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サッカーにおけるフィジカルトレーニングの今昔

皆さん、こんにちは。本日は、サッカーの試合もないし、明日の試合のプレビューもすでにやってしまったので、趣向をちょっと変えて、今日はサッカーにおけるフィジカルトレーニングの今昔ってのをテーマにしたいと思います。


この話、以前、ちょっとサッカーにおけるドーピングの話をしてみた時についでに話そうかと思ったんですけど、長くなりそうだったんで端折った話です。この話をしようと思ったのは、最近のWSDでロベルト・ロッシと片野道朗さんが、「こころとからだ研究所」って連載コラムをやってて、その中で、フットボールにおけるフィジカルトレーニングの変遷なんかをここ数回テーマにしているからです。


サッカーにおいては、1980年代後半あたりに戦術上の革命、つまりアリゴ・サッキの442の登場で、プレッシングとゾーンディフェンスが主流になる流れがあるんですが、それと平行して起こったのがサッカーにおけるフィジカルコーチの登場と、フィジカルトレーニングの専門化、そして薬物のサッカーへの流入になります。


本日は、そのあたりの経緯を踏まえて、話をしようと思います。


1980年代以前のサッカーとトレーニング風景

さて、まずは1980年代以前のサッカーとトレーニング風景なんですが、これは非常に単純でして、技術練習とミニゲームだけで成り立っている事が多く、スタッフも監督+助監督+GKコーチのみでした。この頃の時代は、サッカーはマンツーマンディフェンスが主流でしたし、今よりずっとプレーがスローでした。どういう事かというと、プレーのスピードやインテンシティが上がるのは、最後の30メートルだけで、その前のゾーンでは相手に自由にボール持たせるってのが普通の時代だった訳です。だから、プレーはずっとスローだったし、1試合で一人の選手が走る距離もせいぜい5〜6キロ程度でした。(現在は前半だけで5〜6キロ走らないといけない時代です。)


そんな時代でしたんで、故障は今よりずっと少なかったですし、交代できる人数も1人とかでしたんで、チームが抱えている選手なんて15〜16人程度でよかったわけです。


そんなゆっくりした時代だったので、サッカーに専門のフィジカルコーチが入り込むってことは、この時期、まだ起きていませんでしたし、現在では当たり前の選手の食事管理や禁酒なんて概念は存在すらしてませんでした。


もっとも、この時期、先進的な一部の監督は、選手の食事管理、体調管理を取り入れています。有名なのは、エレニオ・エレーラでしょう。

インテル・ミラノでは、カテナチオと呼ばれる守備に秀でた戦術を採り、[1]スクデット3回、チャンピオンズカップ、インターコンチネンタルカップを2連覇する。その強さ、スクデットを5年連続で獲得し、グランデ・トリノと呼ばれた1940年代のトリノFCの中心選手であったヴァレンティーノ・マッツォーラの息子であるサンドロ・マッツォーラが所属していたことから、この時期のインテル・ミラノはグランデ・インテルと呼ばれた。


エレニオ・エレーラ

これ、wikipediaからの引用になりますが、エレーラのインテルはグランデ・インテルと呼ばれた偉大なチームで、カテナチオと呼ばれるイタリアで大流行した戦術の本尊的な監督です。



ただ、エレーラは戦術家ってだけでなく、いち早く、選手の健康管理を取り入れて、選手の妻にサッカー選手が取るべき食事の手ほどきを行い、試合前夜には選手を合宿所に閉じ込めておく「リティーロ」と呼ばれるシステムを作っています。また、選手には一日12時間眠る事を進めています。彼は、おそらくは最も早く誕生した近代的な監督で、カテナチオ、食事管理、リティーロ、専門的なフィジカルトレーニングといった要素は、多くのイタリアのチームで真似され、当たり前のシステムとなっていくことになります。(もっともかなり後の時代の事にはなりますが)


ただ、エレーラの名前は一部で憎悪と共に記憶される事にもなります。彼は勝つ為には手段を選ばない男として見られており、八百長疑惑、審判買収疑惑、薬物疑惑(選手に薬物を与えていたという噂が絶えなかった)と、後のサッカー界で問題になる全ての要素を、彼は率先して行ってもいたと言われます。まあ、疑惑のレベルなんですが、このあたりでも、彼は近代サッカーを先取りしていたとも言えます。後に、国際試合での審判買収、ドーピングが大きな問題になりますが、エレーラはこのあたりでも時代の先をいっていました。


とまあ、昔のサッカーのトレーニングの話から反れたので、話を元に戻しますね。


こういった牧歌的な時代が終わりを告げるのが、アリゴ・サッキが現れて、イタリアサッカーからカテナチオが駆逐され、442のゾーンディフェンスが大流行する1980年代末からになります。



1980年代末から1990年代にかけて何が変わったのか


次に、アリゴ・サッキ以降、何が変わったのかという話になります。戦術面でプレッシングとゾーンが主流になると、まず変化したのが選手の運動量です。マンツーマンの時代では、一対一が全てであり、人に対してポジショニングします。そのためテクニックこそ勝負を分けるポイントとなっていました。


しかし、ゾーンでは人ではなく、ボールに対してポジショニングします。ボールホルダーを複数で囲い込むといった事が可能になり、結果として一人に2〜3人で襲いかかってボールを奪うってのが可能になったわけです。これは、戦術上、一人の選手(ボールホルダー)に対して、チーム全体がポジションを動かす事になるわけで、守備側は攻撃側よりも沢山の距離を走ることが要求されてしまうわけです。



結果としてですが、サッカー選手として「まず走れる事」が最重要になり、走れない選手なんかが駆逐され始めます。サッキ以降、パスを出すだけで動かない選手がまず居場所を失っていきました。いわゆるイタリアにおけるファンタジスタの絶滅です。もう一つ、居場所を無くしていったのがWGで、SBのオーバーラップが常態化した事から、442ではWGでなく守備もできるSHが好まれるようになっていきます。これによって、イタリアではWGまで死滅状態に陥りました。


これ、WSD381号のロッシのコラムからの引用ですが、

ロッシ:ランニングと技術練習とミニゲームだけで成り立っていた日々のトレーニングが、細分化され、専門化していった。組織的な戦術をチームに植え付けるための戦術エクササイズとか、スピードやパワー、持久力といった特定のフィジカル能力を高めるためのフィジカルトレーニングというように。それが80年代半ばから90年代にかけての大きな流れだね


ってのがあります。



テクニカルスタッフにフィジカルコーチが加わりはじめたのも、この頃です。サッキはフィジカルトレーニングの面でも先進的で、それを取り入れていたんですけど、1980年代後半以降、サッカーの世界に陸上出身のフィジカルコーチが雇われ始めます。これは陸上競技のほうがスポーツ科学の適用の面で進んでいたからで、彼らは陸上で培った知識を元にサッカー選手のアスリート化を推し進めることになりました。


こうした陸上出身のフィジカルコーチが入り込みはじめると、サッカーの世界にもジムトレーニング、ボールを使わないフィジカルアスレチックのトレーニングメニューが組み込まれるようになっていきます。それと同時に、食事管理、禁酒などが当たり前のように行われるようになります。カーボローディングなんかも当たり前のように行われるようになりました。



そして、この時期から陸上競技を浸食し始めていた薬物がサッカーの世界にも入り込み始めるわけです。代表的なのは、クレアチンでしょう。


クレアチンがスポーツ選手に注目されるきっかけになったのは、1992年のバルセロナオリンピック。イギリスのリンフォード・クリスティが、100メートル走でカール・ルイスの記録を抜いて金メダルを獲得したんですけど、彼はクレアチンを摂取しているので有名でした。この後、クレアチンは陸上競技の中で当たり前のように使われるようになります。ちなみに、クレアチンの使用は、現在の所、五輪で禁止されておりませんので、陸上競技者なら、ほぼ全員摂取しているサプリメントになっています。


クレアチンの効用は非常に大きいので、短距離陸上選手なんかだともうなくてはならないサプリなんですけど、これ、副作用といっちゃなんですが、使ってると肉離れのリスクを高めます。クレアチン自体が、水分と結びつく性質があることと関係があるんですけど、クレアチンを取りすぎたりすると、筋肉からクレアチンが水分を吸い取ってしまって、肉離れの原因になるんですね。


ロッシは、コラムの中で、マンツーマン時代のサッカーと練習の中では筋肉系の故障なんてほとんど無かったと述べています。ただし、90年代になると、サッカー選手が肉離れを起こすのなんて、もう珍しくもなんともなくなってきました。僕は、これはクレアチンのせいだと思っている人間でして、ユヴェントスのドーピング裁判の時、ユーヴェの選手が94〜95シーズンにおいて、クレアチンを30〜40グラム摂取していたなんて話が出ています。これは適正な摂取量を超えており、こんな飲んだら、肉離れのリスクを高めるだけだろ常識的に考えて・・・という奴なんですが、当時は、その当たり適当でこんな状態だったのかもしれません。



旧来のトレーニング、つまりランニング、技術練習、ミニゲームで練習し、マンツーマンで守るチームに対して、専門的なフィジカルトレーニング、ゾーンの戦術エクササイズ、食事管理、そしてクレアチンなどのサプリメントを摂取し、ゾーンで守るチームが圧倒的な優位を持つようになったのが、この時期の流れです。旧来型のやり方でやるチームは、こういったチームに対して、勝てなくなってきたわけです。



こういったやり方は一気に広まったんですが、それと同時に問題が起こりました。つまり、怪我の増加、特に筋肉系の故障、靱帯の断裂なんて怪我の増加です。それまで、こういった怪我はそれほど起こらなかったなんですけど、90年代あたりを境に、こういった怪我が増加の一途をたどり始めます。


こいつの原因と見られているのがウェートやマシントレーニング、そしてある種の薬物(クレアチン、ヒト成長ホルモン、ステロイド)の使用って奴です。


2000年代に入ってからのフィジカルトレーニングの流れについて


さて、サッカーにおいては、2000年代に入ると、又、別の流れが起きます。とくにフィジカルトレーニングに関して、ある種の反動というか、別の動きが出始める訳です。



これについても、ロッシがコラムで説明しているので、それを引用しますが、381号のコラムから引用しますけど

ロッシ:(中略)フィジカルコーチがスタッフ入りして科学的なトレーニングを取り入れるようになったのが80年代に入ってからだ。フィジカルコーチのほとんどは陸上競技の出身で、スピードや持久力、パワーといった観点から、アスリートとしての能力を高めるだけのメニューが練習に組み込まれるようになっていく。


 当時の一般的な考え方では、技術・戦術的な能力とフィジカル能力は別物で、切り離して強化できるはずだった。トレーニングでもボールを使った技・戦術練習は監督が、ボールを使わないメニューはフィジカルコーチがプログラムして、それぞれ指揮を執るのが普通だったんだ。


 ところが、トレーニングの結果をフィードバックしながらメソッドを進化させていく過程で、疑問がでてきた。フィジカルという要素、側面だけを抜き出した強化のアプローチは本当に有効なのかとね。


とくにこの10年ほどは、そうしたトレーニングを必ずしも効果的でないとする考え方が徐々に広まっている。時代の流れは、ボールを使わないフィジカルトレーニングを極力減らし、ボールを使ったメニューにフィジカル向上のための要素を取り込む方向へ向かっている。そう言ってもいいだろう。


片野:ボールを使わないフィジカルトレーニングはやらない。マシンを使った筋トレも、怪我からの回復プロセス以外はやらせない。モウリーニョと同じ、そうしたやり方を採用する監督も増えているようです。


ロッシ:サッカーは特定の動作で能力を競う陸上競技などとは違って、あらゆる動作でボールという器具を操るスポーツだ。特定の動作だけを鍛えても、サッカーのための能力の向上に直結するとはかぎらない。少なくともベストの方法とは言えない。そんな考え方が背景にある。サッカーの能力はサッカーをすることでしか高められないという考え方だ。


 フィジカル能力を高めるトレーニングについての考え方は、今は大きく二つに分かれている。一つはボールを使ったトレーニングにフィジカル強化の要素を取り入れるべきとするモウリーニョのような考え方、もう一つは折衷案型の考え方だ。

こうした考え方は、バルサのフィジコ、パコ・セイルロとモウリーニョのフィジコ、ルイ・ファリアが代表的なフィジコです。特に、パコ・セイルロのほうは過激でして、「フィジカルトレーニングは存在しない」とまで言っちゃうような人です。


セイルロとファリアの基本的な考え方は一緒です。ストライカーDXの記事に、セイルロの考え方が載っているので、そこから引用しますけど、

彼の理論は「No- lineal (ノー リネアル=No−ライン)」というもので、サッカーは開かれたスポーツ(状況がめまぐるしく変わるスポーツ)であり、外的要因や内的要因が影響し、「同じ動き」というのは2度と起こらない。
だから、練習でもそのように刺激をさまざまに変えて、同じ動きにならないようにしようというものです。とても簡単にいうとですが……。要するに周りの状況を的確に認識し、それに応じて的確な判断を下せるようになることが、より速く走ることやより力強くキックをすること、よりたくさん走れるようになることより、大切だということです。

しかも彼はフィジカルコーチでありながら「フィジカルトレーニングというのは存在しない」と公言しています(笑)。つまりフィジカル能力を極限まで上げて、そういう選手にサッカーを教えるのではなく、サッカー選手を作り上げるためのフィジカルトレーニングをしましょうということなんです。



バルサでもっとも速かった選手は……


こういうモノです。最近、こういう考え方が幅を利かせるようになってきたのは、近年、もっとも成功したチームがバルサであり、近年、最も成功した監督がモウリーニョだからです。やってるサッカー、戦術は、はっきり言って、バルサとモウリーニョは真逆みたいな所があるんですけど、フィジカルトレーニングに対しての考え方は、面白い事に一緒なんです。


最近、しばしば「戦術的ピリオダイゼーション」って言葉聞くと思いますが、バルサのフィジコやモウリーニョのフィジコが、これを使ってるので注目されてるんですね。特徴としては、練習前の軽いランニング以外、ほぼ全部、ボールを使ったトレーニングで負荷をかけていくって所です。ジムトレみたいにボールを使わないトレーニングは基本的にメニューに組み込まれてません。


2000年代に入って、フィジカルトレーニングの手法が、サッカーの現場でかなり変わってきているってのが実情です。アブラハム・マズローの名言に「金槌しかもっていなければ、あらゆる問題は釘に見えてくる。」ってのがあるんですけど、サッカーの世界に最初に入り込んだフィジコってのは陸上出身者でした。だから、陸上の考え方でサッカー選手を陸上選手のように鍛え上げようとした。それが90年代に起こった事です。ただ、メソッドが蓄積され、フィードバックが増えてくると、このやり方が必ずしも有効だとは言えない。少なくとも、ベストとは言えない。やたらと怪我が増える。そんな事がわかってきたのが2000年代に入ってからで、そいの結果として、「戦術的ピリオダイゼーション」ってのが出現するわけです。


他にも、陸上競技と同じやり方はサッカーの世界だとあまり有効とは言えない例として、WSD最新号、383号で、ゼーマンのケースが取り上げられているのですが、それをちと引用しますけど、

片野:興味深いのはゼーマンの流儀です。90年代初頭にサッキと並んでもっとも先進的なメソッドの持ち主だったゼーマンのトレーニングは、あれから20年が過ぎてた今も、ほとんど変わっていないそうです。プレシーズンキャンプでは15キロとか20キロの長距離走をさせたり、チームメイトを背負って階段を上り下りしたりという負荷の大きなメニューを重ね、長いシーズンに備えた体力をつけるという考え方は、もう一般的ではないのでは?


ロッシ:取り入れている監督やフィジカルコーチは、ほとんどいなくなった。理論自体に誤りがあるわけではないが、あれだけ大きな負荷をかければ、体が慣れて効果が現れるまでに何週間という時間が必要になる。数ヶ月先の一時期にコンディションのピークを持っていくだけなら、そうしたアプローチも有効だ。しかし、サッカーの場合は、シーズンを通して一定のコンディションをコンスタントに維持するほうが重要だからね。あるタイミングで100%のパフォーマンスが出せても、二ヶ月後に60%まで落ちているようなムラの大きさは許されない。シーズンを通して80%のコンディションを保った方がはるかに有益だ。


 プロサッカーの世界でフィジカルトレーニングが取り入れられた80年代から90年代は、主に陸上競技の理論と実践がベースとなっていたので、数ヶ月のサイクルでコンディションを作り上げ、維持するアプローチが主流になっていた。その後、経験が蓄積されて、結果を検証したり修復したりしていくうちに、一ヶ月のサイクルでトレーニングメニューを組むメソッドが出てきたんだ。三週間は負荷をかけて、一週間は落とすというサイクルが基本だった。回復途上のある地点で適正な負荷をかければ、いわゆる超回復を促せるという考え方だよ。それも今はあまり使われなくなってきている。代わりに主流になりつつあるのが、毎週末の試合を中心とするサイクルのプログラムだったり、2〜3日おきの次の試合だけに照準を合わせてチームを最適化していこうとするプログラムさ。

というモノです。現在、主流になりつつある考え方としては、ロッシが述べていますが、フィジカルコーチとテクニカルスタッフの課題は、選手のフィジカルコンディションを100%の力を出させるという方向ではなく、70〜90%、あるいは75〜85%くらいの幅で、コンディションの波を抑えようとするものになっているって事です。


これは、陸上競技とサッカーの違いを考えるとわかりやすいんですけど、陸上競技の場合、数ヶ月に一回ある大会に向けてコンディションを調整するので、ある一時期に100%のパワーがでるように調整するのが普通なわけです。ところが、サッカーの場合、試合は毎週ありますし、ビッグクラブの場合、2〜3日置きに試合を戦わないといけない。この場合、ある一時期に100〜105%のコンディションになるが、そのあと60%まで落ちてしまうような調整方法はムラが大きすぎちゃうんですね。だから、シーズン通して75〜85%くらいのコンディションを保てるようにメニューを組むって考え方のが、サッカーには合っているって奴です。


ゼーマンのフィジカルトレーニングの場合に問題となるのが、3ヶ月先くらいに一時的にパフォーマンスが最大になるものの、その後、ガクッとコンディションが下がってしまうという奴です。これはムラが大きすぎる訳です。ゼーマンのチームってのは、ムラが大きいんですけど、その理由の一つが、多分、彼のチームコンディショニング方法でして、ある一時期、鬼のように強いけど、その後ガクッと成績が落ちてしまうってのがよくあるんです。Jリーグにもそーゆーチームが時々ありますけど、僕はフィジカルコンディショニングの問題じゃないかと思ってます。


こういった問題を回避するため、とにかく1シーズン、怪我無く一定のパフォーマンスで過ごすってのが非常に重要になっているのが昨今のサッカーとなってます。最近のサッカー選手は給料高いですし、一番駄目なのが怪我でシーズンを棒に振っちゃうという奴なんです。だから、怪我のリスクを極力避け、シーズン通して一定のパフォーマンスを期待できるトレーニングのが好ましいという考え方が出てきてます。


また、薬物の使用に関しても、これ、ある種の反省が出てきているんですけど、クレアチンにしろ、人成長ホルモンにしろ、ステロイドにしろ、確かに選手のパフォーマンスを上げてはくれるんですけど、一方で、これ怪我の原因になってる可能性が高いってのが現状なんです。サッカー選手は毎週試合にでないといけないわけで、薬物投与を常習化させてしまうと、色々な副作用が当然でてくる訳です。怪我の増加や副作用によるパフォーマンスの低下といった問題も含めて考えると、薬物は本当にサッカーで有益なのかって奴です。


ある時期に突然、体がでかくなって、その後、怪我がちになって出場機会を減らしていった選手ってのがサッカーの世界では結構いますが、ああいう選手みると、僕は色々と思う事もあるわけです。


筋肉系の怪我ってホント面倒くさい


って、うっちーの記事がありますけど、こないだ、うっちーが肉離れして戦線を離脱してしまったのは記憶に新しいかと思います。この怪我の原因がクレアチンによるものかどうかとか、そういうのを問題にしたいんじゃありません。繰り返しますが、クレアチンはサプリメントと定義されており、IOCは食品と見なしています。あくまでサプリメントです。


一回、肉離れをやっちゃうと、復帰まで偉い時間がかかるし、足の肉離れの場合、左右の足の筋肉量に差がでちゃうんで、リハビリしないとプレーの精度が戻らないわけです。クレアチンを摂取してると肉離れのリスクが高まるって話をしましたが、こういった怪我のリスクを増やしてまで、クレアチンを摂取するのは、本当に妥当な事なのかって奴です。クレアチンがサッカー選手のパフォーマンスを向上させるのか?これについては色々ありますが、一時的にはイエスです。ただ、シーズン通してみると・・・これがよくわからないというのが現状です。怪我のリスク、特に肉離れのリスクは高まりますからね。ある一時期にパフォーマンスを最大化する為に使うってなら、確かにクレアチンは有効ですけど、シーズン通して80%くらいのパフォーマンスを保とうとした場合、本当に有効なのかどうかは、ちょっとよくわからんって感じです。


これは、ステロイド、ヒト成長ホルモンだったりでも同じですけど、サッカーみたいに年中激しく戦っているようなスポーツで、こういった薬物を使ってしまうと、2〜3年で選手の怪我が多くなりすぎて使い物にならなくなるんでは?というのはあるわけですよ。CAKAが選手にステロイドなんて話がちょっと前に出ましたけど、「怪我が多くなるんじゃね?」とか思っていたんですが、本田が怪我しちゃったり、ドゥンビアがヘルニアとかってニュース見る度に、アレな気分になるわけですよ。


とりあえず、サッカーの世界だと、現状、フィジカルトレーニングが向かっているのは、「一時的にハイパフォーマンスを出すトレーニング」でなく、「年間通してコンスタントに80%くらいのパフォーマンスを出せるトレーニング」になってきているってのがあります。これは、サッカーにおいては、放映権料の高騰などから、試合数が増加した事も関係しています。もっとも、中小クラブであれば、カップ戦は捨ててリーグ戦に専念するチームが多いので、開幕と終盤の時期にコンディションのピークをもってくるって戦い方は、まだ可能なんです。ただ、それが出来ないビッグクラブはとにかく選手の怪我を減らし、一定のコンディションを保つ事が重要になってきてます。


そういう中で、フィジカルトレーニングも又、姿を変えつつあるってのが昨今の流れとなっております。



今日はそのあたりで。ではでは。