両親に手を引かれる子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

2015年から始まった「結婚・子育て資金の一括贈与」だが、今年政府は廃止に向けて議論を開始していた。結果として12月14日の報道によると、本制度は今のところ廃止せず2年間の継続する方針が示された。なぜ本制度は廃止が議論されたのだろうか。議論の背景には、低調な利用率や格差の固定化防止があった。しかし、次世代への贈与制度を廃止することは「少子化対策」に水を差すとの声が上がり、廃止はいったん見送られることとなった。そこで、本記事では結婚・子育て資金の一括贈与について、制度の概要や今後の贈与制度のゆくえについて解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

結婚・子育て資金の
一括贈与とは?

 結婚・子育て資金の一括贈与とはそもそもどのような制度なのだろうか。本制度は2015年4月から始まったもので、父母・祖父母など直系尊属から子や孫に対して、結婚や子育てのために一括で贈与された資金が最大1000万円まで非課税となる贈与制度である。

 子や孫からすると、結婚や子育ては高額の費用を支出する出来事であり、家族から経済的に支援してもらえる本制度はメリットが大きい。一方、父母や祖父母からしても、非課税で子や孫へまとまった金額を渡せる上、相続税対策としても有効である。2024年12月時点では、2025年3月31日まで利用可能であるが、今後2年間は延長される見込みとなった。

 では、なぜ本制度は廃止が議論されるに至ったのだろうか。その背景には、本制度の低調な利用率が挙げられる。