人生を生きていく中で誰しもが遭遇する幾つもの岐路。そこには泥で出来た人形が存在し、正しい道を選択すれば魂が宿って真の人間となるが、誤った道を選択すれば泥となって跡形もなく朽ち果てる。
フロリダ出身の四人組「クリード」(2002年現在はトリオ編成)の2ndアルバムは、印象的なジャケットに込められたこのような逸話を機軸に展開する計11タイトルで構成されている。
デビュー・アルバム『MY OWN PRISON』('97) は六千ドルという低予算で作られながら、約二年間の長期に渡ってビルボード・アルバム・チャートの100位以内にランクインされ、最終的に400万枚ものセールスを叩き出した。それはひとえに、グランジ第二世代となる彼等の真摯でポジティヴなメッセージが、ますます混沌としていく世の中で今日を懸命に生き抜こうとする全米、ひいては全世界の若者たちの共感を得たからに他ならない。
そうした前作での成功を受けた形で作られた本作は、前作では貧弱なサウンドプロダクションゆえに霞がかっていた、彼等の類い希なるメロディセンス、胸を打つ奥深いリリック、そしてスコット・スタップのエモーショナルなヴォーカルなどといったクリードの魅力が最大限に引き出されており、前作を遙かに凌駕する見事な傑作に仕上っている。
それはシングルヒットした"HIGHER"(全米7位)、"WITH ARMS WIDE OPEN"(全米1位)といった代表曲に限らず、アルバム全体について言えることであり、全米で初登場1位、トータルセールス1000万枚以上といった結果は、この偉大なる作品を前にしてもはや何の意味ももたない。
恐らく本作は21世紀初頭のヘヴィ・ロック・ムーヴメントの扉を開いた記念碑的作品として、永遠に愛され、聴き継がれていくだろうし、そうあるべき作品だ。