情報システム関係の人とかこれ見とくといいよ

こんなの出てたから、見ておくといいかもね。

経済産業省では、情報システムの取引において、現行の「人月方式」以外での価格決定方法を模索するため、情報システムの付加価値に着目して価格を決定する「パフォーマンスベース契約」について検討を行ってまいりました。
今般、「情報システムのパフォーマンスベース契約に関する調査研究」報告書として取りまとめましたので、公表いたします。


本文のさわりにはこんなことが書いてあったよ。

1 はじめに
1-1 背景と目的
我が国の情報システム市場は、現在、主として「人月ベース」の価格表示を行っており、それに伴う価格の根拠がユーザ側の価格への不信感につながっていることは従来から多数指摘されている※が、残念ながら、この課題は現在まで業界全体として抜本的に解決されるには至っていない。優れた品質や高い効果を創出するシステムを構築できる付加価値の高いベンダがきちんと評価されるような市場構造が確立されなければ、情報サービス産業全体が健全な発展を遂げることができない。また、人月積算を前提としたFixed Price(固定価格)のみでは、ベンダの品質向上や創意工夫等へのモチベーションは生まれない。さらに、ユーザにとってCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)を始めとする経営層に説明できない価格では、投資の妥当性を提示できず、投資意欲そのものを減退させてしまう。
(ç•¥)
そのような背景を受け、平成19 年度の委託事業(平成19 年度産学連携ソフトウェア工学実践事業(情報システムの信頼性向上のためのモデル取引・契約普及に関する環境整備事業)。以下、「19 年度委託事業」という。)において、パフォーマンスベース契約(Performance Based Contracting:以下「PBC」という。)について、国内外の情報サービス産業に関連する類似事例、他産業の類似事例を調査するとともに、ユーザ及びベンダの問題意識に関するインタビュー調査を実施し、また、情報システムの契約形態によるPBC モデルの整理を行った。

目次はこんな感じ。

1 はじめに
1-1 背景と目的
1-2 PBCとは
1-3 PBC成功の鍵
2 PBC適用の流れ(5ステップの前提整理)
2-1 想定ケースの設定
2-2 想定ケースにおける実施プロセスの整理
3 PBC適用のための5ステップ
3-1 【ステップ1】目的・効果の確認
3-2 【ステップ2】KPIの設定
3-3 【ステップ3】価格設定
3-4 【ステップ4】契約内容の決定
3-5 【ステップ5】KPIの評価と見直し
4 PBC適用におけるその他の論点の整理
4-1 仕様及び提案に関する課題に対するPBCの適用
4-2 米国連邦政府のパフォーマンスベース調達
4-3 PBC仕様検討における第三者の活用
4-4 非金銭的インセンティブ・契約外インセンティブ
4-5 PBC普及にあたって期待されるアプローチ、環境
5 今後の展望
5-1 PBC実現により期待できる社会
5-2 PBC普及にあたっての今後の取組み
(巻末1)事例調査より得られた知見
(巻末2)事例調査結果
(巻末3)研究会委員名簿

KPI*1の設定と測定と評価ってのが、なかなか難しそうな気がするんだけど、こういう方法もあるなーって知っておくのは悪いことじゃない感じ。まだ、私も中を全然詳しく見てませんがー。

そんな感じで、ちょっと広めてみようと思ってエントリしました。ではではー。

追記

関連ニュースみつけたー。

PBCではユーザーにとっては「無駄な投資が減る等,適正な価格でのIT投資ができる」,「目的を共有することから,ベンダーの積極性を期待することができる」,ベンダーにとっては「システムの効果に応じた適正な対価を得ることができる」,「人月ベースの契約から脱却することで,付加価値の創出や効率化に対するモチベーションが向上する」といったメリットがあるとする。
PBCのデメリットとしては,ユーザーにとっては「契約時に価格が確定せず,実績により事後的に価格が変動するため,定額固定契約と比べて予算確保が難しい」,ベンダーにとっては「期待した効果が出せない場合,定額固定契約と比べて収益の縮小となる可能性がある」ことなどをあげている。また,価格を決めるための作業が煩雑となる可能性も指摘している。

国内事例としては以下の価格・報酬形態を紹介している。
・ユーザーとベンダーの協同事業による収益分配
 発注処理システムなどの協同事業型ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)
・取引件数に応じた利用料
 商品受発注EDIシステムASP ユーザー:赤ちゃん本舗 ベンダー:さくらケーシーエス
・事前に決められた販売額と製品仕入額の差額
 ECサイト運営業務のアウトソーシング ユーザー:栄研化学など ベンダー:富士通システムソリューションズ
・事業売上やSLAなどKPI測定値の一定割合
 顧客対応業務のBPOおよび基幹システムのアウトソーシング
 ユーザー:運輸業(顧客対応業務),卸売・小売業(基幹システム) ベンダー:日本IBM
・電話応答率や納期順守率などKPI測定値によって月額サービス料金を変動
 コンタクトセンター運用のBPO ベンダー:NTTデータ
・成功件数×成功報酬額(成功率により調整)
 アウトバウンド営業を含むコール・センター業務のBPO ベンダー:NTTデータ 3C
・ITコスト削減分の50%
 システム運用のITアウトソーシング ユーザー:情報提供業
・ダウンタイムがミニマムを超えるとペナルティ
 ミッションクリティカル・システム運用のITアウトソーシング 
・レコメンド売上の5%
 ECサイトのレコメンドシステムのASPサービス ベンダー:シルバーエッグ・テクノロジー
・取引額の2%など
 商品受発注EDIシステムのASPサービス ベンダー:大塚商会
・粗利益額の変動分に連動
 青果卸売会社向け販売管理ASPサービス ベンダー:NECネクサソリューションズ
・売り上げの1〜3%
 SCMシステムのASPおよび受注・配送業務のBPO ベンダー:イーサポートリンク

結構、国内事例色々あるのねー。でもよく考えたら、私の会社も開発案件で成果報酬みたいな契約結んでいるらしいの、1つ聞いたことあるなー・・・。

ブコメレス

id:paulownia さん

成果をどういう基準で測定してるのか興味あるな。特に売り上げに直結しない社内システムとか。基準に見合う価格はいくら?とか

えー、中身を見るとKPIの設定例とか色々載ってます。一部を画像化してみました。
↓ ↓ ↓ ↓




なんかぼやけて見えにくいですが、これをちゃんと見たい方は、http://www.meti.go.jp/press/20090731004/20090731004-2.pdf でご確認ください。24ページ〜27ページにありますw


id:andalusia さん

これ、どうやって工事進行基準やるんだ?

[追記]対価の額に関する定めの一部又は全部が将来の不確実な事象に関連付けて定められている場合で、かつ、信頼性をもって見積ることができるものについては、パフォーマンスベース契約でも、工事進行基準の会計基準となると思います。
ただし、信頼性をもって見積ることができないものについては、工事進行基準にはできず工事完成基準となるということだと思います。正確な見積もりができるかどうか、という点にかかっていますよね。しかもフェーズごとの。
工事進行基準に当てはまるケースは、やはり少ない気がするのですが、これをむりむり工事進行基準の定義にあてはめて、工事進行基準を採用する必要性は個人的にはあまり感じないです。これがもし採用されるとしたら実際にはどんな感じなのか、またあとで確認してみますねー*2。[追記ここまで]報酬が算定できない成果報酬型契約の場合、工事進行基準は採用できないですよー。工事完成基準にしかしようがありません。
会計基準で工事進行基準の採用をするかどうかとは別に、部分的に、工事進行に応じた支払いにすることはあると思います。特に、パフォーマンスベースと人月併用型契約の場合、算定できる部分だけ工事進行に応じた支払いにすることはできなくもないですよね。
でも、何か事情がない限り、そんな面倒くさいことする場合も少ないのではないかと思うので、パフォーマンスベース契約の場合は、工事進行に応じた支払いもあまりしないのではないかと思います・・・。

[8/5追記]パフォーマンスベース契約で、工事進行基準を採用する際の話の続きです。その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用することとなっていますが、人月単価で計算するのではなく、KPIで計算する場合、その進捗部分により、設定したKPIの何%に達しているのかで算定する、というのがひとつの方法のようです。

なお、工事進行基準についてはこちらもご参照をw


id:team_ei さん

これだとシステムを固定資産にできないのも問題じゃね?

ええと、会計的に、システムを固定資産に扱いにできるかどうかの判断基準は、契約形態が人月型なのかパフォーマンスベース型なのかどうかで判断するのではなく、所有権が移転しているかどうかで判断します。ですので、パフォーマンスベース契約であってもなくても、所有権が当社側にあるのであれば、固定資産扱いにしても特に問題は有りません。
ちなみに、パフォーマンスベース契約で、所有権移転されていない場合は、ASPみたいに考える感じ(機械を借りて成果を出し、その一部を対価として払っているイメージ)だと思います。


id:goukさん・id:jtwさん
国・自治体についてどうなのか確認しましたよw

参照

kataさんがいいこと言ってますw

*1:KPIとは、業務の達成度を定量的に把握するための指標のこと。Key Performance Indicatorの略で、「重要業績指標」と訳される。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20080702/309980/ より

*2:企業会計基準第15号 工事契約に関する会計基準 9. 工事契約に関して、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、信頼性をもって見積ることができなければならない。(1) 工事収益総額(第10項及び第11項参照)(2) 工事原価総額(第12項参照)(3) 決算日における工事進捗度(第13項参照)10. 信頼性をもって工事収益総額を見積るための前提条件として、工事の完成見込みが確実であることが必要である。このためには、施工者に当該工事を完成させるに足りる十分な能力があり、かつ、完成を妨げる環境要因が存在しないことが必要である。