最近の The Economist は仕事に関連のある興味深い記事が続いている。先週はスマートフォン、今週はスマートグリッド、そして来週はクラウド・コンピューティングである。
まずはスマートフォンの記事、"The boom in smart-phones: Cleverly simple"(October 3rd 2009)について簡単にまとめておく。
- インターネット可能なスマートフォンの売上が伸びている。
- 通常の携帯電話の売上が前年比で 10% 下がったのに対し、スマートフォンは 15% 伸びている(IDC 調べ)。
- 2015年には携帯電話機(handset)のうち半分が「スマート」になると見積もるところもある。
- その理由は、市場がより簡易なスマートフォンにシフトしていることにある。
- iPhone や Blackberry のように高価格の「ポケット・コンピュータ」から、機能は限られるが人気のあるサービス(Facebook や Twitter)をビルトインでサポートするスマートフォン、つまりオープンソースの OS で低価格のモデルへシフトしている。
- これはネットワークや機器ハードメーカーから、ソフトウェアを作ってサービスを提供する会社へと、価値が移動している業界トレンドを反映している。
- 簡易スマートフォンの例:
- Motorola や INQ
- Facebook / Twitter をビルトインでサポート、アドレス帳が連携。iPhone のようなアプリケーションのダウンロード不要。
- 携帯電話からの Facebook 利用者は 6,500万人以上。自分の好きなサービスさえ使えれば、スマートフォン自体の仕様にこだわらない利用者が増えている。
- この流れの原動力はオープンソース OS Android:
- Motorola も INQ も Android。2009年末までに Android は20機種出る。3年以内に iPhone と BlackBerry の売り上げを抜くと予測する調査会社もある。
- Android のおかげで、iPhone や BlackBerry 以外のスマートフォンが安価になった。
- ソフトウェアを作ってサービスを提供するところに価値がシフト:
- 携帯電話メーカーはコモディティのハードウェアを売る。
- 通信事業者はデータの土管だけを提供する。
- Nokia は Ovi に再注力、Vodafone も複数のサービスをまとめたセットを再スタートさせた。
- このようにシンプルで安価なスマートフォンの普及が始まっている。皆がスマートフォンを持つようになったら、それはもはやスマートには見えなくなる。
最後のオチがよかった。
この記事のように Android は、対 iPhone / BlackBerry の OS と見るのではなく、その下の普及セグメントに向けたスマートフォン OS と見るのが正しいのかもしれない。Android が出て2年、スマートフォン市場への参入障壁が低くなり、コモディティ化が進んでいる。そこでは専らコミュニケーション、つまり音声通話とソーシャルネットワーキングが利用の中心となる。