特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

これは他人事ではない:映画『これは映画ではない』

くっそ〜。ポリーニ・パースペクティブのNHKの放送、やっぱりBS(12月16日深夜)でやんの。KAJIMOTO | ニュース | ◆「ポリーニ・パースペクティヴ」放送のお知らせ/NHK-BSで4時間番組!BSなんか入ってるわけないだろ、くっ(泣)。



最近TVのニュースは選挙ばかりで、どうも気分が悪い。その理由は殆どの政党に共感できないからなのだが、特に酷いと思うのは偽極右が跋扈していること、だ。
ボクは右翼というだけでは人を判断しない。反原発デモなどで聴く鈴木邦男のような人の話は理解もできるし、賛成も出来る。だが安倍とか石原とか橋下を見ていると右というより、ご都合主義の詐欺師のようにボクには思える。
その理由は明快。彼らは尖閣のことを口にしても、沖縄や福島の人たちのことを口にしようとしないからだ。
彼らは二言めには国が大事とか、領土が大事とか言うが、沖縄や福島のことを口にしたことがない。それは、いくらなんでもおかしいだろ。現実に脅かされているのは沖縄や福島の人たちだ。今 困っている人を助けようとしない連中が国なんか救うわけがない(笑)。彼らが大事なのは自分の権力のことだけだ。

どうして、インチキがミエミエの、こんな連中に投票しようとする奴らがいるのだろうか。昔 大正デモクラシーが崩壊したのは政党政治に国民が飽き飽きして、強いリーダー(笑)を求めるようになったからだ。岡田啓介とか米内光正とか軍部出身でも比較的穏健な指導者が登場しても軍部や国民が潰してしまった。挙句の果てには大政翼賛会だ(笑)。それをマスコミや国民は『革新』とか『新体制』って囃し立てた。日本中が焼け野原になるまでは(笑)。よく考えてみればマヌケな話だが、それを過去のことって笑ってられない。もしかしたら、今はすごく大きな境目なのではないか。
                                                      
                                                  

青山で映画『これは映画ではない』(原題:This is not a film) What channel is the college football game on. Oregon spring game: Preview, time, TV channel, how to watch online | NCAA Football | Sporting News
カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭の賞を受賞した経歴を持つイランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の作品。彼は反イスラム映画を作ったかどで懲役6年、活動停止20年という判決を受けて控訴、自宅軟禁中だそうだ。彼が自宅の中で撮ってUSBメモリーで海外に持ち出しカンヌ映画祭に出品したと言う、一部で話題の作品。
●パナヒ監督

映画は監督が携帯電話で話をするところから始まる。以前イラン映画『ペルシャ猫を誰も知らない』を見て日本と同じように若者がフェンダーやギブソンのエレキギター使ってるのを見て驚いたことがある。ボクが映画を見る理由:ペルシャ猫を誰も知らない - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

この監督も他の国の人と同じように''iPhone''を使っている。イランって言う国は元来 大国だし、日本で想像するより豊かな国なのではないか。映画の中で監督はひっきりなしに電話をいじっている。友人に自宅へ来てカメラを回してくれと依頼する電話、弁護士に裁判の見通しを聞く電話。それによって監督が置かれている状況が見ている人間にも大体飲み込めるようになっている。電話をしながら監督は食事をし、お茶を飲む。窓の外を見回す。画面で見る高層ビルの建設現場や朝食の内容などイランの人々の暮らしぶりは、他人の家を覗き見するようで興味津々、面白かった。
●監督のiPhone

やがて監督は自室のカーペットにテープを貼り、部屋を映画のセットに見立てて自作の脚本の朗読を始める。背景を説明し、脚色を熱弁しポーズをつける。だけど、ここはつまんない(笑)。客観的に見ると、なんの変哲もない家の中でおっさんが一人で延々朗読しているだけだからだ。久々に映画を見ながら眠りそうになった。
●自室で懸命に映画を再現する監督

動きが出てくるのは夜が更けてきてから。イランの新年は大々的に花火を上げる習慣があるらしく(劇中 火祭りと呼ばれている)、窓の外は赤や黄色の花が賑やかに咲いている。
それとは対照的に静まり返った部屋にも訪れてくる人たちがいる。犬を預かってくれと押しかけてくる女性、ゴミを収集に来た青年。日本だったら警察に軟禁されている人に周りの人間もあまり関わったりしないと思うが、こちらの人は全然関係ない。警察が押しかけてきたことも平気で話題にしながら、自分たちの暮らしを平常どおり続けている。
終盤 監督はゴミ収集の青年と一緒に1Fへ降りていく。建物の外へ出ることを禁じられている彼の前で、新年の花火が飛び交っている。建物の暗闇の向こうに広がる街路には人が溢れ、楽しそうな光景が拡がっている。

●暗闇の向こうに広がる街路

映画はここで終わる。いや、映画じゃない(笑)。それでも、ちょっと味わい深くて、自由の尊さを訴える映画になっている。ちっちゃなビデオカメラとiPhoneで撮った画像で、ここまで印象深い映像になっているのが驚きだった。

                                                
これは遠い他所の国の話だろうか?ボクはそうは思わない。安倍とか石原や橋下とかが長期に政権でも握ったら、言論弾圧くらいするだろう。だって、君が代を口を開けて歌え(笑)とか救いがたい前例があるじゃないか。
こういう映画が将来 日本で作られないことを心から願います。