結婚は金持ちのもの

と題した記事がEconomixに上がっている(Economist's View経由;原題は「Marriage Is for Rich People」)。内容はこちらのブルッキングス研究所の報告の紹介*1。


その報告内容は以下の図に集約される*2。

1970年代には、所得階層に関係無く中年男性は結婚していた。その後、既婚比率は全般に下がったが、中低所得者層でその低下幅が大きかった。上図は、30-50歳の男性について、所得階層別に、1970年から2011年に掛けての所得の変化と既婚比率の変化を描画したものだが、両者の相関が読み取れる。即ち、経済的な逆風に曝された層で、既婚比率の低下も大きかった。
具体的には、上位10%においては実質所得は増加した半面、既婚比率の低下幅は95%から83%に留まった。それに対し、中位値の所得はおよそ28%低下し、既婚比率は91%から64%まで下がった。一方、下位25%においては、所得は60%低下し、既婚比率は86%からおよそ半分にまで下がった。離婚経験者の比率は全般に増加したものの、既婚比率低下の最大の要因は未婚比率の増加であった。


女性についても同様の現象が観察される。

所得の上位10%では既婚比率はほぼ一定ないしむしろ上昇したのに対し、下位70%では既婚比率は15%以上低下した。女性については労働参加率の変化が所得変化の計算を難しくしているものの、40年前には独立した収入を持っていなかった女性が半数近くに達していたことを考えれば、所得変化と既婚比率の変化の相関がやはり存在することが伺える。


報告では、こうした結婚格差を解消する特効薬は存在しないものの、より高賃金の仕事を得るための教育や訓練への投資を行ったり、経済的保障を推進する、といった形で経済問題に焦点を当てるのが最善の方法ではないか、と結んでいる。

*1:日本語記事ではこちらで紹介されている。

*2:[2012/5/28]リンク先修正。