今年の干支はへび。巳年(みどし)の運気をぐんと高めてくれる「15の神社」を紹介する。内訳は「へびと関係の深い7社」「蛇神ナーガに関係する龍神を祀る3社」「蛇を使いとする弁天様を祀る5社」だ。初詣の神社選びの参考にしてほしい。神社紹介に先立って、「へび」に関する歴史と伝承を紹介している。※本稿は『神社で出逢う私だけの守り神 神様に力を分けてもらう方法』(祥伝社・浜田浩太郎著)の内容を加筆改編したものです。(構成/作家 鳥居りんこ)
教養としての「へび」
2025年は巳(み)年。つまり「へび年」となります。「巳」は中国では「草木が成長した状態」を表し、胎児の形から派生した文字です。蛇が冬眠から目覚め、地上に現れる姿を表しているともされるため、明るい未来を感じさせる縁起のよい年になる言われています。
「蛇年」を「巳年」と呼ぶことを不思議に思ったことはありませんか。起源は中国大陸の殷王朝で用いられていた、年・方角・時刻などの順序を表す十二支です。これが、日本に入って来たときに庶民にも分かりやすいように12の動物を当てはめたのが我が国の干支のはじまり。古代は「へび」が「へみ」と呼ばれていたために「巳」に「蛇」を当てたと言われています。
現代では「蛇」に苦手意識を持つ人も少なくないかと思います。しかし、蛇は古来より、その神秘性と象徴性から世界中で特別な動物として扱われてきました。
例えば、エジプトのコブラ(毒蛇)への信仰。コブラは、太陽や火の信仰と結びつき、やがてその象徴となりました。一方、ギリシャ神話では、蛇は健康と治癒の象徴です。WHO(世界保健機関)の紋章には医神アスクレピオスの杖に絡みつく蛇が描かれています。
さらにインドでは蛇を神格化したナーガが生まれました。仏像の台座や光背にナーガが配されることもあるなど、仏を守護する存在として描かれることもあります。
また、中国では※伏犧(ふくぎ)と女媧(じよか)の人面蛇神の夫婦神への信仰があります。
さらに台湾では、噛まれると百歩以内に死ぬと言われる猛毒を持つ百歩蛇(ひゃっぽだ)という蛇が信仰の対象でした。
このように人々は蛇の脱皮に生命の永続性を、瞼がない目に光や熱の源である太陽を、毒蛇には無敵の強さを感じ、手足がなくとも素早く動けることにも畏敬の念を持っていたのです。