Creative Commons License

事業評価の考え方:あるリゾートを例に

山形浩生 (2006/6/26, 2006/7/3 に加筆)


要約: 事業収支は、まずビジネスモデルを見て、それからわかる範囲で数字をおさえ、その条件をいろいろ変えてみればいい。常識さえあれば高校生にもできる話だ。あるリゾートを例にそれをやってみよう。マナアイランドリゾート
注: 写真と本文は関係ありません。
写真はフィジーのマナアイランドリゾート


1. はじめに

  なんか例の ap bank に関する駄文を見た人が、融資先についてあそこで言ってる「もとがとれるかわからない」とかいうのは予断をもって見ているのではないかとかなんとか、事業の本当の中身はわからない以上そういう決めつけはどうのこうの、そんな簡単に事業のよしあしがわかるものか云々というメールを送ってよこしてくれたことであるよ。まったく浜の真砂はなんとやらブツブツ……

  おめえさんがた、むずかしく考えすぎ。もちろんそりゃあ、その事業の微に入り細をうがって知ってるわけじゃないよ。でもだいたいの見当はつくんだ。だって、そんなむずかしい話じゃないもん。事業収支なんて、考えることは実に簡単で、常識さえあれば高校生だって十分にできる話なんだから。

  少し数字が出ていていちばんわかりやすい例として、このマーシャル諸島のリゾートプロジェクトを見てみよう。そしてそれを見ながら、事業分析のだいたいの筋道を教えてあげよう。

2. まずはビジネスプラン。

  まず考えるのは、そもそもこれが事業としてちゃんと商売になりそうか、ということだ。いきなり数字なんか見るんじゃないよ。客はだれ(というのは実在してそうな人間か)? この商売は他の人が提供していない何を提供できるの? 常識的に実現できそう? つまり「一泊一億円出すエコロジーに敏感な金持ちを対象」とか、「エコロジー思想に共鳴した同志ボランティアによる無償労働ですべてをまかない」とか、そもそもありえねーよ、というような客や条件を想定してないか、というのを見るわけだ。

  さてそれで考えると、このリゾートは、島一つにコテージが一つ。一度に一組の客しか取らない。ゴージャスでエコロなリゾートが売りだ。ふむふむ。写真はきれいだし、気持ちはよさそうだね。マーシャル諸島はダイビングのメッカだし、好きな人はすごく楽しいんじゃないかな。客はエコロ意識があってダイビングが好きで、ちょっと浮き世から隔絶されたゴージャス気分を味わいたいような人。そういうリゾートは他にもあるし、この立地条件は他にはない魅力を持てる可能性はある。だから一応、事業としての売りがあることはわかる。この点は合格だ。

 ただし、リゾートならある程度自分でイメージできるかどうかで判断つくけれど、ニッチなものとなると、なかなかわからない。コピーのトナーをつくるときの触媒生産のプロセスをちょっと簡略化するナントカ、と言われても、普通の人はわからない。だから、必要なら土地勘のある人にちゃんときくこと。

3. お金はわかるところから:まずは売上で外堀を

 じゃあ次だ。ここでやっと、お金の話を見ることになる。でも、コストとか投資とか、ぜんぜんわかんな~い……と泣き言を言わず、わかるところから見よう。そしてここではいちばん大事なデータはだいたい予想がつく。事業の売上だ。

  さっき述べた通り、ここは一度に一組の客しか取れない。一泊の料金は? ここに料金表がある。 一人で使う場合から多人数で使う場合まで、料金にそこそこ開きはある。まあ切りのいいところで、一泊平均 500 ドルで見てやろうか。慣れた人なら、この数字を見たとたんに絶望感にとらわれることになる。が、続けよう。

  年間の売上はいくらになるだろうか? 一年 365 日だから、年間の売上は:

USD 500 x 365 = USD 182,500 = 約 2,000万円 (税別)

  ……とはいかない。この手の宿泊リゾート系を見たことがある人なら(いや常識がある人なら)すぐにわかるけれど、この手の代物が 365 日フルに埋まることなんかあり得ない。リゾートはシーズンものだから、来るときには集中してくるけれど、こないときはだれもこない。日本の休みには人はくるし、週末にはくる人もいるだろうけれど、ふつうの平日はこないだろう。一室しかないから、まあ世界で毎日だれかしら使いたいと思う人はいるよ、とも考えられる。でもその一方で、客がリゾートの都合にうまくあわせてくれるわけもない。二、三泊する客があったら、その前後一日ずつくらいはどうしても空いちゃうんじゃない? そんなこんなで、稼働率 50% がいいとこでしょ。

 実はここも、実際には土地勘が必要だ。プロ野球で、打率3割というのが高いのか低いのかは、知らない人にはまったく見当がつかない。それと同じで、相場の感覚が多少はないと、とんでもないミスをすることはある。(ただ、プロ野球の場合と同じように、多少なりともかじればそんなにはずさないですむ)。ここでも、知らなければ調べろ! 聞け! 幸い、このネタはぼくは多少は知ってるのだ。

  てなわけで年間の売上は

USD 500 x 365 x 50% = USD 91,250 = 約 1,000 万円 (税別)

  年間一千万円。……いっせんまんえん~~??? これ、利益じゃないよ。売上だよ? この中から、このリゾートは人件費も払って、設備機器の修理メンテナンス費用も出して、洗濯代も出して、発電用の(高価であろう)ココナツオイルを買って、保険 (建設費の 2-3% だから、まあ 200 万くらいは覚悟するでしょ) を払って、各種広告宣伝費を出して、各方面にキックバックを払わなくてはいけないわけだ。日本の展示会に来て売り込みなんかもしてるようだ(これは出展料とかも結構するから、これだけで 200-300 万円の世界じゃないの?)。これは現金収支だけ見てるので、減価償却はぜーんぜん無視。あ、そうそう、それに ap bank への利払いと返済もしなきゃね。

  これらそれぞれがいくらかかるか、なんてことを計算してもいいんだが、いちばんわかりやすいところで、これは日本人がやってる事業だ。さて、このプロジェクトの社長(あるいはプロジェクトマネージャでもいい)を雇うのにはいくらかかるでしょう? 有能な日本人マネージャ (非常にニッチな営業能力があって、英語もできて、施設のマネジメントも労務管理もできて、という人材だ) を雇うのに、年間 1,000 万円で足りると思う?

  きついんじゃないのぉ?

  この程度のことをざっと考えるのに、所用時間はほぼ三分。こりゃあとても無理だ、と思うわけですな。ぼくが融資担当者なら、この時点でもう却下。

4. 起死回生の策は? 少し条件を変えて検討する

  これで終わってもいいんだが、可能性が他にないか考えてみよう。いろいろ変わる可能性のある部分を考えて、うまく帳尻が合うような話ができないかを考えてみよう。

  たとえばここの事業会社が、「いやいや稼働率を上げる秘策がございまして、ウチは小規模だからネットと口コミだけで部屋は三年先まで予約がいっぱいなのです」という話を持ってきたら、そりゃ聞きましょ。「最近の日本人は、エコの看板さえつけばそれだけで入れ食いなのです」となれば(ちゃんと裏付けがあれば)、話半分でもまあ正式検討してあげてもいい、かもしれない。

 がぁ、どうだろう。現状の室料、そして一年が 365 日というどうあがいても変えられない条件、さらにはそんなに都合よくびっちり客が入るわけない、という冷酷な事実は変えられない。驚異の 8 割稼動を実現したとしても 年間売上 1,600 万円でしょう?

  稼働率を上げるには、長期滞在を増やす、という手はある。そうすると、入れ替え時のロスがないからね。が、それでも売上は増えない。一週間単位で滞在する人ばかりでびっしり 1 年埋まったとしたら、さっきの料金表から見て (長期滞在は割引があるから) 稼働率 100% でも総売上 1,400 万円だよ。間をとって、必死でがんばって、年の売上 1,500 万円というのが現実的な数字の上限の上限の上限っぽい。

Note: 考えてみれば、この長期料金の設定を見ると、短期滞在客でだいたいどのくらいの稼働率が暗黙に想定されているのか計算できるわけだ。ふーむ、おもしろい。さらに料金の年間変動を見ると、そこから稼働率がだいたい推計できるはず……レヴィット一派ならこれでペーパーを一本書きそうだな。

  それに対して上のコスト費目をざっくり計算すると、日本人の給料を除いても、800 万くらいはかかっちゃうんじゃないのかな。それに給料年 700 万で働くという奇特で優秀な日本人マネージャがいたとしても……やっと収支とんとん。つらいなあ。とても投資回収なんかできそうにないじゃないか。

  というわけで、土地建物を無料で手に入れたとしても、帳尻があうかどうかなかなかつらいところでございます。土地建物っていくらくらいなのかね。そんなすごい建物ではなくても、外構とか桟橋整備とか結構するぞ。けど、そういうのはあまりいじらなかったとしようか。それでも大負けに負けても、ざっくり 5 千万円? (それですむとは考えにくいが)いままで見てきた収入で、これを回収できると思う?

  ぼくはつらいと思うな。 だからぼくは「もとがとれるかわからない」と言ったんだよ。

  ちなみに、逆からも計算できるよ。5 千万円という投資がまあ正しかったとしよう。どのくらいの儲けが欲しいだろうか。発電所だと、世界銀行は総資産に対する利益の割合 (ROA) が 8% はないとダメ、と言っている。リゾートなんて電力より圧倒的に売上も変動するし、リスキーだから、まあどんなに甘くても10% はいるんじゃないのかな (15% といいたいとこだが)。総資産と投資額はちがうけれど、だいたい似たようなものだと考えれば、年間 500 万円は利益が出ないとダメ、ということは費用は年額 1,000 万以内におさえろ……無理無理無理無理無理ぃぃぃ。

  というわけで、事業の分析なんて、この程度の話なんだよ。むずかしいことは何もない。稼働率のおおまかな常識を知っていれば、その他の部分はほとんど単純なかけ算で出てくる。そしてこれだけで、この事業についてそこそこのことはわかるわけだ。事業収支というと、エクセルで表を組まないとダメだと思ってる人もいるけれど、もう本質はこのくらいのところで見極めがついている。

  もちろん、ふつうの事業だと、こんな具合に売上を見た瞬間にありえねー感が漂ったりはしない。ここも、島/コテージが 10 軒あって、年商 1 億という話になったら、こんな分析だけでは足りない。人は何人くらいかかるかをもっとちゃんと検討するだろう。だって、コテージ 1 軒で 5 人がかりでも、2 軒なら結構掛け持ちができるから(料理人とか)、6 人いれば切り盛りできそうでしょ。税金や保険もきちんと調べる。客収入だって、ここみたいにいるかいないかじゃすまない。ツアーを組んでもらったりとか、いろいろ稼動を上げる手も出てくる。だから検討すべき可能性もいろいろ増える。そういうのをいろんなインタビューや資料をもとに、根拠をもってつめなきゃいけない。でも、事業規模が小さいと、そこまでするまでもないのだ。

5. Caveat Emptor:ご判断は自己責任でどうぞ。

  もちろん、ぼくの知らない条件がある可能性は結構ある。無料で働く変なマネージャがいるのかもしれない。マーシャル諸島の人を給料ゼロでこきつかう手だてがあるのかもしれない。ココナツオイルの発電機というのは、実は異常に安いのかもしれない(が、そんなわけはないと思う。たぶん 10 中 8, 9 で、これはただのディーゼルエンジンをちょっといじっただけだと思う。Mythbusters でもやっていたけれど、いまのディーゼルエンジンは優秀で、天ぷら油の残りでも走るのだ)。あるいはマーシャル諸島は建設費がやたらに安く、あんなリゾート整備なんか 200 万円もあればできてしまうのかもしれない。だから断言するには注意が必要だ。

  なぜそう思うかというと、こいつら一応、このリゾートを立ち上げたという実績があるからだ。一応、そのときにはソロバンをはじいて、これなら採算とれるし借金も返せる、というような事業計画をたてているはずだ。この料金設定だって、それをもとに考えてあるはずだ。それはたぶん、上みたいに三分で却下されるようなものではないはずなんだ。それは何だろう? ここではそれはわからない。その意味で、まったくぼくの気がつかなかったビジネスモデルがある可能性はないわけじゃない。

  が、そんなに大きな可能性じゃないとは思う。なぜかといえば、そんなうまい話があればみんなやってるはずだからだ。これまた事業評価で必ず考える必要のあるところだ。非常にうまい仕組みで見事に儲けも出る、という事業計画書をだれかがもってきたら、必ず考えること:なぜこれまでこんなオイシイ話が放置されていたのか? たとえばインターネットができてあれやこれやが変わった、新しい検索アルゴリズムをおれが考案した、それまでは規制でそれが禁止されていた、等々、オイシイ話は必ずそれを可能にする変化が伴っているはずだ。なぜかだれも気がつかなかったんです、というのは、絶対ないとはいわない。たとえば、これまでは一泊100万円のリゾートなんてものはなくてだれもやろうとしなかったが、それがあり得ることが XX の状況から類推できるようになった、なんてのはあるし、店員に女中のかっこうをさせただけで、キモヲタどもがあんなにホイホイ釣れるとはだれが気がつきましたでしょうか。あと開発系や観光系は、まだまだ見落としはある。地球は広いので、まだ文明人がいったことのない場所は残っているから。それでも、一応ここで行われた革新ってなあに、というのは気にはしなきゃいけないのだ。

  あと、可能性があるとすれば、副収入みたいなのがあればね。食事は別料金だというので、「食事は原価 100 円くらいのものを、一食 40 ドル取ってボッたくるんですわ」となればこれはかなりの儲け(これは実際ありそうだな)。日本のホテルは、宴会収入がやたらにでかい。が、ここではちょいと無理か。うーん。みやげものとか DVD レンタルとか、一部のリゾートでは客単価のかなりのの部分になったりするが、どうかなあ。ディズニーランドじゃあるまいし。スキューバとかのレンタル、インストラクターやツアー手配なんてのはあるかも。うーん。でも小遣い稼ぎにとどまりそうだし、どうなんだろう。

  ただしこれは別に、このリゾートがよくない、ということじゃない。いやむしろ、この中身でこの値段なら、サービスその他にもよるけれど安いんじゃないの? パラワンやバリのアマン系でこの手のことをやったら、一泊 1,000 ドルじゃききませんぞ。資金が底をつく前に行っておくといいかも。

  ぼくがここの出資や融資の審査をするとしたら、今みたいな話をガーッとするだろうね。それであれこれ意見するだろう。まず、客単価あげちゃだめなの? ものすごいニッチなところを狙ってるんだから、もっと徹底したピンポイント営業にして、とかいうわけにはいかないのかね。

  あとはこの島一つだけってのはあまりに効率悪いから、もうちょっと拡大できないのかなあ。島がもう一つくらいあって、そっちは小屋が三つくらいあって、とかいうなら。一室しかないと、人がいなければ日銭は一銭も入ってこなくてあまりにつらいぞ。あるいは本島にでかいホテルがあって、その離れみたいな位置づけになっているというのでもあり得る。が、ここ単体でこの事業がどうやって成り立っているのか、かなり疑問。

 といった具合だ。事業の分析ってのは、だいたいこんなような話なのだ。ap bank はここにお金を貸すときに、このくらいは考えたのかなあ。考えてなかったらかなり怖いんだけど。ちなみにこのリゾートのウェブページは今年に入ってから更新がなく、トップに出ているのが 「ap bank に融資を受けました」という一言。そんなことを売りにしなきゃいけないほどセールスポイントが不足してるのかなあ。

では問題!

 じゃあ、いままでの話をふまえて問題だ。

1) まともに考えると、ここは一泊いくらに設定しなくてはならないだろうか?
 「まともに考えると」というのはつまり、稼働率が常識的な 50-60% でも、総投資に対して年間 15% の利益を確保できるようにするためには、という意味だ。その他の条件はすべて今のままにしておこう。

2) その宿泊料を実現するためには、どんなお客を狙う必要があるだろうか。そのためには、ビジネスモデルをどう書き換える必要があるだろうか。
 宿泊料で、だいたい泊まる客の顔は見える。その客は、単にエキゾチックな孤立したダイビングメッカというだけでくるものだろうか。ほかに何か追加すべき機能、サービス等々は思いつくだろうか。ここらへん、他のリゾートが何をやっているかとか、近いコンセプトの店はどんなものを提供しているかを考える必要がある。

3) そのビジネスモデルを実現するには、何が必要だろうか。それはいくらぐらいかかる?
 サービスや機能は、すべて実現するのに金がかかる。それは新しい設備を買ったり作ったりする投資であり、また余計に人を配置したりインストラクターや技術者を呼んだりするための運営コストだったりする。

4) その想定客は、放っておいても集まるだろうか? そうでなければ、どういう手を使うと集められるだろうか?
 しょせん一室だから放っておいてもくる、という考え方はある。だがそうでなければ考えなきゃいけない。あらゆる手を使って六本木ヒルズのパーチーに入り込んでとか、福井総裁とオトモダチになってとか、特殊なやりくちが必要になるかもしれない。もちろんそのための費用は当然かかるわけだ。

5) いろいろ余計な投資や出費があることがわかった。それを組み込んでもう一度室料を考え直そう。
 その新しい想定は、新しいビジネスモデルの想定範囲内だろうか? そうでなければ、どこかコスト等を削ることでおさめられるだろうか? それとも、ビジネスモデルをさらに書き換える必要があるだろうか?

 いや、ぼくも別にこの正解(特に 3 以降) を知っているわけじゃない。解答を送ってきても採点したりしないよ。(でもいまざっくり計算してみると、一泊 15 万円くらいないとダメじゃないかなあ、という計算になったんだけど。) ただ、こういう形で事業ってのはかためていくのだ、という考え方の説明として見てくれ。もちろん、「新しい試みなんだからやってみないとわからない!」というケースはよくある。でも、だからってなんでもやみくもにやればいいってもんじゃない(もちろん、全額自分のポケットマネーでやるならそれはあなたの勝手だけれど)。だいたいの見当ってのをつけるための努力くらいはしてもバチはあたらないよ。事業を検討するってのはだいたいこんな話なのだ。


付記

追記:ネタにした先のリゾートのウェブページが 2006/7/3 に見ると突然移動していて、トップページは「マーシャル諸島政府観光局」のウェブページになっている。いろいろ見てみると、ここをやっている(有)マーシャル・イズまたはマーシャル・アイランド・ツアーズというところが、マーシャル諸島政府観光局の日本向けの作業を受託したらしい。

 いろいろこの新しいサイトの中を見てみると、セレンティパー・アイランド・リゾート(というのがここでネタにした一室しかないリゾートだ)に関する記述はサブディレクトリに追いやられている。ap bank への返済は無事だろうか? それと見ていて気がついたことだが、貸付はこの会社(旅行会社)が持っている NPO 「マーシャルズ・オーシャニック・インスティテュート」に対して行われているようだが……営利企業の事業に直結するリゾート建設所有運営を、その企業のお手盛り NPO がやる? 非常に不健全な気がするんだが。マーシャル諸島の NPO の扱いがどうなっているのかは知らない。かなり税制優遇などある可能性もある。まあさすがにイケアみたいなすごいことにはなっていないと思うが。

 また、ap bank のほうのサイトにあれこれこの NPO の活動報告がアップされているが、これによると総建設費は 1,500 万円だという。

 …… 1,500 万円? ディーゼル発電、ゼファーの風力発電太陽電池ハイブリッド等、正和電工のバイオトイレ、100 平米のコテージ、ガゼボ、桟橋、整地、通路、配線その他すべて入れて? 信じられん。バイオトイレだけでも 100-200 万円、ゼファーのハイブリッドも 100-200 万ほどするんだよ? しかもそれをマーシャル諸島まで運ぶ輸送費は? でも一棟だけだから、ディーゼル発電も下手すると露店で使ってるようなのでも十分かもしれない(一応、別棟に入れてそこそこサイズありそうではあるが。その後、写真に移っているのを見ると、スズキの 2500 W クラスのやつだ。50 万円ほどってところか。)。建物もそんなに立派でなくてもいいか。台風きて吹っ飛ぶ程度のものでいいとしよう。すると、あとは労働力を思いっきりおさえれば(たとえば他の営利事業事業のほうでそっちを持つとかすれば)、こんなんでおさまる可能性はあるか。すると一泊もう少し安くはできるかもしれない。でもそう大きくは変わらないだろう。人件費の削り方では一泊 10 万円弱ですむかもしれない。その一方で、他のホテルを見ると、どこもだいたい一泊 100 ドルとか 150 ドルとかいう世界だ。うーむ。

その他雑文 インデックス YAMAGATA Hirooトップに戻る


YAMAGATA Hiroo <[email protected]>
Valid XHTML 1.0!クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
の下でライセンスされています。