不動産屋のラノベ読み

不動産売買営業だけどガチガチの賃貸派の人のブログ

人力検索はてなを信じてはいけない


人力検索はてな - 昨年2月に不動産屋を通して借家を探し、転居しました。昨年末、銀行の方が来まして●●さん(大家)はこの家には住んでいないのですか?とだけ聞いて去っていったそうです(..
http://q.hatena.ne.jp/1168127749

昨年2月に不動産屋を通して借家を探し、転居しました。昨年末、銀行の方が来まして●●さん(大家)はこの家には住んでいないのですか?とだけ聞いて去っていったそうです(家人談)。昨日、裁判所の方が来られて「この家は競売にかけられます」と。どうも大家が銀行に借金してこの借家を建てたのだが、その借金を返済していないらしい。強制執行になったのでしょう。いちおう今年の5月までは住めるということでしたが……。気持ち悪いので転居したいと思っています。この場合、大家や不動産会社に対し何か要求できることはあるでしょうか。少なくとも転居費、室内清掃費は出して貰いたい。皆様の御知恵を拝借できませんでしょうか。よろしくお願い申し上げます。


 これに対する回答なんですが、皆さん、結構間違ってるんですよ。

普通の契約でしたら2年だと思うので、2年後の2月までは済む権利が守られます。それを5月までに立ち退きを要求されているということですので、立退き料の請求は可能です。

少なくとも転居費、室内清掃費ぐらいは出るはずですし、弁護士等の専門家を間に入れれば、プラスアルファも出ると思います。

http://house.goo.ne.jp/useful/column/C00330.html

http://www.jichiro.gr.jp/question/horitsu_sodan/200208_no695.htm

http://www.hyogoben.or.jp/kurashi/050419.htm


 ↑競売じゃなければ、確かに立ち退き料が出るわけなんですけど。
 文中リンクも結構微妙です。1番目と3番目は良いのですが、2番目は民法改正前の2002年の記述ですから、記事が古すぎて参考にならない、というよりもむしろ質問者に害があるくらいです。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa902301.html

>競売にかけられた借家


 ↑これも、改正前のケースだと思われます。参考にしないで下さい。




 で、私が4番目の回答だったのですが、質問者はオープンせずに終了してしまったようです。ちょっと恥ずかしかったのですが、私自身で私の回答をオープンしました。質問者が後から気づいてくれれば良いのですが。


 ポイントをまとめますと。

  • 賃貸借は競売買受人に例外を除いて対抗できない。
    • 競売に対抗できる賃借権は、概ね以下の通り。
      • 抵当権設定前の賃貸借契約(ただし、契約更新時に抵当権があった場合は当てはまりません)
      • 抵当権者の同意があり、かつその旨の登記がなされている場合。
  • 賃借人は、競売買受後6ヶ月以内に退去しなければならない。原則、買受人は立退き料を支払う義務はない。
  • 退去時の敷金返還請求は前所有者に対して行う。買受人に対して請求できない。


 こんな感じです。







 今回のケースで思ったこと。

  • 法律の相談を検索するときは、改正に気をつける。できればhttp://www.houko.com/で条文を自力で読む。
  • PC周り質問のような、はてなの人が平均知識レベルが高い場合や専門家COがある場合を除いては、回答を頭から信じてはいけない。


 もちろん、このエントリや、件の私の回答も間違っているかもしれないので、気になる方はおのおのメディアリテラシーを発揮して下さい。つか、間違ってたら教えて下さい。