ライヒ続き
先日のNHKで放映されたスティーブライヒのコンサートについて。オンエア時は気づくのが遅くて最後の5分間ぐらいしか見られなかったのだが、ニコニコ動画等に上がっているので全貌がわかった。Music for 18 musiciansの演奏だが、もう圧巻としか言いようがない。ライヒにしか作れない真にオリジナルな世界が展開される。ニコニコでも、最初のうちはいろいろコメントがついているが、次第に(音楽に聞き惚れているのか)静かになってくる。
生演奏ならではの見どころも多く、基調となるマリンバの演奏者が、途中で交代している様子なども興味深かった。
話が飛躍するが、クラシック音楽*1で決定的に欠けているのは「新作」の存在だと常々思っていた。もちろん現代音楽というジャンルはあるのだが、それがコンサートの主流になっているとはとても言えない。新しい曲が発表されて、最初は賛否両論だが、しだいに優れた作品がコンサートのスタンダードとして確立していく、というプロセスが、ここ数十年で消滅してしまった。古い曲を繰り返し演奏しているだけでは(たとえその演奏や曲目がどんなに優れていたとしても)ジリ貧になってしまうのではないか。クラシック音楽ってそういうものだと言われるかもしれないが、つい50年ほど前にはまだバルトークやショスタコーヴィッチが新作をどんどん発表していたわけだし、さらにさかのぼって19世紀になると、基本的には新作の演奏のほうが主流だった。
そんな中でライヒのMusic for 18 musiciansは、まさに芸術が創造されて歴史の中に位置づけられつつあるプロセスを辿っているように見える。100年後に、この作品はどう評価されているのだろうか。
*1:いわゆる「古典派」という意味ではなくポピュラー音楽との対比としてのクラシック