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2011年7月 9日 (土)

東日本大震災の死者・行方不明者数が明治三陸津波の犠牲者数を下回る

7月8日の時点で,東日本大震災の死者・行方不明者数が,明治三陸津波の犠牲者(21959人)を確実に下回りました.石巻市の行方不明者が1700名以上減ったことが主な原因です.河北新報→ http://t.co/EYNJacT

警察庁webを見ると,7/8現在の値として死者15539名,行方不明者5200名,計20739名と発表されました.約1ヶ月前の6/6は23670人でしたから,ここからみると約3千人減少です.死者数の増加より,行方不明者数の減少ペースが高く,死者・行方不明者数の合計値はまだ少しずつ減り続けています.少しでも多くの方の安否が早く判明することを祈ります.

無論,死者・行方不明者が2万人以上というのは現代日本の災害としてはとてつもない被害です.しかし,これだけの津波を受けて,明治三陸の犠牲者よりは少ないようだということに,東北沿岸部の長年の積み重ねの重さを感じます.

なお,明治三陸津波については,死者の合計値として21959人が挙げられていますが,行方不明者という統計値はありません.今でいう行方不明者が含まれていない可能性はありますが,明治三陸津波の犠牲者数については長年議論が重ねられてきた問題でもありますので,今でいう死者・行方不明者の合計値とそれほど大きな違いのある値ではないのではないかと現時点では考えています.

一方,発災から3ヶ月を経てなお数千人の方の行方が分からないままである事も衝撃的な事実です.7/8現在の公表値をもとにすれば,死者・行方不明者数のうち行方不明者の比率は25%となります.最近30年間の,1年あたりの日本の自然災害による死者・行方不明者に占める行方不明者の割合はほぼ1割未満です.それに比べると行方不明者率25%というのはかなり大きな値です.

1993年北海道南西沖地震津波による死者・行方不明者は230名(地震起因含む・関連死は当時は含まなかったと思う),うち行方不明者28名.行方不明者率12%.津波では不明者が出やすいのかも知れませんが,1983年日本海中部地震津波では死者104名(地震起因含む)で,行方不明者がいない模様.津波で不明者が出やすいとは一概には言えなさそうです.

遭難された方を「統計値」で見ることに,常に後ろめたさを感じています.しかし,統計値で見なければならない場面もあると思います.災害の場合,統計値の背後に人がいることは,常に忘れないようにしたいと思います.

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