広告の改善のため、消費者の感情を分析するという考え方をときおり目にするようになった。だが、その考えに対して、さまざまなレベルの懐疑論が持ち上がっている。
WPP系のメディアコム・ビヨンド・アドバタイジング(Mediacom Beyond Advertising)のEMEA(欧州/中東/アフリカ)地域責任者のパレ・ファインダーアップ・ディーデリクセン氏は、感情測定を手がける企業リアルアイズ(Realeyes)との新しいパートナーシップを結ぶため、先頭に立って取り組んだ。ディーデリクセン氏はそのような懐疑論があることを認めている。しかし、これらの技術は、全世界に対して大規模に適用できると、同氏は言う。
メディアエージェンシーであるメディアコム(Mediacom)は、2月下旬から、コカコーラ、P&G、GSK、ソニー・モバイル、シェルなどのクライアントに、リアルアイズのシステムを利用している。このシステムは、動画コンテンツを視聴するユーザーの感情を、Webカメラを通して測定するものだ。これまでに取り組んできた、全世界で7000件を超える同社の動画キャンペーンのデータベースに対して、表情のトリガーを関連づける。
広告の改善のため、消費者の感情を分析するという考え方をときおり目にするようになった。だが、その考えに対して、さまざまなレベルの懐疑論が持ち上がっている。
WPP系のメディアコム・ビヨンド・アドバタイジング(Mediacom Beyond Advertising)のEMEA(欧州/中東/アフリカ)地域責任者のパレ・ファインダーアップ・ディーデリクセン氏は、感情測定を手がける企業リアルアイズ(Realeyes)との新しいパートナーシップを結ぶため、先頭に立って取り組んだ。ディーデリクセン氏はそのような懐疑論があることを認めている。しかし、これらの技術は、全世界に対して大規模に適用できると、同氏は言う。
メディアエージェンシーであるメディアコム(Mediacom)は、2月下旬から、コカコーラ、P&G、GSK、ソニー・モバイル、シェルなどのクライアントに、リアルアイズのシステムを利用している。このシステムは、動画コンテンツを視聴するユーザーの感情を、Webカメラを通して測定するものだ。これまでに取り組んできた、全世界で7000件を超える同社の動画キャンペーンのデータベースに対して、表情のトリガーを関連づける。
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プランナーはコンテンツが与える感情効果を配信前にテストし、有料メディアへの予算を変更することが可能で、300人の回答者から2日でフィードバックを得ることができる。従来の定性的調査方法であるフォーカスグループよりも、迅速で簡単で安いというわけだ。
動画広告のリアルな現状
ブランドは急増するプラットフォームに対し、動画広告の制作を増やさなければならないというプレッシャーに苦しんでいる。調査会社eマーケター(eMarketer)の予測によると、英国では2016年、人口の61%がオンライン動画を視聴し、また33%がスマートフォンでオンライン動画を視聴するという。
ディーデリクセン氏によれば、クライアントに対するもっとも多いアドバイスは、パフォーマンスが十分ではないため広告を取り止めるというものだ。最近では、コカコーラとドイツテレコムのキャンペーンが、ふさわしい反応が得られなかったという理由で取り止めになり、クライアントは多額のメディア支出を節約することができた。同氏は「あれはデジタル向きではなかった。テレビならうまくいったのかもしれないが、ストーリーの語り方がそれほどまでに違う」と、語っている。
電通イージス(Dentsu Aegis)傘下のメディアエージェンシーであるビジウム(Vizeum)のイノベーション責任者、クリッシー・トッティ氏は、この手法を疑問視し、次のように述べている「興味深いのは規模があるからだ。しかし、私がクライアントやクリエィティブエージェンシーだったらこう尋ねるだろう。『反応が好ましくないからといって、ここまで資金を投じて制作したのに取り止めるのか?』」。
Apple、Google、Amazonも
グローバルブランドは、リアルアイズの方法を広告のローカライズに使うことができる。メディアコムはある電話ブランドの案件で、製品であるスマートフォンが表示される広告素材は、メキシコやブラジルといった発展途上の市場では、英国よりもオーディエンスの共感を呼ぶことを知った。
Appleが1月に、表情を分析して感情を読み取る人工知能の企業エモーシャント(Emotient)を買収したことで、感情を読み取るプログラミングやその広告への応用に注目が集まっている。テクノロジー大手ではFacebook、Google、Amazonなども、「Google Now」や「Echo」などのパーソナルアシスタントサービスを強化するため人工知能に投資している。
広告代理店MG OMDのテクノロジー・イノベーション・ディレクターを務めるサム・バッタムズ氏は「大手企業が公然と乗り出してきている」と話す。同氏はクライアントである映画会社の予告編を、各市場に合わせて再編集し、テストするのにクラウドエモーション(Crowd Emotion)の技術を使っている。
「持ちかけるどのクライアントも興味を示す。ただ、まだこちらから出向いている状態で、あちらから話が来る状況にはなっていない」と、バッタムズ氏は言う。
感情分析は「疑似科学」なのか?
しかし、デジタルエージェンシーであるポーク(Poke)の共同創業者、ニコラス・ループ氏ら批判的な人々は、これがはたして作品を向上させる、より優れたクリエイティブブリーフ(広告の指針を示した書類)につながるのかと疑問視する。
ループ氏は、「感情反応に関する洞察を得られるアルゴリズムに多額の資金を使おうとする組織は、自らの経験と直感に基づいて判断するのが心細くて、勇気の無さを安全策の疑似科学で補っているのだ」と語っている。
Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Thinkstock / GettyImage