灰汁巻き
2013年 04月 03日
義母から,鰹節を作った薪の灰で作っている有名なお店の灰汁巻きを,もらってきた。最初に口にした時,物凄く癖があるからと言われたが,私は結構好きだ。よく出来たものは,こんな感じで色ガラスのような透明感がある。普通はきな粉を眩し,黒蜜を垂らせば言うことはない。
Wikipediaは,そこそこまとめてあって「保存性であくまきを見ると,長時間煮ることによる滅菌,木の成分による抗菌,アルカリ環境による雑菌繁殖の抑制、竹の皮による抗菌,と実に複合的かつ合理的に出来ている」とされている。保存がきくので,戦国時代,既に薩摩の軍勢の戦闘食を支えたとされる。当時の軍事が発達させた食料技術と言えないこともない。
薩摩の軍勢が,軍事作戦行動のタイミングを合わせるのに猫を,兵糧に灰汁巻きを使っていたということを考えると,どちらも今は,戦闘と結び付けられることはまず無いわけで,ある意味不思議だ。まあ、缶詰だってナポレオン戦争時代の軍事技術で、軍は巨大な胃袋でもあって、必要なものとして作られたわけで。
で,それを食って地獄のように剛猛な軍団を支えた兵糧故「悪魔来」と呼ばれたみたいな話はもちろんない。エイプリルフールで書くのもはばかられる(今,書いてるけど)。
レシピはここにあるが,確かに,灰汁を食品に混ぜるというのは,あんまり聞いたことがない。鰹節用の薪炭は,検索するとクヌギやコナラ,サクラみたいな記述がヒットするが,こちらではそんなのはまともな量,集まらないだろう。海岸林として年4〜5mmのペースで肥大成長する備長炭用のウバメガシが群落を作るが,それも大したマスは毎年毎年穫れないから,基本は常緑のシイ・カシ類,タブ,ホソバタブなどの薪になると思う。
真空パック商品になっていても,「賞味」期限は,上述の話からの保存食イメージほどは長くない。ただ,「消費」期限については,もっと長いだろうけど,手元に資料はないのであしからず。
追記ーブックマークコメントいただいて,商品として食べやすいように作られていて,保存が基本の原型は,もっと真っ黒で癖も強いということらしい。そういえば以前食べていたものはもっと真っ黒だった記憶がある。
というわけで,真っ黒い灰汁巻きが手に入ったら,またご紹介しようと思います。