コメモ。

日記。メモ。備忘録。

オートでばかり撮っていたデジタル一眼初心者が、いかにしてマニュアルモードで撮るに至ったか。

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皆さんはどうやってカメラにハマりましたか?

 

デジカメマニアといえども、当然最初は初心者であり、いきなりカメラにハマった状態で生まれてきたわけではありません。そこには必ずハマっていくまでのプロセスがあるはずです。皆さんのそういう話、聞いてみたいなぁと思います。

聞くだけだとアレなので、自分の話もしておきます。書いてみるとものすごく長い自分語りになったので、興味ない方は読み飛ばし推奨です。

 

一応、簡単にまとめとくと、

たまたま良い写真を見て、同時期に仕事で一緒になったプロカメラマンの撮影技術に触発され、「自分でもやってみようかな」と思って勉強したらハマった……という流れです。

それじゃあ、詳しく書いていきます。

 

2007å¹´é ƒ

そもそも僕がデジタル一眼カメラを購入したのは、仕事がきっかけでした。当時、フリーランスの記者として仕事を始めたばかりの僕はコンデジで取材していたのですが、さすがに報道の現場でコンデジを使っている記者はほとんどおらず、素人ながらに「これはちょっとまずいぞ」と思ったのです。

カメラのことはまったくわからなかったのですが、とりあえず格好だけでも何とかしなければと思った僕は、その足で家電量販店へと向かい、オリンパスのデジタル一眼レフカメラのダブルズームキットを購入しました。

とはいえ、カメラ自体には興味がありませんでしたし、オートモードでもそれなりにちゃんとした写真が撮れてしまうこともあって、それからしばらくは本当に「格好だけ」の日々が続きました。

2008å¹´é ƒ

とはいえ、仕事で撮影して「あれっ?」と思うことも多々ありました。

まず、フルオートの場合は完全にカメラ任せになってしまうため、写真の露出がおかしくても、調整の仕方がわからないのです。

ご存知の通り、カメラ任せの露出はわりと失敗します。しかも、取材という仕事柄、暗所でのイベント撮影や室内でのポートレートなど、初心者には難しい撮影もこなさなければなりません。

これにはさすがに参りまして、僕よりもカメラ歴が長く写真の師匠でもある妹に教えを請うことにしました(妹にはちょこちょこカメラマンを頼んだりしていました)。

 

「写真の明るさを思い通りに変えたい。だけど難しい操作は一切したくない。覚えることはひとつまでにしてくれ」

 

……今思うと「ふざけるな」と言いたくなる質問ですが、これに対して妹から返ってきた答えは、

 

「PオートでISO感度上げて露出補正しろ」

 

でした。……実に的確な回答だったと今にしてみれば思います。ちなみにP(プログラム)オートとは、ISO感度とホワイトバランスと露出補正だけを自分で設定するモードです。ただし、もちろんこのときの僕はホワイトバランスの何たるかも知らなかったので、常に「オートホワイトバランス」でしたけど。

初めて「露出補正」をしたときの感動は今でも覚えています。「明るさ」という一つの要素だけとはいえ、「自分で写真の仕上がりをコントロールできた」という喜びは大きく、それから数年間はひたすら「Pモードで露出補正」の日々が続くことになりました。

2009å¹´é ƒ

次に転機が訪れたのは、外付けのストロボを使ったバウンス撮影を覚えたときのことです。仕事柄、自分でインタビューの撮影を行うことも多かったのですが、外付けのストロボなんて持っていなかったので、内蔵ストロボを発光させて被写体に直に当てていました。……今にして思うと、インタビューイには大変申し訳なかったと反省しております。

しかし、さすがに内蔵ストロボを直に当ててテカテカになった写真ではまずいぞということには途中で気づきました。

再び妹に相談してみると、

 

「外付けストロボを付けて天井に向かって光らせろ」

 

という答えが返ってきたので、その通りにしてみました。いわゆるバウンス撮影というやつで、ぜんぜん大したテクニックではないのですが、これがものすごい効果を発揮してくれました。

内蔵ストロボを直当てするのに比べて、はるかに自然で、不自然な影もできない写真が撮れたのです。これに気を良くした僕は、その後ずっとデジタル一眼レフ+外付けストロボという組み合わせでインタビューに臨むことにしました。

2011å¹´é ƒ

しかしながら、ここまできてもなお、僕は「絞り」「シャッタースピード」についてすら、まったく理解していませんでした。ダブルズームキットのレンズをPオートで使っていただけなので理解するチャンスがなかったというのもありますし、とりあえずISO感度上げてストロボ焚いて撮ってりゃ取材の写真としては何とかなる、という現状への甘えもありました。

そんな僕の意識を決定的に変える出来事が二つ、立て続けに起こりました。

一つは、良い写真を見たことです。

どの写真だったのかはここでは書きませんが、たまたまネットを巡回していて見つけたある写真家の作品を見て、僕は初めて「良い写真だなぁ」と心の底から思ったのです。もちろん、それまでにも、たとえば「世界の絶景まとめ」とか「かわいい猫の写真」みたいな"良い写真"は目にしていたはずですが、それは単に「綺麗な写真」というだけで、特別な感情を抱くことはありませんでした。

そんな僕の心に、なぜその写真が刺さったのかはわかりません。自分でも説明できません。ただ、そのとき僕は初めて、「自分でもこういう写真が撮れたら最高だな」と思ったのでした。

もう一つのターニングポイントは、仕事でとあるプロカメラマンと一緒になったことです。その仕事の内容は、車に乗って走りながら、車窓の景色を撮影するというもので、撮影はそのプロカメラマンが担当していました。

走る車の中から外を写すので、当然カメラは揺れまくります。さすがの僕も「揺れるとブレる」というくらいの知識は持っていたので、心配になって尋ねてみました。

 

「ブレないんですか?」

 

すると、プロカメラマンは答えました。

 

「これくらいのスピードで車内から景色を撮るときは、シャッタースピードを1/250にセットしておくと、ほぼブレないよ」

 

!!

 

衝撃でした。それまでぼんやりとしか理解できていなかった「シャッタースピードを変えることの意味」が、はっきりとした実体を持った瞬間でした。さらに僕は、アホみたいな質問をぶつけました。

 

「オートとかPって使います?」

 

これに対して返ってきた答えは、

 

「だいたいいつもマニュアルだよ」

 

でした。

 

マニュアルモード!

 

もちろん、存在は知っていたものの、今まで決してモードダイヤルをそこに合わせることのなかった禁断のモード! それをこともなげに使いこなす……さすがプロカメラマン!

そして、そのとき僕の中で、二つの事柄がリンクしたのです。

 

「もしかしてマニュアルモードを使えば、前に見たような"良い写真"が撮れるんじゃないか?」

 

さっそく、次の取材仕事時、僕はマニュアルモードで挑むことにしました。今までPに固定して触れもしなかったダイヤルをドキドキしながら「M」に合わせ、一夜漬けで勉強した「絞り」と「シャッタースピード」の知識をもとに数値をセット。もたもたしながらも何とか設定を終えてシャッターを切ると……。

 

真っ暗でした……。

 

あわててシャッタースピードを落とし、ISO感度を上げると、今度は明るくなりすぎました。衝撃でした。それまではオートかPオートしか使っていなかったので、こんな極端な失敗写真は撮ったことがなかったのです。

しかし、その失敗がとにかく楽しかった。自分で数値を設定した通りに写真が変わるということを、このとき僕はやっと自分の体で理解したのでした。

 

そこから猛烈にカメラにハマりました。マウントを追加し、レンズをそろえ、ライティング環境を整え、毎日のようにカメラの新製品情報をチェックするようになり、立派なカメラオタクが誕生しました。

そんな感じで今に至ります。

おかげさまで写真の仕事もぼちぼちと増え始め、これはこれで仕事の幅が広がってよかったなぁと思っています。

カメラにハマった経緯は人によって千差万別。よかったら皆さんの話も聞かせてください。