがあるだろうし世代にもよるのかもしれない。それでもここ最近はどの分野でも査読論文が重く見られるようになってきているという情報を複数見かけました。

 あと,著書・論文集は洋書と和書でも違うみたいで。洋書だと論文集掲載の論文一つ一つに個別のDOIが付いてたり査読が厳しかったりするようです。

 ただ時折「やっぱり著書がないとねえ」みたいなことを言う人もいる。でもあまりその分野の一般的な見解という感じはしないかな。

 こういう「分野による」ことに対する意識はたぶん研究者によっても違っていて,私から見ると「あの国際誌・国際学会に通ってるのすげー」ってなる人が国内であまり知られてなかったりすることも。観測範囲問題かなとも思うけど私が個人的に悲しいとかならまだしも公募とか絡んでくるとかなりヘビーな問題でしょう。

具体的な話をしてほしい

 場合によっては抽象度の高い議論というのも有効だったりおもしろかったりするのだけれど,実はけっこう難しいので多くのケースではやはり具体的な話題や議論から始めた方が良いんじゃないかと思うことが多い(もちろんできる人はばんばんやってほしい)。

 私は会話分析や社会調査法等,かなり個別のトピックに関連して触れることがあるぐらいなのだけれど,「社会学」は非常に広範で複雑な分野・領域だと思うので「広すぎてまとめるのは大変だけど自分のところはこうだよ」という情報提供が増えると門外漢としては助かるなと思います。

 ちなみに,今までこういう「人文(社会)系ってさあ…」みたいな話題には「学問には多くの分野・領域がある(のがおもしろい)」「できれば言語学のことも知ってほしい」という思いがあってこれまで半ば強引に絡んできた。

 でもむしろ「言語学って人文系?」みたいな反応が多かったり(確かに人文系に完全に包摂される分野ではないだろうけれど),ブクマで「また人文系か」みたいなタグを付けられたり,結局哲学や文学等一分野の話をもって「人文系は…」と語りたがる人たちには何を言ってもむだかなという気がしたりしてさいきんはモチベーションを失っていたのだけれど,やっぱり書かなきゃ/言わなきゃはじまらないですよね。未来の言語学者(あるいは未来の人文系研究者)が読むかもしれないわけだし。

追記(2018/10/10)

 少しだけ補足を書きました。

dlit.hatenablog.com

追記(2018/10/15)

 他分野についても情報提供があり,関連記事のまとめを作りました。

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関連エントリ

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