最近の噂
風の噂ではございますが……
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2011/6
なぜか スタバの全店で、シナモンが引き上げられている。どうしてだろう? 毒入りシナモンでも出回ってるのか?(2011/6/22, id )
ときどき ツイッターって挙動がよくわからなくて困惑することがある。実は『ぼくらはそれでも肉を食う』についてこんなご指摘 (画面 ) をいただいた。まちがっている箇所をうかがったところ、ツイート削除のうえご本人のブログ でご回答をいただき、二つほど例をもらった……はずが、ツイートはなぜか復活 (よいことです)、コメントも消えている (キャッシュには残っているので、夢ではないはず。これはこの人が意図的に消したんだろう)。ツイッターって消したコメント復活できるの?(付記:削除してないそうな)
指摘されたのは、p.252 の「アカゲコロバスザル」が「アカコロブス」であるべき、というのと、あともう一つネズミがらみのがあったんだがキャッシュで読めない。できれば復活 (&追加) してほしいところ。 (2011/6/20, id )
知らなかった。 マーヴィン・ピーク『ゴーメンガスト』三部作、続きは予定されていたが完成しなかったと聞いていたが、2010 年 1 月に、ピークの未亡人の孫が、彼女の母親メーブ・ギルモア(えーと、つまりピークの娘? 義理の娘? でもメーブ・ギルモアというとその未亡人本人じゃないの?)がピークのメモを元に書きあげた原稿を発見して、それがついに刊行される んだって。
むろんそれをピークの作品として扱うべきかというのは、例によって純粋主義者と拡大主義者の間で幾多の論争が繰り広げられるだろうけど、解説を読むとなかなかおもしろそうで是非読んでみたいところ(でも面倒そうだから翻訳が出るのを待つ。でも浅羽莢子は他界してしまったし、だれがやるか……という以前に東京創元社は出してくれるだろうか)
でもその前に、タイタス・アローンを読まないと。 (2011/6/17, id )
昨日 、『ヤバイ経済学』 の公開記念トークショーの様子が映画公式ブログで公開されている んだが、下で書いた「本を読ませろ」ネタって、前日の町山智浩氏もまったく同じものをとりあげている のでびっくり。
さて、その中でかれはラリー・サマーズに触れていて、「サマーズは「科学の分野で女が成功しないのは女がバカだからだ」って言っちゃってクビになっちゃった」と述べている。確かに一般的にはそういうふうに理解されているんだが、サマーズは実はそんなことは言っていない。
平均で見ると、女のほうが頭がいいのだ 。サマーズはちゃんとそれも言っている。ただ、男のほうが分布がばらけている。したがって、物凄いバカも多いが、ものすごい天才もいる。だから最先端科学みたいな、紙一重のキチガイが跋扈する世界では、男のほうが比率が高くなるんじゃないか? サマーズが言ったのはそういうことだ。
さて、これは「女はバカだ」と言ったことにされるべきか? むろんこの発言は「だから女は最先端研究する学者は目指さないほうがいい」という結論につながるし、そうした最先端キチガイのスクツたるハーバードでそれを言うのは「おまえらハーバードにいても意味ないんじゃねーの?」と言うに等しくて、大変不用意なのは事実なんだけど。でもこれはあくまで現状分析でしかなくて、かれなぜそうなるのかについても少し考えていて、決して「女は学者になるな」という結論ではなく、そういう現状を変えるような話につながっているんだけど。
個人的には、サマーズは頭よすぎるが故に嫌われていて、こういうときに火消しにまわってくれる味方がいなかったのが敗因という説が妥当だとは思う。 (2011/6/16, id )
今日 、Fortean Times で教わった、くだらない陰謀説。中世はまるごとすべてねつ造だった! これをPhantom Time Hypothesis (PTH) という。
どういうことか? 1582 年に、ヨーロッパの暦はユリウス歴からグレゴリウス歴に切り替えられた。なぜかというと、ユリウス歴は実際の一年より 11 分ほど長くて不都合だから。で、1582 年までにその 11 分が累積したので、少し暦が先走っていたために、それを補正すべく10 日ほど切り替えのときに日付を直したそうだ。ここまではまったくの事実。
でも、計算してみてほしい。\(11 min/yr \times 1582 yr \cong 17,500 min \cong 12+days\)。本当なら12 日強ずれていたはずじゃないか。なのに、なぜ 10 日の補正だけですんだのか? これがPTHの核となる問題だ。
答:実は、暦が切り替えられた 1582 年は、1582 年ではなかった! 1300 年くらいだったからだ。なんでそんなことになっていたかというと、実は神聖ローマ帝国は実在しなかった三世紀近くをねつ造しているのだ。それが資料のあまりない、中世の暗黒時代なのだ! かれらがあちこちの資料にねつ造情報をまぎれこませて、中世初期というものをでっちあげてしまったのだ!
く、くだらねー。でも支持者たちは、いろんな文献を探しては記述上の一貫しない部分や不明確な部分を指摘して、これぞねつ造の証拠と意気込み、それを企んだのはだれかといろいろ詮索してるんだが、やはり最大の問題点として、「だれがやったにせよ、何が悲しゅうてそんなへんなねつ造をせにゃならんのよ」という基本的な問題に答えられないこと。この支持者たちの説では、オットー三世(980-1002)が、ミレニアムのときに在位していた皇帝として後世に名を残したいがためにやったとかいうんだけど、もしそうならばこの人の在位中に「あ、今年は 690 年だけど、でも今日から 990 年ってことにしようね」と言い始めたことになる。それはあまりに変でしょう!
……といって聞く耳を持つ陰謀論者たちではないんだけど。いや-、馬鹿なこと考える連中がいるんですねー。まてよ。もしこれが正しいなら、日本では大化の改新とか遣唐使とかはなかったということで……そうか、あれは厩戸の王子のねつ造だったのか! ちなみに、大化の改新はなかったという説は実際にある。というわけで、その首謀者の論文 。 (2011/6/13, id )
先週 、『ヤバイ経済学』トークショー でも使ったネタなんだが、まあここしばらく経済っぽい映画が多いのだ。『ヤバ経』はもとより、腐った金融業界を描く『インサイドジョブ』、言及はさけたい『もしドラ』、そしてもちろん、かの『ブラックスワン』 ……(笑)
が、その『ブラックスワン』を先週実際に見て、これはあながち冗談ではないかもしれないと思い始めた。
本の『ブラックスワン』は、だれも実際に起こるとすら思っていないような低確率事象のことだ。一方、映画『ブラックスワン』は、ナタリー・ポートマンが演じるバレリーナのニナが、「白鳥の湖」(実はぼくが幼稚園くらいの時に白鳥の湖がやたらにはやったんだよなー)主役に抜擢されたことを中心に起こる悲劇。全然ちがう話に思えるんだが、でもその構造を見ると、実は必ずしもそうではない。
ニナ(ポートマン)は、市場のメタファーなのだ。市場(ニナ)の均衡は、それまで厳しい公的規制(過保護な母親)によって維持されていたが、市場参加者(バレー監督のヴァンサン・カッセル)がきわめて強い自由化要求をつきつけることで、ニナに圧力をかける。そしてそこに、ミラ・クニスに表象される自由=悪徳がやってくることで、母親の力が弱まり、規制緩和が導入され、それが最後の崩壊につながる、というまさにリーマンショック的な危機の縮図なんですねー。
そしてもちろん、それを引き起こしたのは、超低確率事象(白鳥の女王抜擢)だったのだけれど、その事象の中で決定的だったのが、まさにそれに伴う「ブラック・スワン」だという、あまりにできすぎな設定。
単なる偶然かもしれないが、アロノフスキーはなんといってもあの『\(\pi\)』で株のテクニカル分析をネタに映画を作った人だし、意外とまじめにこんなことを考えてたんじゃないかと思ってしまうんだが。 (2011/6/12, id )
昨日 、『ヤバイ経済学』 の公開記念トークショーをやってきた んだが、そこでもちょっとしゃべったこと。
インセンティブで人は動くのは当然なんだが(だってそれがインセンティブの定義だもん)、そのつけかたがとてもむずかしい。人はしばしば予想外の手で、他人の作ろうとしたインセンティブの裏をかく。それは映画の中でも、娘のトイレしつけをやろうとして失敗した話で登場する。で、映画『ヤバイ経済学』では、高校生を買収して成績をあげる、という話が出てくる。実はこの種の実験はそこそこあるし、また企業でも「成果主義」と称してやっていたのはまさにこれだ。そしてだんだん明らかになりつつあることは、これが必ずしも成果を挙げない理由の一つは、どこにインセンティブをつけるかという点にあるらしい、ということ。要するに「成績があがればお金をやろう」という買収は、本人がそれに反応したとしても必ずしもうまくいかない。なぜかというと、多くの子はそもそも成績をあげるにはどうすればいいかわからないので困っているからだ。
じゃあどうすればいいかというと、たとえば「週に本をなんでもいいから3冊読んで、その要約を書いて提出しろ、そしたら毎週お小遣いをあげる」という具合にする。そうすると、勉強できない子でも、まず何をすればいいかはわかる。そして、そうやって読んでまとめているうちに、本を読んで理解するという行動が身につく。すると結果的に勉強のやり方がわかってきて、成績があがる。
もちろん、これは相手をみなくてはならない。でも、具体的にできそうな目標設定をして、それが結果的に遠回しでも成果につながる、というのが望ましいらしいよ。『ベストキッド』(当然オリジナルのほう)の、「わっくすおん、わっくすおふ」「ぺいんと・ふぇんす」の世界ですねー。
付記:このネタは、ぼくは『Economist』の記事で読んで『クーリエジャポン』のネタにしたんだけれど、同じ研究を『Times』でも記事にしていて、そっちのほうはオケモス殿による邦訳がある 。 (2011/6/11, id )
うふふ 、おっさん。なかなか勇ましくてよろしいんだが 、その程度のことでむかつくくらいラブクラフトを愛しているなら、映画と原作の対応くらいは正確につけたらどうだい。「チャールズ・ウォード」は「ヘルハザード 」の原作であって、確か「ヘルダミアン」の原作ではなかったと思うぞ。いやぼくが数十年前に読んだときからまた変わったのでなければの話だが。マニアを自称しているくせにそんな低レベルのまちがいをした自分がなさけなくて、首をくくりたくはならないのかね?
……と書いたら、なかなか素直でよろしい 。ごほうびに少し相手をしてあげると 、うちのアパートの木はここらのカラスの巣窟で、入居当時は人間を襲うので有名だったがすでに我が軍門に下って目玉などやるまでもない。で、ラブクラフトは、『文学における超自然の恐怖』 でもわかる通り、かなり知的に考えて計算ずくで小説を作ってると思うし、まさに貴殿のような人(コケ)を脅すべく書いている。こけおどし以外の何ものでもないし、それこそラブクラフトの本意だと思うよ。ぼくの目はその程度のことがわかるくらいには役に立つんだ。カラスにはまだもったいない。 (2011/6/5, id )
2011/5
おせーよ 、若者。かなり先約が詰まっていて、なれたとしても、 第二十三番目くらいがいいとこよ。別口をあたったほうがよろしゅうおます。関係ないが、朝日の書評委員で当選した本がビエンチャンまで送られてきたが、不作ばかり。次のタマをはやく仕込まねば…… (2011/5/30, id )
うーむ 、『経済セミナー』は、たかが映画評を1ページ書いたくらいでぼくの名前なんかデカデカと表紙に載せたりしていいんだろうか? ずいぶん軽いレビューだし、それに営業的に訴求力があるとも思えないんだけど。むしろ経セミを買うような人々は、ぼくの名前を見たらかえって購買意欲が減退するように思うんだが……ビエンチャンの空の下から心配しております。 (2011/5/28, id )
早野センセイは 本当に神のごとき忍耐力をお持ちだと感心してやまないのだよな。だってワタクシなら、こんなバカに対していちいち丁寧に答える 辛抱なんかなくて、つい「おまえ、くだらん誤解広める前にもうチトよく読もうねバーカ、オレも忙しいのよ」とかつい言ってしまうとおもうんだ。しかもそれがほとんど毎日のようにだもんなー。脱帽。(2011/5/26, id )
Voice の感想ついでに言うなら 、復興の財源だのマクロ経済だのの話も、本来なら単純きわまる話なんだよね。日常なら、なんか公共投資の経済性とか、EIRRにFIRRをぼくみたいなコンサルに依頼して計算させたほうがいいわけだ。昔ぼくが、小野義康との議論であれこれ言ってた、失業者をなんでもいいから使えばいいのか、それとも効率いい投資をすべきか、なんている議論の余地もあった。でも、いまは話がちがう。ほとんどの人がある程度はもう事業を営んでいて、追加で出す金が追加の効果を出すかどうかわからないという状況とは話がちがう。仕事する気があって技能もある人がいっぱい仕事にあぶれてる状況だろ? 何やったって成果は出るんだって。
インフラを再生すれば(特にある程度人のいるところでやれば)確実に使われるし、いま避難所ですることなくてくすぶってる被災者が確実に生産活動に従事するようになる。絶対にお得だからインフラに投資しようぜ。
そういう人たちが店を作り直したり新しく船や工具なんか買ったりする資金を提供すれば、その人たちは確実に生産活動に従事するようになる。絶対に見返りあるから、融資してあげようぜ。
もしならなくったって、その人たちがそのお金を(キャバクラだろうと宴会だろうとパチンコだろうと)使えば地元の経済が潤うから絶対お得。四の五の言わずに出そうぜ。
話はこんだけなので、とにかく金出せや。財源は増税か国債か? うるせえなあ、速いほうでやればいいんだよ! 税金なんて集まるのは来年になるんだから、今はまず国債だろ。後代にツケを残す? いま避難所で淀んでる人たちがそのまま腐って年金や失業保険の受給者になるほうが、よっぽど負担で将来のツケだろ。ツケにもいろいろあるが、これはどう見てもむしろ後代にツケを残さないための借金 。ホント、国債の額面だけ見てツケだ借金だと騒いでほしくないよな。そういうこと言うヤツは、「どうせ東北の被災者なんて金貸しても復興なんかしないで腐るだけ」と言ってるに等しい。東北への投資が、いまの国債金利程度(つまりほぼゼロ)の見返りすらないと思ってるわけだ。バカにしてると思わない? 東北が力強く再生だの復活だのって、ホントに信じてるなら、いますぐ国債発行してお金作って投資すべきなんだ。ぼくはそれを信じてるからこそ、復興支援の義援金をいっぱい出してるんだぞ。第二次大戦後、ピエロ・スラッファは「日本がこのまま潰れるわけない」と日本国債買いあさって大もうけしたんだって 。これやろうよ。今更チマチマ義援金集めるくらいなら、東北復興債出してみんなに買ってもらえば? がんがん買うぜ? (2011/5/16, id )
Voice の新しい号が届いたが……上杉隆は 、みんなが目安としか思ってない東電の工程表にとくとくとしてケチをつけてページを無駄にしている。書いてから出るまでのタイムラグにもあまりに無神経。飯田泰之は相変わらず堅実。山形浩生は例によってバカでも思いつく当然のこと言ってくだまいてるだけだが、ホントこんな当たり前のこと言うだけで多少なりとも新鮮に見える現状があまりに異常、山本一郎がもう少しおもしろいことを書いているかと期待したら「まあ思想家さんたちが見苦しくおたつくのは、非常時だからしかたないよね、今後実務とからめて思想もしっかりね」というあたりさわりのないことを長々と書いていてがっかり。
河野龍太郎は、地震で生産力が落ちたから国民は我慢して経済を縮小させろ、国債発行だめで大増税をというトンデモ議論で、こんなやつが復興構想会議にいるかと思うと、日本の将来に絶望せざるを得ない。
さらに曾野綾子の駄文なんかもともと読まないが、お便り欄によると先月は、「原発で放水車の運転しろと言われたら喜んで命を投げ出しにいく」などと特攻気取りの自己陶酔エッセイだったとか。現実には大型免許も持ってねえだろうしその他まともな作業できる能力などなく、オタクの「ぼくだってジオンが攻めてきたときガンダムがあれば活躍できる!」という妄想以下。現実には、こういう無価値な人間を守るために、技能をもった有能な人が犠牲になるという昔ながらの構図。山折哲雄は「スカイツリーのてっぺんで作業してた人は地震のとき怖かっただろう」という、こっちまで死にそうな伝染性脳死文。年寄りは毒盛って殺すべきだという思いを新たにする。
ビル・エモットは、まあまともなこと言ってる。与謝野の座談会は……見たくない。見ない。見なかったことにする。結論としては、飯田泰之のコラムだけ読んどけってことで。
でも実は、なんだか時代の空気をまったく無視した「いまや山ガールから釣りガールの時代!」という怪記事が一番インパクトあったかもしれない。 (2011/5/16, id )
土曜日に Project Management Professional なる資格の試験を受けてきたが、一発合格(いや別にこんなもの受けたくなかったが、これがないと一部の調査モノで団長資格審査で減点されるんだよ)。試験はすべて4択式なので、だまっていても25%、さらに「プロジェクトリーダーのあなたに、袖の下の要求がきたがどう対処すべきか」なんていう常識問題がほとんどなので、勉強しなくても40%はいくと思う。合格は61%正解なので、そんな大したものではないが、それでも2日しか勉強せずに合格するオレってえらいなあ。模試初めて全問終えたのって、当日の午前中だもん。でもこれを要求するXX省の仕事って面倒だから、今後やるかどうかわからないんだけど…… (2011/5/15, id )
ツイッターの hga02xxって、あれホントにあの日垣隆なのか??!! 半信半疑だったが、アマゾンのレビューの偽装と下手な言い訳、締め切り一日二十六本だの(しかもそれが、章ごとに別カウントしてるとか)、電子書籍日本一売ったとか(「自分で」手売りしたのが日本一なんだって……)、まとめサイトとかも含めて見ていると完全に常軌を逸しているが、しかしもういろんなネタから本人としか思えない。人がなぜああなるかはおもしろい問題だし、ぼくなりに仮説もあるが、ホント他山の石として肝に銘じなくては。人は己の社会性と正気さを当然と思うべきなんだけれど、でも同時にあまり当然だと思っちゃいけなくて、それがどんなに微妙なバランスのものとに成立しているかは、よく認識しなくてはいけないのだ。 (2011/5/15, id )
>>1 の母……ではございませんが、まあ身内というか関係者のようなものでございます 。本日の朝日新聞書評欄における『ジェイコブズ対モーゼス』のぬるい書評、心からお詫びする次第です。ぼくも、どんな鋭い視点の書評が出るかとわくわくして期待しておったのですが、まったく、ぼくなら 150 字で紹介しきれるようなあらすじ紹介を 1000 字にもわたってダラダラ繰り広げた上、あのとってつけた以前のくだらない時事ネタに色目を使った低級なオチに落とすとは、ワタクシでも流石に予測はしておりませんで、ホントに不始末をお詫び申し上げる次第です。正直いって、ジェイコブズの訳者が同じ書評委員にいるということを十分に考慮していただけなかったようで、あの本を評する上で絶対に避けて通れないジェイコブズ『アメリカ大都市』を多少なりとも読むか、少なくともワタクシの解説にちょっとでも目を通せばあんなくだらない書評になるはずはないのですが、ワタクシの力不足であんな不始末と相なりはてましたこと、まったくもって不面目きわまりなく、いまさら取り消すわけにもいきません以上、今後何らかの形で挽回させていただけるよう尽力する次第ですので、なにとぞ今回ばかりはご寛容をいただきたく、伏してここにお詫びする次第です。後悔先に立たずですが、あの本をとりあげるなら、あんな角度もあったしこんなことも言えたし、後悔ばかりで、NIN ではありませんが、ここに挙げたAll that could have been でございます。すみません。紙面を無駄にしてホントにすみません。
でも、荒俣宏の『ホリエモンの宇宙論』レビューはよかったので一安心。あれに免じて許して。 (2011/5/15, id )
ゴールデンウィークは 道後温泉と金比羅参りと直島にでかけていたのだけれど、金比羅さんの書院には、円山応挙のふすま絵がたくさんあって、その中に虎がいっぱい描かれた部屋がある。美術評論家にかかると「今にも飛びかかってきそうな迫力」「真に迫った野性味あふれる」等々という評価になるんだけれど、前にどっかにこいつがやってきたときに見て、ぼくは全然そんなふうには感じず、むしろなんだかずいぶん変な虎だなあ、という違和感のほうが大きかったのだ。
今回、実物を間近で見て、その理由がわかった。円山応挙は江戸時代の人で、当然ながら本物の虎なんか見た事ない。だからかれは、虎というのをおっきなネコとして描いてるのね。右に挙げた画像のコンパスで描いたみたいな、丸いどら猫チックな顔もそうだし、あとこのずいぶん上品な前足の感じも。
そしてこっちの虎は 構図もずいぶん変な感じですごく気に入っているけど、この小さな耳や柔和な顔つきは、明らかにネコをスケッチしてそれを脳内拡大し、聞きかじりをもとに推定変形している。ちなみに、このブログの人も同じ印象を抱いている ので、ぼくだけの勝手な印象ではないだろう。
それでこの虎たちの価値が下がるわけではない。ぼくは円山応挙のディテールの描きこみとか構成もすばらしいと思うけれど、この絵はそれに加え、そういうちょっとお間抜けなところもあるかわいさとアンバランスさにこのふすま絵の価値があると思っている。キリンや天狗の絵みたいに、人間の脳内で変換された、当時の人のイメージの中にしかいないものを現出させてくれて、非常におもしろい作品になっていると思う。これに限った話ではないけれど、襟を正したくなる非の打ち所がない完璧な作品のすごさも appreciateする一方で、こういうちょっと変わったところやへまのある作品のほうが、気楽に見るには向いていて、ぼくは好きなんだよね。円山応挙はこれを描いているとき「迫力あるトラが描けたぜ!」とご満悦だったのか、「うーん、なんか虎というより、となりんちのミケとトラちゃんだなあ、でもま、いっか」と自分でも変だと思っていたのか、ちょっと興味ある。 (2011/5/11, id )
ところで なんでも、どっかの宗派によると 5/21 に世界は亡びる!
という説があるとか。いやぁ、みなさんお世話になりました。でもワタクシ、その次の週から出張なので、あまり騒々しい終わり方は避けていただきとうございます。 (2011/5/10, id )
しかし いま、東浩樹が地震直後に NYT かなんかに寄稿した文を読むと、わずか二ヶ月にして色あせて、無内容な妄想でしかなかったことがますます露骨になってしまう。地震で日本の古いシステムがぶっこわれて、新しい仕組みが生まれる! そこに希望があるんだ! というお説でしたが、二ヶ月後のいま、そんな希望はどこにもない。震災直後の神経の昂ぶりもあるし、それを責めるのは酷だとは思うんだが。 (2011/5/10, id )
この 下で話題にした人、結局言ってることがどんどん横滑りしていってわけがわからなくなったんだが、最後(だと願いたい)の書き込みを見ると、日本はすばらしい、日本の文化やファッションやアニメは世界のあこがれ、中国なんかダメな真似ばかり、震災で暴動も強盗も起きず立派な日本の国民性に世界が感心等々、なんだか2ちゃんに巣喰うネトウヨ(の特にレベルの低い連中)みたいな主張を本気でやりたいだけの模様。震災後にちゃんと泥棒はあちこちに出ているし、むしろ政府の劣悪な対応にきちんと声をあげないヘタレぶりがむしろ今や物笑いの種になっているのに。なんだか今の政府の提灯持ちと化している The Economist ですら、それを指摘している 。まあ人は見たいものしか見ないのは知ってはいるんだけどね。 (2011/5/10, id )
アマゾンで 、サスキア・サッセンの本2冊について酷評レビューを載せたら、なんだかずいぶん絡まれている。領土・権威・諸権利 と、そこから飛び火してグローバルシティ 。最初は、関係者が火病って擁護しようと思っているのかと思ったが、この人明らかにサッセンなんか読んだことないようだ。じゃあぼくが嫌いだってことなのかなあ、と思ったが他のところには延焼しないところを見ると、そうでもない模様。何を求めているかよくわからないよう。そんなにわかりにくい書評は書いてないと思うんだがなあ。とはいえ、アマゾンのレビューコメントで多少なりともやりとりがあるのは珍しいので、これはこれでちょっとおもしろいかも。ところでこのサッセンの2冊を訳している人の名前はすごくイガイガしている。昔、柳下毅一郎という名前を見たときもイガイガして痛そうな名前と思ったが、それをずっと上回る。 (2011/5/5, id )
2011/4
まじめには 見ていないのだけれど、ページのタグづけをするにあたり、 RDFa と microformats と microdata と、関係があるようなないような、よくわからん。CC が RDFa を使い始めているのでちょっと見ていたのだが、なんだかこの三つの間に派閥争いみたいなのもあるみたいだし。いずれにしても、そろそろ html 手打ちでは手に負えなくなってきているんだが、一方でかつて MS-Word やホームページビルダーがはき出した html の汚さに戦慄して、この手のツールを信用する気にもならない。かつての一太郎 3 みたいに、テキストファイルと書式ファイルを別々に処理する方式のほうがいいのかもしれないが、それも煩雑だし、どうするのがいいんだろうね。
(2011/4/20, id )
なんでも 山形の翻訳は誤訳満載なんだって 。 (Screenshot ) 初めてきいた。具体的に、どんな誤訳があるのか尋ねてみたので、お答えがとても楽しみ。つたない訳でご迷惑をおかけした皆様にもこの場でお詫びを。あり得るとすれば、CODEv2 くらいかなあ。(追記:せっかく見つけたのに遊んでもらえなかった。まちがいも教えてもらえなかった。寂しいなあ)
(2011/4/19, id )
2011/3
アフガニスタン にいる知り合いから託されたメッセージ 。こちらに転載。
(2011/3/18, id )
小学校の教科書に 載っていたこともあるので、知っている人もいるかもしれない。昔、地球の近くを彗星が通るので、空気がそっちに引き寄せられて十分間息ができなくなる、という噂が流れた。で、金持ちはタイヤのチューブとかを買いしめ、それができなかった貧乏人は死を覚悟した……んだが、実際には何も起きなかった。チューブをしこたまくわえていた金持ちのご子息は物笑いの種となりました。
あるいは 20 世紀初頭のアメリカで、家庭団らんのラジオ放送中に突然、火星人来襲のニュースが! 多くの人は我先に逃げ出して一大パニックとなりました。あとで、逃げた人々はバカだなあと物笑いの種になりました。
で、時はながれて 21 世紀日本。未曾有の大地震をきっかけに原発で事故が発生。大哲学者の東浩樹は、なにやらパニクったツイートをしまくった挙げ句にパニックに陥って東京から逃亡し、あれこれ言い訳して「それが合理的な行動」ですと。
いや自転車チューブくわえるのも、火星人におびえて逃げるのも、それぞれの個人にとっては合理的な行動だ。それが物笑いの種なのは、その人が依って立つ「理」がいかに浅はかな代物かがわかってしまうから、なのだ。東も、いろいろこむずかしいことを言ってはいても、結局は自転車チューブくわえる程度の判断力しかなかったということか。むろん、その判断力の範囲では合理的だったんだけどね。東京の様子をいつもチェックせねばならず仕事にならないとかいう言い訳も見たけれど、確実な情報は常時入ってくるものじゃない。逆にそれは、東がいかにデマやノイズにおたついていたかということを示し、情報をフィルタリングできない無能さを示すものでしかない。
一方で、宮台信司はこんなツイート 。えらい人が自分にだけ打ち明け話をしてくれると思う夜郎自大ぶりに、それを得意げにひろめる節操のなさ、さらには最後にしっかり責任逃れの言い訳だけは欠かさない小ずるさ。東のまぬけさよりもたちが悪い。その後もなんか一座のツイートをちょっと見てみたんだが、異様。聞きかじりの科学的な意匠で無内容な原発談義を必死で気取っているのはほほえましいが、自分たちの「議論」が何やら政府や東電発表を動かしているとでも言わんばかりの変な全能感は何?
なんで日本のシソーカのえらいはずの連中がこんなことになっちゃってるの? よくわからないんだけど、ブログとかツイッターとかで、自分の信奉者だけに囲まれて小山の大将になってしまうことによる、変な意識の歪みってあると思うんだよね。ぼくもかつて広報部をやってもらっていた頃があったけれど、あの頃は田崎さんや黒木さんやみほさんやイナバ大人や、明らかにぼくよりえらい人もたくさんいて、ミソでもクソでもありがたがってもらえる状況ではなかったでしょう。平時には、なれ合いでもいいんだけど、いざ親分の扱いきれない事態が生じたとき、大将はだれにも頼れなくなっておかしくなるんじゃないか、とも思うんだが。どうなんだろうね。あるいはITがかつて経済学の偉い人たちをおかしくしたように、ツイッターとかにも人をおかしくする何かがあるのかな。
(2011/3/15, id )
みなさん 地震ですよ。というわけで、例によって災害援助の寄付をしなくてはならないじゃないか。正直いって、スマトラやアフリカの台風や地震援助に百万ほど出してると、東北地震にはバランスから考えて一千万近く出さなくてはならないようにも思うが、さすがのぼくもそこまでの余裕はないし、それにたぶんこれは長期戦になるでしょう。一回にまとめて出す必要もないんじゃないかな。というわけで第一弾。
本当はネット振り込みでやりたかったんだよね。大量の現金を持ち歩くのもいやだったし、それを窓口で数えるほうだって気を遣うでしょう。でも、クレジットカードだと、カード会社から赤十字に入るまでにかなり時間がかかるんだって。あとペイイージーを使おうとしたら、「扱い限度額を超えている」といわれた。その他、送金限度額もあれやこれやで、結局現金を郵便窓口に。でも、正直いって不便なので、外国向けの寄付でもやっているように、銀行振り込みも可にしてほしい。銀行側だってそのくらい協力してくれるんじゃないの?
現金の背後にいるのは、我が家の今回の被災者たち。落ちて割れてしまったのをのりでくっつけて復興させました。よい糊がなくて、コンクリート用のボンドを使ったので割れ目は残るが、それも一興ではないかと。
(2011/3/15, id )
2011/2
世界の 国際開発援助の世界的な目標として、国連がMillennium Development Goals (MDG) というのを定めて、貧困者数半減 (1990年比) とか学校とか保健とかいろいろ目標値定めて、それが過去十年くらい、世界の開発期間にとって金科玉条になってきた。
MDGの中で筆頭にあがっていたのは、貧困者数の半減。でも当初これは世界全体のマクロ目標でしかなかったのに、中国とインドが予想外の急成長したもんで、貧困者の総数は計測方法次第では、目標年よりずっと前に半減を達成してしまった 。
でも「実はあれはマクロ目標じゃない、地域別にそれぞれ達成しないとダメだ、他のもある、あれもこれも」と言い出した。それなら、それはグローバルな目標にせず、地域的な目標にすべきなんじゃないの?
さらにそういう目標ができると、それが自己目的化する。そしてぼくはこれは、勝手な目標を途上国に押しつけるだけのものにしかなっていなかったと思う。世界銀行が貧困削減とジェンダーと環境をでかい目標にして、途上国の援助の成果をすべて貧困削減で見るようなことを言い出し、各国に Poverty Reduction Strategic Paper なる無意味な作文をものすごいお金かけて作らせて、高速道路がジェンダー格差解消に役立つとか、税制改革が環境に役立つといったくだらない屁理屈を考えさせていたのよりは少々ましだが、基本は同じ。各国で何を優先するかは、その国が自分で決めるべきことなのに、援助機関も(そして援助を受ける途上国側も)MDG 達成のためにあれする、これする、とか言い出して本末転倒もいいところ。
で、こんどその続きの MDG2 を作ろうという話がある。MDG の細かいところで実現されてないのもあるので、まあそれを落ち穂拾い的に揃えましょうという話もあれば、なんかもっと大胆な目標を、という話もあるんだが、正直言ってやめるべきだと思う。
そもそもの目標を決めることこそ、途上国自身がまずまじめに考えるべきことでしょう。国際的に決まった MDG があれば、各途上国の国内で、貧困削減といった目標をメインストリーム化しやすいのだ、という議論もある。でもむしろ、ぼくは外国からの援助を増やすために途上国が目標を MDG に沿ってゆがめるケースのほうが多いと思う。各国の目標を足し合わせて、それが MDG とは違う方向になっていたら、援助機関は「仕方ないですね」と受け入れると思う? そうはならないでしょう。
というわけで、ぼくはこの目標を延命させることにはとても憂慮してるんだが。でもいずれにしても、ぼくは中国やインドの様子を見ても、 MDG は援助なんかあまり関係ないだろうと思っている。だから、どうでもいいといえばどうでもいいんだが、でも一方で国連が、MDG の成果は自分たちのおかげであるかのような報告書を出しているのを見ると、非常にむかつくものはある。
(2011/2/25, id )
2011/1
先日、 WikiLeaksネタの雑文を書いた もので、他の人がこの話でどんなことを書いているか気になって、手元の中央公論2月号を見てみた。
佐藤優がウィキリークスをつかみに日本の公電過剰重視と外務省のメドヴェージェフ北方領土上陸をめぐるへまについてあれこれ書き、ウィキリークスはアナキズムの思想に基づくものだから、困ったものだけど強権的につぶすのはダメで、国家が弱体したら困ることを説明するしかないという議論。まあいいんじゃないですか? 主張はなるほどだし、理屈は通っている。
が、驚いたのは長山靖生の「新聞の論点」なる連載コラム。あるテーマに関する各種新聞報道を比較してコメントする連載で、今回はウィキリークスがネタなんだが、すっごく下手くそに要約各紙の報道を並べ、最後に「ネットを含むメディアにも政府機関にも、従来にも増して厳格な倫理が求められる時代だというのに、むしろその劣化がめだつ事例が続いている」といいう一文をくっつけて(ホント! 長山のオリジナルな「分析」はこの一文だけなの!)、それでおしまい!
新聞論説をまとめるのはいいんだけど、その中身についての検証やコメントは一切なし。たとえばウィキリークスがどうやって情報の裏取りしてるとか、欧州メディアとの関係がどうなっているとか、長山の引用している新聞記事(それも社説ときた)は一つ残らず不勉強のピント外れもいいところ。ウィキリークスのトップページでも見ていれば絶対にやらないようなでたらめを垂れ流しているものばかり。ところが長山は、それに対し自分の検証を何ら加えることなく無批判に受け入れるだけ。で、小学生が読書感想文で書くことなくて、とってつけたように付加するような感想文を唐突にくっつけておしまい。お気楽なもんだ。何これ? 中央公論もこんな原稿はつっかえすべきだと思うんだけどね。
(2011/1/23, id )
古い html を流用しようとしているうちに、昔の話が気になってアニリール・セルカン問題 のその後を少しチェック。一応、東京大学はうやむやにせずフォローして、11月末にはその結果を発表 。学位を出した松村教授についても責任を明示、それなりの処分をする模様。正直いって遅いと思う。セルカンの博士号を取り消してクビにした時点でこの程度のものは出していなくてはならないと思うし、未だに松村教授の処罰が決まらないというのは何? が、やらないよりはまし。ぼくは、松村教授がお咎めなしで逃げおおせるんじゃないかと恐れていたので。事件は母校の恥だが、少なくともある程度の良心は示してくれたと思う。
(2011/1/1, id )
なつかしいので これ 。A Happy New Year to you guys, and sweet dreams.
(2011/1/1, id )
新年! 初詣 はいつものモナー神社にお参り 。ちなみにリアル世界での初詣は近所の湯島天神さん……は混んでいたので、近くのちょっとマイナー目の神社に出かけてきた。マイナーなところは、お酒をくれたりカロリーメイトをくれたりするのでお得感があります。
【大吉】 (No.44618) モナー神社
願事 : 他人の助けありて思いのほか早く調う
待人 : 来たるべし 驚く事あり
旅立 : 急いでよし
商売 : 買物は良し 売物は悪し
学問 : 過信せず行えば成果現る
争事 : 人に任せるがよし
転居 : 差し支えなし
病気 : 少々悪し 信心せよ
縁談 : 苦労するとも末は見込みあり 辛抱すべし
だそうで。ありがてぇこってす。みなさまにとってもよい一年でありますように。それにしても、最近はモナーもあまり見かけなくなったなあ。 (2011/1/1, id )
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