セブン&アイ65%減益の衝撃!ファミマ、ローソンと業績5年比較で分かった「独り負け」の背景Photo:PIXTA

主要業界・主要企業における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社の状況を明らかにする連載「明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2024年度のコンビニエンスストア編だ。

国内コンビニ事業の減収減益も見逃せない

 国内流通最大手セブン&アイ・ホールディングス(HD)が発表した2025年2月期第3四半期(24年3〜11月)決算の内容に、衝撃が走っている。最終的なもうけを示す純利益が前年同期比65%減の636億円に沈んだからだ。事前の市場予想平均1363億円を大幅に下振れている。

 1月9日の会見にて、厳しい結果になった理由は、海外コンビニエンスストア事業が低迷したこと、主力の米国市場では物価高の影響で消費者の購買意欲が落ち込んでいることなどが説明された。

 セグメント別に見ると、海外コンビニ事業の(売上高を示す)営業収益は6兆9687億円(同9.6%増)、本業のもうけを示す営業利益は1569億円(同32.1%減)であるのに対して、国内コンビニ事業の営業収益は6874億円(同1.8%減)、営業利益は1829億円(同8.1%減)。海外コンビニ事業の方が、減益の度合は大きいことが分かる。

 ただし一方で、国内コンビニ事業の減収減益も見逃せない。それに、昨今の物価高で消費者の節約志向が高まっているのは日本も同じ状況だ。そこで、国内のセブン-イレブン事業はどうなっているのか、直近6カ月分(24年6〜11月度)の月次業績データ(既存店売上高)を、ライバルのファミリーマートやローソンと比較してみよう。

◯セブン-イレブン(セブン-イレブン・ジャパン)の既存店売上高
6月度:前年同月比99.5%(0.5%減)
7月度:同99.4%(0.6%減)
8月度:同99.8%(0.2%減)
9月度:同99.9%(0.1%減)
10月度:同100.4%(0.4%増)
11月度:同100.3%(0.3%増)

◯ファミリーマートの既存店売上高
6月度:前年同月比102.9%(2.9%増)
7月度:同101.6%(1.6%増)
8月度:同101.2%(1.2%増)
9月度:同100.1%(0.1%増)
10月度:同102.3%(2.3%増)
11月度:同105.3%(5.3%増)

◯ローソンの既存店売上高
6月度:前年同月比104.6%(4.6%増)
7月度:同102.7%(2.7%増)
8月度:同102%(2.0%増)
9月度:同102.6%(2.6%増)
10月度:同104.4%(4.4%増)
11月度:同103.9%(3.9%増)

 ファミリーマートとローソンが6カ月連続で前年同月に比べて増収している一方、セブン-イレブンは6~9月度が4カ月連続、前年同月比でマイナスだ。10月度、11月度は前年同月に比べて増収しているものの、他の2社と比べると見劣りする。

 直近6カ月の既存店売上高を見る限り、セブン-イレブンが、「独り負け」の様相を呈している。なぜなのだろうか? 次ページでは2019年10月から約5年分の月次推移をグラフにして分析。コロナショックを挟んだ、3社の動向をさらに詳しく見てよう。意外感もあり、納得感もある消費トレンドが浮かび上がる。