ガルパン感想 
2013/03/26 Tue. 16:27 [edit]
で、最終回らしいんで一気にマラソンしました。
第一話の時点でヤバさがわかったんで敬遠してたんですが。。。(ビビオペ、比べちゃうのがかわいそうなので)
ヤバイですねコレ。まどかを越えてます。EVAも越えてる。
「歴史に残るアニメ」とか「歴史を変えたアニメ」とかも言いたくないです。
「神アニメ」なんてのは論外。
強いて言うなら「計算し尽くされた」。
いや、この表現大っ嫌いなんですよ。ちょっと工夫した程度で使われてるから。
偏差値62程度の子供がテレビで「天才小学生」とかもてはやされるのを見て、気持ち悪いと感じるのと同じようなもんです。
この「計算し尽くされた」、ガルパンは言っていいと思う。
ネウロ以外でそう感じたものはほとんどないです。
ていうか「計算し尽くされた」は本来このレベル。
完成度が高すぎて逆に感想書けません。映像を文章にするのなんて野暮。んでも最終回だし、まぁ。
文章がまとまってるわけじゃないのでご注意。
まどマギにしてもそうだけど、本当に感動した部分は逆に言葉にしにくい。ていうか無理。
うちの祖父は二次大戦に戦車乗りとして参加していました。で、戦後は創作を食い扶持に生きていたんですが
とりあえず
「冥土の土産でコレを見ておけ」
と伝えました。
ガルパン、つかみでやられたんです。
祖父がさんざん寝物語に話してくれて、今でも懐かしそうに「青春」と言っていた、戦車隊の長として見ていた景色。
その景色は、この映像を見てワクワクする気持ちと同じなのか?
ガルパンの冒頭、戦車の窓から視界が一巡する間に仲間のキャラ、機体、世界の雰囲気の一通りの紹介がされます。
で、最初の5分で主人公の魅力や才気が紹介される。情報の密度が凄まじい。
でも、押しつけがましくもわざとらしくもなくて、テンポがいい。
言い出すときりがないけど、私の見てるものは一面に過ぎない。
ガルパンの凄さ、言葉にするだけ野暮だと思う。
みんなそれぞれ、違うポイントで「すごい」を感じられると思うんです。
・30人近い登場人物、全員キャラが立ってる。
・シーン描写に無駄がない。各キャラの些細なしぐさ、部屋の調度品のデザインなどにも手が行き届いています。
・戦車や軍事の知識が、WW2オタやミリオタや兵士じゃない人にも、わかりやすく覚えやすく描写されている。
・人間ドラマとしても熱い。
・戦いの流れも熱い。
・戦車、兵器の描写が丁寧。
・小ネタが質、量ともに充実。
・観光や商品展開を前提としたうえで、街や小物の使い方がうまい。
・戦闘の展開が迫力があり、かつ、わかりやすく見せられている。
・キャラが魅力的。
・カメラアングルが秀逸(どうすれば戦車を生き生きと見せられるか、とても工夫されていると思います)
・作品世界への引き込み方がうまい。
・イヤなヤツがいない。
・ていうか楽しい。
こんなところでしょうか。プレゼンテーションとして非常に秀逸だと思います。
最初に「すげぇ!!!!軍事をこう説明してくれたらわかりやすいもんな!すげぇ!」と思いました。
細部まで手を一切抜かないクリエイター姿勢も見事。
小ネタもいいです。
イタリアのアンツィオ校が一瞬で負けるところは爆笑したし、黒森峰が「戦車が通れるとは思われていなかった」森を通って攻めてくるところはもう、ゾクゾクしました。ドイツだもん、アルデンヌやるよね。
ソ連のプラウダが粛清粛清言いながらカチューシャ歌って突撃してきてコサックダンス踊るとかね。
カチューシャが寝てるソリとかね(アレはAD大戦略で覚えたように思います)。
ミホが好きな戦車が二号戦車なのもイイ!!!あのチョイスは「だよな」でした。流石すぎる。
劇中でも戦車の特徴を非常に丁寧に描いていて、キャラにわかりやすく、でもわざとらしくなく説明させていたと思います。
自動車部「だから」橋を壊すようにティーガーを動かせるとかね、歩道に乗り上げて並行して撃ちかける八九式とかね、もうね。雪の中から一瞬で決めた三突には痺れました。
11話でマウスが出てきたときのあの絶望感と、それを打ち破る流れとか。
主人公機が4号というのも絶妙なチョイス。
最後シュルツェンちゃんと役に立ってるし。それが大洗のマークだけ残るのもイイ!!!
伏線もいいですよね。
第一話冒頭のつかみから「これすげぇ!!」だったけど、あとでそのシーンがもう一度出てくるところとか、最後の黒森峰戦とか。
黒森峰戦、第一話ラストで4号にミホが手を添えているのが、黒森峰戦の直前には4号の5人全員が手を添えるようになる。
で、大洗は黒森峰では撃てない「みんなの思いがこもった一撃」で勝つ。
知らない人が見て楽しいし、知って見ると別の楽しみがある。
みんなが楽しくなる、素晴らしい作品だったと思います。単純にドラマとしてもアツイし。
で、コレ、ゲームとも親和性が良い。
こういうものが出てくる。凄まじい時代になったものです。
ってことで私が何か言うだけ野暮なんですが、一点だけ。
「みほの戦い方が何故敵手に評価されるのか」。
何となくノリでも納得できるんですが、これ、振り返ると、それぞれの戦いには共通する要素があります。
1:冷静であきらめないリーダーぶり
グロリアーナ、サンダース、プラウダ、黒森峰と、いずれを相手にしても「想定外の事態」が起きて、チームがピンチになっています。
そのときに、あきらめずに状況を見極め、チームをよく動かして「みんなを助けて」います。
これで「ねばるなぁ。このチーム(指揮官)、やるね」と思わせ
2:タイマンで強い
大洗のメンバーは地味に強いです。1:1だったら劇中最強なのではないでしょうか。
特に、主人公の4号は強い。主人公だから当然なのですが、タイマンだと鬼神のごとき強さを発揮します。
スポーツだから、強い選手はやっぱり好印象を持たれます。
それが「沢山練習した結果であることがわかるような強さ」であれば猶更。
決定的なのが
3:ここぞの時の思い切りがよい
コレ、地味に重要だと思います。
西住みほは、必ずどこかで、相手が「おお!?」と思うような、清々しい度胸を見せています。
グロリアーナ戦では最後に正面からの一騎打ちを挑んでいます。
サンダース戦では「敵に捕捉されるリスクを敢えて取って」の稜線射撃。
プラウダ戦では包囲が一番厚い場所からの突破を図り、
黒森峰戦では敵の包囲のたった1両の隙間を正面から突破。。。
後の最終話の流れはもう、言うまでもないと思います。
いずれも日本人好みだし、弱小の大洗だからこそ、みほの資質が十二分に光ったわけでもあります。
でも、対戦した相手の立場で考えても、ポイントを押さえて作りこまれている、と感じます。
戦った相手がミホを評価するのは、決してご都合主義ではない。
※黒森峰だとチームの地力があるので、ミホの力がここまで発揮されるチャンスが恐らくありません。
※「最強チームの不遇の実力者が弱小に来て力を発揮する」とか、歌舞伎、舞台、時代劇、小説、漫画、いずれでも好まれる王道ですよね。
で、お姉さんは(このヒト、服がミホと赤:白で対比になってますね)みほの実力をちゃんと評価している。
ラスボスにふさわしい風格のある、優秀でよいお姉さんです。
実力者が正当に評価してるんだけど、その想定よりミホの方がほんの少しだけ強い。そこに、ミホの仲間たちの結束がプラスアルファで上乗せされてミラクルを生んでいく。
ほかの敵もキャラが立ってて、良い敵が多かった。
いや名前はギャグなんですが(マミさんみたいなキャラの名前が「ダージリン」とかwww)、でもキャラがただの記号だったわけではないです。
※最終回、ダージリンが述べた「ピンチにどう対するか」は、第4話で彼女が敵として見たミホの戦い方にそのまま当てはまります。
うん、やっぱ言葉にするだけ野暮だ。
大洗の人もこれは楽しかったんじゃないかなぁ。確か評判よかったですよね。
1か月以上前に、震災で被害を受けた大洗をガルパンが救った、という意味合いの表現をどこかで見た覚えがあります。
とても印象に残ってて、ストーリーを追いながら何度か思い出しました。
この作品はどういう思いを背負って作られたのだろう?と、思いを馳せながら見ていました。
ガルパンは「歴史を変えたアニメ」でも「歴史に残るアニメ」でもないと思ってます。
このアニメで、「アニメの概念が変わる」可能性があるから。そのつもりで最初から作られて成し遂げられたことも大きい。
EVAよりも広い意味で、拡張性を持った作品だと思います。
これをリアルタイムに見られた人は幸せだと思います。作られていく歴史をまさに体感できたわけで。
てか、日本政府の唱える「クールジャパン」がガルパンにお金を落とさなかったらウソですよwww
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コメント
興味深いく楽しい内容でした。
ありがとうございます。
思えば今年の1月に大洗ホテル スタッフ ブログの
『やっと復興とつかない、自分達が本当に楽しめるイベントが出来るね!』
という文を読んだ時アニメの新たな可能性というか手応えの様なもを感じておりました。
このブログを読むと如何に大洗の方々が楽しんでガルパンに関わっているのが伝わってきます。
人を巻き込む為の下準備が万全だったのもこのアニメの成功の一因だった様に思います。
とはいえ幾ら準備しても良い作品でなければ意味がありません。
ガルパンは良い作品でした。
楽しいアニメは人を惹きつけますね。
名無し #- | URL
2013/03/27 17:19 | edit
>>名無しさま
おかげさまで、この記事を見せたら祖父も興味を示しました。
また、いただいた感想もきっかけのひとつになり、大洗に行くことになりました。
アニメの新たな可能性、というものの最前線は本当に楽しみです。
コメントありがとうございました。
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