「M-1グランプリ」前日にパンクブーブーのトークライブを見てきたよ


左・佐藤哲夫(ボケ) 右・黒瀬純(ツッコミ)

19 日の夜に「ヨシモト∞(無限大)ホール」へパンクブーブーのトークライブ「おパンクCity vol.2」へ行ってきました。

パンクブーブーは 20 日に放送される「M-1グランプリ2009」決勝進出 8 組のうちの 1 組で、この日は M-1 の前日です。超タイムリー。パンクブーブーの決勝進出が発表になった後でぼくはこのライブの存在を知り、慌てて前売りチケットを購入しました。

てっきり瞬殺で売り切れているものと思っていたのですが、しかし、まだ全然残ってました。

いざ今日ホールに赴いたところ、やはりお客さんの入りは「 7 割くらい」。キャパは約 230 席なんですけど。やぁ売れてない。注目度は高いはずなのに。パンクブーブーの二人もこの売れ行きにはかなり拍子抜けしたらしく、

佐藤「M-1効果で『掌返し』があるかなと思ったら、まぁー、返さないねw」

と愚痴ってました。「むしろそれが自分たちらしい」という矛の収め方もしていましたけれども。

というわけでこの更新は、すかすかな座席にかまけて大人げなく「前から二列目」というエグい席で男ひとりでライブを見てきましたよ、というリポートです。

漫才二題

舞台の中央にスタンドマイクがどかんとセッティングされて、登場するなり漫才が始まりました。

「隣人トラブル」みたいなネタです。細かいネタバレはしませんが、まぁ一個もボケを外さない。めちゃくちゃ笑いました。もちろん生ライブの臨場感があるからという上乗せはありますけれども。しかし一回テレビで見たことあったネタなんです。それでも笑いました。

その後ありがとうございましたといったん引っ込んで暗転。

そしてまたふたたび明転して音楽が鳴り二本目のネタが始まりました。「弟子入り志願」。これも見たことあったのですが、やっぱり抜群に面白い。手数も多いし、展開もある。文句ないです。

どうやら決勝ではこの二つのネタをやる、というようなことをその後のトークで言ってました。

ただ、ひとつだけものすごくリアリティがある懸案があって。


黒瀬がのどを潰してる!

M-1トーク

ネタのあとはあらためて 5 分くらい、二人だけで立ちトークです。話題はもうひたすら明日に迫った M-1 話。それしかありません。

とにかく決勝進出が発表された瞬間、黒瀬は号泣したそうです。コンビ組んで 9 年、お笑い芸人になってからは十数年という苦節。念願の初の決勝、というのもあるし、また芸人仲間も喜んでくれたりして嬉しかったそうです。

黒瀬「二時間半、泣きましたよ」
佐藤「いや四時間半泣いてたわ」

それで佐藤も同じように嬉しいのでウルウルと来てたのに、二人して泣いたらどっちらけだろ、ってことで泣くのを抑えてたらしい。

決勝進出が決まった瞬間からスケジュールがぎっしり埋まったのだそうです。そもそも準決勝が終わった段階でいちどスケジュールが立て続けに組まれるらしいのですが、決勝進出が果たせなかった場合、それらがすべて一斉にキャンセルになり、暇になると。

今年のパンクブーブーは初めて決勝に進んだので、その「キャンセルされない」忙しさが初めての経験だったそうです。

取材が重なり、またその取材の合間も黒瀬はテンションが昂ぶってずっといろんな芸人に対して喋り通しだったらしく、そんな M-1 直前のどさくさによって、のどをやられてしまった、のだそうです。まさに本末転倒。決勝に向けての最大の憂い事だと思います。

黒瀬「プロポリス飲まなきゃ」

特に聞き取れないレベルではないものの、かといって決して本調子ではない。

パンクブーブーの「大一番に弱い」というレッテルをより強固なものにするエピソードだと感じました。もはや自分たちでもそのイメージを自虐的に弄んでいるようではあります。

また、黒瀬にとっては決勝進出決定から今までが目まぐるしかったので「明日でようやく終わる!」と今まで体験したことのなかったハードスケジュールの終焉に感慨があるみたい。

黒瀬「引っ越したばっかりなので家具とか揃えたいんですよ」

今はウォッシュレットが欲しいそうです。

ハリガネロック登場

舞台上には小さなイスが四つ並べられていました。

これは誰かゲストが二人来るんだろうな、ということで、ほどなくして登場したのはハリガネロック。M-1 の大先輩です。プライベートでもユウキロックと黒瀬が仲良しだそうで、トークも盛り上がりました。

ハリガネロックが出たのはまだまだ M-1 草創期のこと。この番組自体がなにがなんだかよくわかっていない段階で「ただデカい漫才の大会があるぞというテンション」の中、第一回大会は中川家だけがプレッシャーを感じていたといいます。

ちなみに明日の M-1 放送終了後、ハリガネロックは M-1 とは何の関係もないライブを品川で開催するらしく、

ユウキロック「そんなもん誰が見に来んねん!」

と正論を言いながら「死ぬほど笑かしたるからな!」とロックに吠えてました。

また黒瀬が M-1 直前の多忙ぶりについて「明日でようやく終わる!」と少し安心したように今から述べているのに対して、

ユウキロック「いや、むしろ明日からが『はじまり』かもよ…?」

とけっこう粋なことを言ってました。

ハチミツ二郎登場

と、ユウキロックが突然、舞台袖に向かって何ごとか咆哮します。すると「東京ダイナマイト」のハチミツ二郎がそれに応えるようにズシズシ登場しました。二組目のゲストです。

ハチミツ二郎はこの「ヨシモト∞ホール」から歩いて一分のところに住んでるんだそうで、「ただ来たくなったから来た」んだそう。本当に急遽の登場だったらしく、イスがもう一個追加されて、しばらく立ち位置をさまよったあげく着席。黙ってても存在感があります。

東京ダイナマイトは M-1 決勝にパンクブーブーと共に出演するので、期せずして「前日決戦」という運びになりました。燃えますね。

ハチミツ二郎は「最終決戦にまで残る自信がある」と豪語してました。というか最終決戦に残るのは「東京ダイナマイト」「パンクブーブー」そして「敗者復活」の 3 組と読んでました。

以下、登場順ごとに展開を予想。

一番手のナイツがまずゴーンといくと。お客さんの目も優しい。二番手の南海キャンディーズが、まぁそこまで届かない、と。ただ準決勝ではめちゃくちゃウケてたよという情報もそのあとで挟まれてました。

そして三番手の自分たち東京ダイナマイトがナイツを抜かしてトップに躍り出ると。自信たっぷりに言ってました。

ハチミツ二郎「だてに 5 年間潜伏してたわけじゃない」

M-1 本戦には 2004 年以来、5 年ぶり二度目の登場。「本当は来年 2010 年に出るはずだった」といいます。年間 100 本ライブやって万全を期して出る予定だった。それが今年 3 ヶ月で 100 本やって、M-1 も決勝まで残っちゃったと。

少し不遜に「吹いてる」とも聞こえましたが、これは実績があるんだから仕方ないです。

そしてモンスターエンジンやハライチがいまいちだったあと、八番手のパンクブーブーが「来る」と言います。敗者復活も入れて 9 組出場するけどお客さんや視聴者は、あくまで「8組」だと捉えてる。そのラスト 8 組目で爆発すると。

パンクブーブーの出順の良さについては概ねみんな見解の共通するところで、だからこそ黒瀬も「逃げ道ない」とか弱音を吐いてました。

ちなみにハチミツ二郎の敗者復活コンビの予想は「NON STYLE」。

で、もしも東京ダイナマイトやパンクブーブーが両組ともいい感じの結果を残したら、「4人で温泉でも行こうという話をしてる」と言ってました。

ハチミツ二郎「なんか OL みたいですけど」

「おしゃれカンケイ」的な手紙

最後にハリガネロックの大上が「お手紙を預かってます」ということでパンクブーブーの芸人仲間からの手紙を読んでました。パンクブーブーのふたりにとってはおそらくサプライズな演出。

一通目はバッドボーイズの清人(きよと)から。リーゼントじゃないほうで、最近結婚したほうです。パンクブーブーとは福岡吉本の同期らしく、笑いをまぶしながらも、少し感動的な手紙でした。

もう一通はトータルテンボスの大村。こちらもパンクブーブーと仲が良いらしい。M-1 では優勝こそしなかったものの知名度をあげ、「自分たちに続け」とばかりにパンクブーブーを冗談まじりに鼓舞していました。


ってことで M-1 前日というもっとも濃い日に、同業者を交えて一時間のトークが執り行われたわけです。もう大満足です。

パンクブーブーはどうやら先輩からも後輩からも、そして同期からもわりと好かれているらしい。ましてやキャリアが長く、実力も評価されている。そんな中で、今回ようやく決勝初出場。

「満を持して」的な状況と、まだあまり世に知られてないという新鮮味のバランスが絶妙に取れてる状態です。

M-1 決勝を明日に控えて、なんだかパンクブーブーには「キングオブコント2009」における東京 03 的な流れをうっすら感じています。「大一番に弱い」というジンクスさえ打ち破ることができれば、あるいは。