教養としての〈まんが・アニメ〉講談社現代新書 (講談社現代新書 1553) | 大塚英志, ササキバラゴウ |本 | 通販

手塚治虫、梶原一騎、宮崎・高畑から、ガイナックス、岡崎京子まで
作家たちは、なにと戦ってきたか
飛雄馬がアトムから引き継いだものは？アニメ版トリトン最終回の衝撃とは？
主人公の内面をどう描くか。メディアミックスの先駆者はだれか。戦後の古典、名作をたどり、作家たちの手法を読み解く決定版。

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本の長さ

265ページ
言語

日本語
出版社

講談社
発売日

2001/5/1
ISBN-10

4061495534
ISBN-13

978-4061495531
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商品の説明

著者について

【大塚英志】
1958年東京都生まれ。筑波大学卒。フリーの編集者としてまんが誌の編集に関わる一方で、評論家、まんが原作者、小説家としても活動。評論家としての仕事に『物語の体操』――朝日新聞社、『戦後まんがの表現空間』――法蔵館、小説家としての仕事に『木島日記』――角川書店、『多重人格探偵サイコ』――講談社――などがある。学習院女子大学非常勤講師。
【ササキバラ・ゴウ】
1961年秋田県生まれ。早稲田大学文学部卒。85年徳間書店入社、まんが畑を歩む。「少年キャプテン」編集長などを務めた後、95年退社。現在フリーのライター・編集者。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2001/5/1)
発売日 ‏ : ‎ 2001/5/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 265ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4061495534
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4061495531

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- - 639位コミック・アニメ研究
- - 1,235位古典文学 (本)
- - 1,869位講談社現代新書

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著者について

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大塚英志
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1958年生まれ。まんが原作者、批評家。『「捨て子」たちの民俗学』(第五回角川財団学芸賞受賞)などがある。神戸芸術工科大学教授、東京藝術大学大学院兼任講師。芸術工学博士(「BOOK著者紹介情報」より：本データは『映画式まんが家入門　(ISBN-13: 978-4048685627 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ササキバラゴウ
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甘井カルア
もっとエヴァについて語るべきだ。
2022年6月7日に日本でレビュー済み

この本は戦後の古典的な漫画・アニメ界の巨匠を紹介する新書です。手塚治虫、宮崎駿、出崎統……など、令和の若者が聞いたら「古めかしい」と思いかねないほどに、クラシックな作者と作品の数々を説明する本です。しかしこの本に載っている作者と作品たちは、紛れもなく漫画・アニメ界の「開祖」のような存在だと思います。漫画・アニメの歴史を語る者は、この本の内容を起点として履修するべきでしょう。

「第一部・まんが論」は、大塚英志さんが担当しています。
・手塚治虫は、リアルではない「記号」のような画風でありながら、生々しい死や流血を描こうとしました。また、「大人になれない体を抱えた子供はどうやったら大人になれるのか」という問題が、「アトムの命題」と呼ばれています。
・梶原一騎は、手塚漫画の「アトムの命題」を継承した人物だそうです。また、『あしたのジョー』では、「記号的身体と生身の身体との乖離」という問題も継承されています。
・萩尾望都は、フキダシの外の台詞を駆使するなどして、登場人物の「内面」を開拓しました。
・吾妻ひでおは、「オタク」向け表現の先駆者として紹介されていました。吾妻は手塚のように記号的な絵柄でエロ表現をした人で、「不条理漫画」の開祖でもあります。
・岡崎京子は……私の知らない漫画家でした。消費社会が高度に発達すると都市や身体が記号のようになり、岡崎はその中で「アトムの命題」に向き合ったそうです。

「第二部・アニメ論」は、ササキバラ・ゴウさんが担当しています。宇野常寛の『母性のディストピア』の内容は、この第二部とかなり重複していると思いました。宇野さんの議論はササキバラさんの説の二番煎じみたいに感じられて、こういうのは残念ですね。
・宮崎駿と高畑勲は東映動画に入社し、単なる子供向けを超えたストーリー性のあるアニメを制作しました。宮崎はオタクの先達的存在であり、高畑もテーマ性に満ちた名作を創造しました。
・出崎統は虫プロ出身で、アニメなのに静止画を活用する「止め絵」の名手です。出崎はアニメ版『あしたのジョー』で、ジュブナイル成長物語を見事に描きました。
・富野由悠季は『海のトリトン』『ザンボット3』で、正義を相対化する容赦無いストーリーを創造しました。『機動戦士ガンダム』は社会現象になりましたが、『伝説巨神イデオン』では大きな挫折が描かれます。
・最後の「ガイナックス」の章は、私には物足りなかった(笑)。ガイナックスが設立されるまでの歴史が書いてありましたが、エヴァについてはちょろっとしか書かれていない。アニメを教養として語るためには、エヴァを詳しく語らなきゃダメでしょう。

補講として、石ノ森章太郎が紹介されていました。石ノ森は漫画と特撮で『仮面ライダー』の原作を担当した、メディアミックスの先駆者です。石ノ森は『仮面ライダー』の原作者ですが、存命の頃から弟子や他の漫画家にもライダーを執筆させていました。石ノ森は手塚治虫や宮崎駿と違って、自分以外の作者が自作を拡張することを寛容に許します。この自由さのおかげで、『仮面ライダー』シリーズは50年以上生き残れたのかもしれないなと思いました。

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レポート
Ｋ
わかりやすい、まんがアニメ史
2012年6月25日に日本でレビュー済み
私は著者である大塚英志とササキバラ・ゴウ、両氏の本を読むのは初めてだったが、内容はわかりやすく、そして楽しめた。

内容は新書という事もあり、簡素と言えば簡素だ。おそらく、歴史化するのに本当に必要な作品だけを取り上げているのだろうが、その分整理されていて読みやすい。
一章に一作家という具合で、個々の作家論という側面がある。
さらにその作家たちの試みや技術、それらが時系列に沿って継承、または断絶するストーリーは、まさしく「文学史」的な仕草の模倣だけれど、「教養」的には正しいだろうし、読みやすくて良い。

ただ、「はじめに」で書かれている「教養」、要するにそれは本書のタイトルにもなっている「教養」だけれども、どうも判然としない。たとえば、夏目漱石はエラいから教養として読め、という教養ではない、とされている。現代アートとして海外から評価されている「まんがアニメ」の風潮に乗っかっての「教養」でもないと言う。では、何か。それは「目の前にある一つの書物や作品をいかに読み継いでいくか、というとても当たり前の努力や試み」が崩壊している現在、そのベースとなるものを「技術と主題と私的な体験の三つの関わりの中で思考」する事で歴史化し、それをあえて「教養」と呼ぶ事にする、というような少し複雑な手続きの上にある。

なんか、その辺の著者の自意識が私にはわかり兼ねるが、本書はお手軽に「まんがアニメ」史のエッセンスみたいなものを把握出来るので、何らかの創作に携わろうとしている者にとっては実用的だろう。
本書が唱えるように歴史的な達成や問題意識を念頭、もしくは頭の片隅にでも置きながら熱心に読んでくれる「読者」にとっても有益だが、他の人たちにとって、この「教養」がどう生きるかは未知数。
まさか、就職面接で、本書の「教養」を披露するわけにはいくまい。
なので、どうも「教養」という言葉が私的にはスッキリいかない。

さておき、中身はスゴく良いものだ。
まんがパートの中には、手塚治虫や梶原一騎など誰でも知っているまんが家が扱われているにも関わらず、「成熟の困難さ」という一貫したテーマで語れていて、私には目新しく面白かった。
そして、アニメの方は「アニメ史の変遷」という真っ向なテーマだが、こちらの方が当時の事情により分け入った記述が多く、「そうだったのかー」という歴史認識を得られて単純に楽しめた。

読み終えて思ったのは、本書に出て来る作家名や作品群の多くは既知のものであったが、それらの殆どを読んでいない事に気づかされた。たとえば『あしたのジョー』なんかは、パロディや耳学問的に内容を把握しているが、実際読んでいる人はどれくらいいるのだろうか？
その点に気づかされた事は大いにプラスだったし、またどの作品を読むまたは観れば良いか、指針を示してくれるのは、多大な作品群が溢れる現在、有効だ。そして、読んでみようという気に本書はさせてくれる。

さいごに、新書などではなく、500ページぐらいの大著で、大塚、ササキバラ両氏が記した「まんが史」「アニメ史」を読みたい、と思った。少なくとも私はそういう「教養」を欲している。

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レポート
ゾディアック
つっこみが足りない漫画論
2007年5月24日に日本でレビュー済み
漫画の美学的、政治的、社会的、イデオロギー的分析が全然足りない、およそ「おそ松君」的な本。総花的な概説書。もっと漫画への愛が欲しい。

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レポート
釈由美
もっと絵が欲しかった
2003年10月1日に日本でレビュー済み
一気に読めた。前半は大塚氏のまんが論、後半はササキバラ氏のアニメ論である。大塚氏は、「おたく」世代のカリスマとしての圧倒的な存在感から、まんがを深耕しているが、素人の私はアニメ論の方が読みやすかった。特に、宮崎駿さんのところは面白かった。難を言えば、まんが論とアニメ篇が有機的につながっていないことと、アニメ篇に絵がなかったことである。

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Ｃｕｎ
＜まんが・アニメ＞の教養を身につける
2005年3月10日に日本でレビュー済み
この本の基本スタイルは「はじめに」で記されているように
「漫画についての情報は山ほどあるのに読み継がれるべき漫画は何であるかについては伝わっていないのです。それはアニメにおいても同様です。---中略---ならば伝えるべき試みをしてみようと思ったのです。」
もともと著者らはある専門学校でジュニア小説やまんがについて生徒たちに教えるという試みを始めました。そのおりに、著者らが編集の現場で「あのまんがのアレ」と当然のように語り通じていた作品を、学生たちがそういった自明なまんがやアニメについてまったく知らないことが判明した、というところがこの本の原点です。
さてこの本の構成は、第1部まんが論を大塚英志氏が、第2部アニメ論をササキバラゴウ氏が分担で担当しています。専門学校の授業が別枠で行われたためそれに準慮しているからです。
漫画論での手塚治虫や梶原一騎は、まああれだけ一世を風靡したのだからいいとして「萩尾望都」あたりがあって「みつはしちかこ」がないのは何故だ。「大塚さんだ」からなあと感じます。
その点、アニメにいたっては「宮崎駿」も出ている「富野由悠季」も。そして実は「補講--石ノ森章太郎」とあって補講において駆け足ながら永井豪や松本零士にもふれ、ササキバラゴウ氏の部分は読みやすくバランスが取れています。
正直「まんがやアニメ」もここまできたか。とうとう皆が「共通」の知識として知っておく作品がある、すなわち「教養」といわれる時代になってきたそうです。ぜひ皆さんも「教養科目」になった＜まんが・アニメ＞を学んでください。
「芥川龍之介」より「富野由悠季」の「教養」のほうが思春期の少年たちの心に共感するかも。

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モチヅキ
消費社会への適応
2008年2月24日に日本でレビュー済み
　1958年・1961年生まれの編集者が、ただの薀蓄・知識の提示ではなく、漫画・アニメにおける技術と主題の関わりが、戦後期を通じていかに継承されてきたかを、自らの読者・編集者・作者としての体験を足場として読者に伝えようとして、2001年に刊行した本。まず手塚治虫は、記号的な漫画表現を用いて現実を描こうとしたことによって、成熟の困難さをめぐる問題を提示した。それは高度成長期の梶原一騎と二十四年組に継承され、前者は破滅に至る未完の成熟を描き、後者は内面を描く技術の発達の上に、性的成熟との和解の苦闘を描いた。心の成熟を先送りにできる高度資本主義下、吾妻ひでおが先駆的にその意義と限界を提示したロリコン漫画が隆盛を迎える一方、岡崎京子は記号をまとうことで不確かな不安に対処する少女を描きつつ、現実への適応を模索している。アニメ界でも、70年代以降の視聴者の年齢の高まりを踏まえ、東映動画系の宮崎駿・高畑勲は普通のことを普通に描けるアニメを創出し、虫プロ系の出崎統は未知への自然な前進を続け、富野由悠季は社会変化への適応には失敗しているが、おたく市場を創出し、アマとプロの境界線を崩したガイナックスがそれを確立した。実存主義的な作家石ノ森章太郎が模索した、メディアミックス路線も定着している。このように本書は、代表的な漫画家・アニメーターを紹介しながら、全体的に消費社会を自然体で生き抜く方法を模索したと読める。分析はやや抽象的で、「成熟」の定義の一貫性に疑義もあるが、一つの見方としては面白い。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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教養としての〈まんが・アニメ〉講談社現代新書 (講談社現代新書 1553) 新書 – 2001/5/1

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