SmartNewsは便利なツールか著作物の違法な搾取か

僕も文章をものす側としての立場で考えると、自分の書いたものが広く読まれるのは嬉しいけど、さりとてそれを利用して商売されちゃうと悲しいわけです。別に、タダの物がタダで流通してく分にはそれほど怒ることも無いですが、例えば、広告で収入を得るアプリがうちのサイトにユーザーを流してくれなくなる、ということになるとそれは機会損失なわけですね。

もともと、僕はRSSでは全文を配信しています。それほどアクセスに執着するわけではないけど、自分のあずかり知らぬところで自分のコンテンツで儲ける人がいたらそりゃあねえ。嫌儲というわけではないです。匿名といっても顕名なわけだし、それこそ実名で、ある程度商売として書いている人にとっては死活問題ともなりかねない。

まーそういう意味でははてなのモバイル変換GWとかも酷いなとは思ったけど、あれは実装が糞なので大抵のサイトはまともに見えないということで回避していますねw
あと、はてダはスマホページは無料版だと広告が出るのに課金すると広告が出せないのは詐欺だと思います!!

…えっと…

Smartモードについて

SmartNewsは、ニュースのタイトルがタップされたときに、アプリ内Webブラウザでニュースサイトを開きます。その後、スマートフォンの接続環境上の理由でニュースサイトの読み込みに時間がかかる場合などのために、「Smartモード」としてキャッシュを表示できるようにしております。また、Smartモードの表示中にニュースサイトの読み込みが終了したときには、その旨をユーザにお知らせして元のサイトへ誘導するようにしております。これらの仕様は、著作権専門の弁護士とも相談しながら決定しており、現行の著作権法上、合法の範囲内であると弊社では考えております。

http://www.gocro.jp/post/38619754094/smartnews

早速使ってみました!

  • 最初の読込時にデカデカと「Smartモード(すぐ読む)」が出ます
  • それ以前に記事を「ダブルタップするとSmartモード」と誘導されます
  • Webの読み込みが完成しましたって申し訳ない程度にでるけど広告がないから快適!

うん、広告がないから快適です。つまり、誰もWebモードに行かないのでは…?
ただ、テキストに限る、という感じではありますけどね…

でね、著作権法上は問題ないかもしれないけど、広告を考えるとかなりマズイかもしれない。だって、表示の場合については読み込ませているけど画面に表示されないのでPV型の広告が出す方にとって軒並み意味がなくなるし、クリック型なんてクリックされないわけですよ。これは広告業界に激震が走るぞ…

そういえば、イケダハヤト氏が珍しくまともな話を書いています。この人誰にどうやって食わせてもらってるだろと疑問に思うようなエントリですが。

とりあえずSmartNews問題の解決は、

・逸失したであろう利益をメディアやライターに補償する

もしくは

・逸失利益は補償せず、まずはコンテンツの無償提供にメリットを感じるパブリッシャーに限定して配信する(BLOGOS型)

というざっくり2択になるのでしょう。アプリのマネタイズの状況にもよりますが、現実的には後者のやり方になるのかもしれません。個人的にはスポンサー記事などによるマネタイズ&レベニューシェアを模索してほしいところですが…。

SmartNews問題、転載されているブロガーとして思うこと

いやね、これについては僕も同じように感じているんですよ。極端な喩え話をすると、Webテキスト業界のJASRACになればいいんだ!ってね。まあ、無理だけど。

今回の騒ぎは著作権法上どうなの?という話になっていますけど、僕としてはこれは完全にビジネスの問題だと思います。もし法的な問題があるとしたらそれはキャッシュの使い方次第だと思うし、まだ仕組みのところはよく見えてない。僕のサイトが表示されてたらやってみれるんだろうけどなあ。
これは、NAVERまとめにも通じる話です。というか、昔からよくあった話。RSSリーダーなんかもそれを乗り越えるために議論がたくさんあったと思います。
うん、これ全文配信RSSリーダーと同じなんだよね。強制的に全文配信させられるような。

で、ビジネスの問題なんで、著作権法がクリアできていたとしても問題になる可能性が高くて、そこについて一切弁明していない、ということがこの会社のスタンスを明確にしているといってもよいでしょう。
でもね、RSSリーダー問題の当時に比べても、今はWebのマネタイズが進んでいますし、ググるさんも不正に厳しいんです。仮にSmartNewsが広告を載せて稼ぐモードに入ったとしても、主要ニュースは対価なしにはアクセスを許さなくなるだろうし、個人のコンテンツすら危ういです。そして、悪評が立つとググるさんも広告載せてくれないかも。そのあたりを勘案して考えた時に、この弁明において「著作権専門の弁護士とも相談しながら決定しており、現行の著作権法上、合法の範囲内であると弊社では考えております」と言ってしまうことに前時代性を感じざるをえないわけですな。

過渡期の産物だよ。