2025年の主要通貨の焦点
トランプなど4点
2025年の主要通貨の焦点は、(1)トランプ次期米大統領の政策展開とトランプ・トレードの持続性、(2)経済の相対的な強さと金融政策の相違、(3)日欧政局の財政・金融政策への影響、(4)ウクライナ・中東の地政学だ。
トランプ氏の政策リスク
ドル高、ドル安の両面あり
トランプ次期大統領が掲げてきた政策には、ドル高圧力になり得るものと、ドル安圧力になり得るものとが混在している。筆者は、今年10月以降のトランプ氏の勝利期待を背景にドル高圧力となり得る政策だけに注目したトランプ・トレードによるドル高は長続きしないとみている。
ドル高圧力となり得る政策としては、一部法人・所得減税の延長・恒久化による景気加速、関税引き上げによるインフレ再加速、不法移民の強制送還による賃金再加速などが挙げられる。一方でドル安圧力となり得る政策としては、エネルギー価格半減策によるインフレ鈍化、関税大幅引き上げによる世界景気悪化懸念でのリスクオフ、大規模強制送還による内需縮小などがある。
今年10月から続くトランプ・トレードでは、米景気やインフレ・賃金の加速によるドル高期待については相当程度織り込まれた可能性が高い。このため、今後は期待ほど米景気・インフレ・賃金が加速せず、ドル安圧力となる政策が実行されていくとみられることから、25年に入ると米利下げ継続と相俟ってドル安圧力がかかり続けると筆者はみている。