reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

俺はブラック企業にいる。そう、ではどうするのか?

スクールカーストの下の方にいる俺たちのラジオ

webラジオをやっている。

すでに放送は10回を超え、土曜の夜21時からの定番となっている。

podcastも配信し、現時点で70人を超える方に登録いただいている。

「サバイブSNS」が主催しているラジオらしく、企画には、サバイブして行くには、エクソダス(脱出)するにはなにが必要か、という疑問がいつもある。

その疑問や興味に答えられる放送を、目指している。


この間、3回、いわゆる「ブラック企業」について取り上げた。

しかし、「ブラック企業とはなんぞや」とか、「ブラック企業を政治的にどう無くしていくか」とか、「ブラック企業に異議申し立てをする」とか、そういう内容ではない。

「ブラック企業」の成り立ち、存在基盤、あるべき施策など、そういった思索については、スクールカーストの上の方の人たちが考えればいい*1。

それらはとても大切なことだけれど、現場にいる僕らには、分析よりも実践、できれば脱出、かなわなければ少しの改善が何よりも必要なのだ。


そういった視点で、3回のラジオを行ってきた。

3回とも文字に起こした。そこでわかったことが多くある。

2種類のブラック企業

「第1回目」は、総論として、ブラック企業を二つに分けてとらえ、そこから抜け出すアティテュード(姿勢)を持つことがどうしても必要だと結論づけた。


労働者を使い捨てにすることを経営に織り込んでいる日本電産やキャノンなどの企業は間違いなくブラック企業だ。


しかし、何となくダラダラと日常が続いていくような「ブラック企業」がある。

中小零細の企業がブラック化したものがそれだ。

この本

で書かれているような会社だ*2。

それなりにフレンドリー。けれど、経営の軸がないから、経営者の決断はいつも行き当たりばったり、スキルも積み上がらず、低賃金だから貯金もできない。日々の仕事に追われて、蟻地獄に落ちたアリのように、職場全体が意気消沈していく。じり貧だ。

企業体質がブラックであることと同時に、僕らも中途半端な学歴や職歴、スキルしか持っておらず、そして「鼻がきかない」ために、そこにしか行くところがなかった。自分もまた、ブラックな体質を持っていたり、ブラックな体質に染まっていってしまったのだ。

「溜め」を作れないブラック企業

人が自由を感じるためには、「溜め」が必要だ。

時間や、お金、人脈、スキル。

ブラック企業に入って、ずぶずぶとそこにいると、元々無い「溜め」がさらに無くなってくる。1分将棋を毎日やっているようなものだ。余裕がないまま、時間が無為に過ぎていく。

「1分将棋」をこなしながら、そこから抜け出すにはどうすればいいか。「溜め」がない以上、一点突破しかない。

業界体質を理解して、就職先は「コミュニティ力」で選べ

「第2回目」では、おたよりを元に具体的な業界について取り上げた。

企業なり業界というのは、それぞれがそれなりの歴史を持っている。家電量販店の歴史を見れば、メンタルの強い人間、いわゆる「きったはった」の世界を生き抜けるコミュニティ力がないと、とてもやっていけないことがわかる。日々値下げ交渉を戦っている業界の体質として、「舐められたら終わり」なのだ。ものを買いたたくように、人を買いたたく。買いたたいて、自尊心を押しつぶす。そういう業界体質だと言う認識が必要だ。

内向きの評価が必要なのは入社の時だけ

中小零細ブラック企業にいると認識したとき、社内に自分の力量をアピールしてもあまり意味がない。というのは、ブラック企業にはそもそも、社員の実力を公正にはかるような評価の軸なんてものが存在しないからだ。だから、いつも経営陣の意志決定(ディシジョン)がぶれまくる。

味方に付けるべきはお客さんだ。発注先の企業の方々でも、エンドユーザーでも良い。そしてその信頼を勝ち取るのは、やはりまとまった仕事ができること、ストイックに技量を積み重ねていく努力がものを言う。ユーザーからの信頼が、会社での立場を支えるし、転職・独立の際にも力になる。

必要なのは努力じゃない

しかし、追い詰められてブラック企業から抜け出すときに必要なのは、実は努力ではない。

冷静に考えよう。努力が実を結ぶにはそれなりの時間が必要だ。3ヶ月か、半年か。積み重ねた時間が、努力だ。

しかし、「1分将棋」を毎日行っている状況で、「努力」が成果を上げるまで待つことができるだろうか?

世間に通じるスキルがないと転職できない。そうかもしれない。けれど、そんな悠長なことを言っていられるだろうか?

先の、「お客さんを味方に付ける」というのは、あくまで仕事の中での副次的効果だ。それとは別に、「努力」してスキルを上げて、という考え方は、何か方向性を誤っていないだろうか?

シミュレーションゲームでたとえれば、「ベリーハードモード」にアタックしている状況だ。装備もお金も時間も無い。敵は強い。一手間違うと死ぬ。努力なんて悠長なことを言っていられない。できるのは、強い敵をやり過ごし、手持ちの装備で何とか抜け出す、そういう手の打ち方だ。

それでも努力で乗り切ろうとするなら、それは努力崇拝、「努力教」に陥っていると言えないだろうか?

「まとまった仕事」とはどういうものか?

「第3回目」では、「まとまった仕事」とはどういうものか、ウェブディレクションに絞って、具体的体験が話された。

この内容を聞いて、「こんなの当たり前だ」という人は、まとまった仕事ができる人だ。そういう人には、逆にこういう仕事ができないということが驚きだろう。

こういう仕事ができないからブラック企業なのだ。多くの人が、新鮮な驚きを感じると思う。

ぜひ、ウェブ業界にいる方には読んで欲しい。そうでない方も、仕事の仕方という点では感じるものがあると思う。

僕は、ものづくりというよりは総務・会計・人事という管理系の仕事に携わってきたけれど、とても参考になった。

1万字、10ページに渡る充実した内容だ。きっと得るものがあると思う。

そして次回のラジオでは

そして、9/26(土)21時〜のラジオでは、ブラック企業を取り上げる第4回目として、現役の人事コンサルタントの方をゲストにお呼びし、いわば人事の歴史の裏側を語ってもらうことになった。

バブルの時代から人事に携わってきた方だから話せること、リアルなお話が聞けると思います。

質問も大歓迎です。

是非お聴きください。

メッセージの宛先はこちら。

チャットルームはskypeに設置しています。repon35にアクセスしてください。

付記

次回放送のcueシートをアップしました。

*1:charlieさん大好きです

*2:ちなみにまとめはこちら http://www30.atwiki.jp/blackmatome/