フルカツノミライ~「革非同」ヲチって一周年
まず、ことの経緯に関しては書記長のブログのここ何日か分をご参照下さい(12/9、12/10、12/11)。ついでにそこにトラックバックしているであろう「ヲチャ」の方々のブログ記事も。
簡単に記せば、クリスマス粉砕デモを計画した古澤書記長が、今度は6月の「アキハバラ解放デモ」の轍を踏むまいとする余り、アキバデモの際の「ヲチャ」の代表的存在であった plummet 氏をデモ計画のために設けた wiki に招待し、そこまではともかく、折角 wiki を作ってそこで議論して方針を決めるというはずだったのに、書記長は他のメンバーに何一つ示唆することも無く突如 plummet 氏に「はてなポイント」一万ポイントを送りつけ(賄賂云々は勿論、デモの予算配分を勝手に決めたという問題もあるわけで)て懐柔を図り、plummet 氏が怒って突っ返した、ということのようです。その後、アキバデモの際の「ヲチャ」の方々が再登場し、古澤書記長はひたすらブログ上で謝罪、さらにはコメント欄でひと騒動あって現状に至る、ようです。
で、小生つらつら思うに、まさに古澤書記長は「非モテ」の鑑というか、「非モテ」の中の「非モテ」というか、そういう人なのだなあと深く感じ入ったのであります。
「非モテ」という言葉と概念そのものは、やはり近年のネットの中で生まれ育っていった概念であったと思います。で、「非モテ」を標榜するネット上の発言者に対し、しばしば投げつけられる言葉は、「そんな御託並べてないで、モテるように努力すればいいじゃないか」というものでした。実際に恋人の一人もできればそんなこと思わなくなるだろう、というわけですね。確かに、そういう場合はありそうです。
然るに書記長において恐らくそんなことはないだろう、なぜならば書記長は、耳元で恋人が囁く愛の言葉より、ネット上の「ヲチャ」のエントリの方により強く動かされる蓋然性が高い、からです。
「ヲチャ」と申しましたが、この場合の「ヲチャ」の方々は、6月のアキハバラ解放デモ以来古澤書記長をネット上で観察・コメントしてこられた方々であって、昨年12月のクリスマス粉砕ビラ撒き闘争@秋葉原、今年2月のバレンタインデー粉砕デモ@渋谷、3月のホワイトデー粉砕デモ@池袋、ここら辺から追っかけてネット上に何がしか報告している暇な徒輩は小生ぐらいなもののようです。しかも6月以降の「ヲチャ」の方々が、もっぱら活動のフィールドをネット上に構えていた(ネットの「ヲチャ」としてはそれが普通だと思います)のに対し、小生は現場取材がメインでした。そして取材を重ねるうちに、書記長を介してその周辺の方々とも出会い、まあ「ヲチャ」というよりリアルの(この言い方はあまり好みませんが)交友関係を持つようになり、書記長を囲んで皆で中国茶など飲みつつ話をする機会もありました。
その時の古澤書記長の口癖が、「ネットがリアル(現実)を包囲する」でした。
「リアル」で書記長に会っていた面々は、書記長はてっきり「リアル」での「非モテ」解放なり何なりの目的を持って、その手段としてネット上で活動しているものとばかり思っていたのです。ところが実はそうではなくて、書記長はネットでの自分の活動の発展のために、リアルに出てきたつもりだったのでした。まさかそんなこと、と思わなかったので、そのことに気がつくまで随分時間がかかりました。
その視点で見直せば、今回の騒動のような極めて不可解な事態が生じた理由もある程度説明できようかと思います。古澤書記長がネットでの「集合知」というものにとことんこだわり、そのためにwikiまで拵えたこと、しまいには自分の出処進退までネットでの意見で決めようとしたことも、書記長の果てしなきネットへの情熱からすれば説明できます。会ったり電話で忠告したりする人びとの話を重視せず、「ヲチャ」の人たちの取り込みに焦ったことも理解できます。
しかし、古澤書記長の言う「ネット」というのは、実は巨大な集合知というよりも、ネット上で書記長が特に嗜好する、ある決して広いとは言いかねる分野でのことに過ぎなかったのではないか、そう思わざるを得ません。具体的には「はてな」です。書記長は会うたびに「はてな」の魅力を説き、しかし他の面々(含小生)はネットの宣伝もいいけどリアルの活動こそ重要ではないかと指摘し、その齟齬はいつも存在していました。それがここまで決定的とは、流石に思い至りませんでしたが・・・。書記長がなぜそこまで「はてな」が大好きなのか、実は未だに良く分かりません。小生は今、もしかすると「非モテ」を最も搾取している企業は、「はてな」なのではないかと思っています。
というわけで、「はてな」の「空気」を「ネットの集合知」と見做していた節のある書記長が、その「空気」を操作すればいいのだと最も短絡的に考えた結果、この賄賂事件がおきたのでしょう。ネット上のポイントサービスを賄賂に使うというのは、もしかすると史上初かも知れず、その意味で画期的かもしれません(外山恒一が動画アップサイトと選挙運動の間に新境地を開いたように)。ですが同時に、この賄賂の送り方自体、書記長の「ネットがリアルを包囲する」信仰を良く表していたと言えるかもしれません。
しかしながらやはり小生が思うに、古澤書記長の行動がこれまでそれなりに話題になり、多少なりとも支持を集められてのは、ひとえに「リアル」で行動したことにあったと思います。書記長本人だけが、リアルの関係を深めることよりも、「はてなスター」の獲得に躍起になっていたのですが。「星の数よりメンコの数」って、軍隊で習わなかったのかい?
で、ネット上での対戦となれば、そっちを根城にしている「ヲチャ」の人たちの方にイニシアチヴを取られてしまうのは、致し方なかったのかもしれません。書記長自身、リアルで何事かいわれるよりも、書記長が主戦場と定めていた(でも書記長に向いた戦場ではなかった)ネットでの言論、特に「ヲチャ」の人びとへのある種のシンパシーを抱いていたのではないかと思われる節もあります。本件の謝罪文など斜め読みしても、あれだけ叩かれても(まあ、叩かれるだけのことはしてしまったわけですが…)尚、ネット上の集合知≒「ヲチャ」の言論への信頼はなくしていないのですから。で、本件に関する「ヲチャ」、この場合特に plummet 氏やJSF氏などが思い浮かぶのですが、徹底的に古澤書記長を叩き潰すというわけでもないところがおありのようで、好意的に見ればこれもまたネット住人としての「ある種の」シンパシーなのか、と思います(悪意に見れば当分突っついてネタに出来る、ということになりますが、そうではないと思いたいです)。
というわけで、古澤書記長はネットで生まれた「非モテ」の前衛(ピオニール)であり、ネットからリアルに飛び出してみせたことで評価を獲得し、雨宮かりん氏・香山リカ氏や赤木智弘氏と対談する機会まで得ました。しかし書記長は、そこでリアルに植えた苗を育てることよりも、その成果を元にネットでの更なる勢力拡大を図ったのです。
でもやはり、ネットはリアルの活動をとても便利にする道具ではあっても、リアルに取って代わるものではないと思います――少なくとも現時点では。書記長は目的と手段とをはきちがえていたのだ、そう小生は思います。
以前小生は、書記長の特質を「プロイセン的」と評したことがありましたが、まさにプロイセン的な破局が今回の事態だったと思います。目的と手段をはきちがえた結果、ドイツ軍がベルギーの中立を侵犯して世界各国を敵に回してしまったように、書記長は「はてなポイント」で plummet 氏を激怒させてしまったのでしょう。シュリーフェンプランは主観的には美しくても、国際世論の眼には不埒な侵略にしか映らなかったわけで、「やらないか(ベルギーを)」と冗談で書いておいたのに、冗談になりませんでしたね。
今後どうなるか、ですが、クリスマスのデモは決行するのでしょうか。決行するとすれば、最悪の場合、これまで書記長をリアルの場で支えていた友人は事の次第に呆れて(異界洋香奈氏の激怒と決別は、小生読んでいてなんとも悲しくなりました。そうなってしまうのもやむなしとも思いますが、いつかまた復縁されんことを)来ず、本来書記長が「お客」とすべき層は賄賂事件の醜態で愛想を尽かし、「ヲチャ」は「ヲチャ」で警戒して来ず、誰も来ないかもしれません。リアルの活動で支持を得たのに、リアルをないがしろにしてしっぺ返しを喰うことになる可能性は多分にあると思います。
しかし、そこから再出発するしかないだろうとも思うのです。
というわけで、手元に転がっているきづきあきら『ヨイコノミライ』4巻の帯の言葉をもじって、本件のまとめとします。
ネットに、愛されたかった。
色々手厳しいことを書いてきましたが、しかし別に小生は書記長と絶交するつもりではありません。小生は異界洋氏ほどは書記長と深く付き合っては居らず、むしろこの一年、書記長のお蔭でリアルでの新しい友人も得、楽しい経験が出来、別段損はしていません。クリスマスのデモを決行するなら勿論最古参ヲチャとして見に行きます。書記長がそういう主義なのだと知っていれば、それはそれでいいのです。齟齬に気付かなかった側にも、責任なしとはいえませんし。
んー、でもクリスマスデモやったとして、本当に誰も来なかったらどうしよう? その時は小生もトラメガ握って、桑原区政の糾弾演説をする羽目になりそうな(苦笑)
最後に全く別題ですが、本件に巻き込まれてしまった plummet 氏におかれては大変お疲れ様でした、としか申し上げようがないのですが、拙ブログにリンクしてくださっている記事「コミックマーケット73でも注意が必要か【冬コミ】」に関しましては苦情を一つ。
小生のブログにカマヤン氏がコメントされ、また異界洋氏もコメントされたことを以ってして、何か陰謀のように指摘されるのは全くの空論です。失礼ながら、ネット上のヲチばかりされていて、「リアル」での人間関係の構築について疎くなられているのではないでしょうか(書記長よか大分マシだとは思いますが)。
これはただ小生が、十年以上前からのカマヤン作品の愛読者で、コミケに行くたびに氏のサークルに行って新刊を買い、それが重なるにつれてありがたくもカマヤン氏が小生のブログの存在を認知してくださったというだけのことです。その小生が大学で「反白色テロル大連帯」を見つけて面白さに背後関係をちょいと調べ、そして奇しくも古澤書記長に出会ったというわけで、まあ世界は狭い、特にネットの「オタク」界隈なんて本当に狭いタコツボ、村に過ぎない。そういう教訓ではないでしょうか。狭い村でのことを大仰に騒ぐことは、感心しません。
※訂正:タイトル打ち間違えてた。間抜け。
かつてこの活動を「反白色テロル大連帯の正統後継的」だなと思っていた頃は、一旦活動に参加した上でセクト的に分裂してみたいという気持ちもありましたが、実際には大分違う原理で動いていたようですね。
結果として一回も関わらなかったのは正しかったということになりましょうか。あるいは(はてなで?)有名になり過ぎて何かが狂ったのか。
そう言えば、書記長がどうかは知りませんが、ナツメヤシ氏の方面では「外からどう見られているのか」というのが酷く重要なことのようですね。
私が「外」の人間として見たところでは、書記長もその他関係者(自称ウォッチャー含む)も総じて宗教家に向いてないなあという感想です。誰も聞いてないことですが。
ついでにここに書いておくと、「中核派疑惑」を何か重大事のごとく騒いでた方々は全員革マル派ないしシンパのように見えますね。だって革マル派の仕事は中核派を糾弾することですから。
ほほう、それは何に関するシミュレーションなのですか^^
そうそう、プロイセンゲームは是非やりたいですね。
小生も書記長閣下とお手合わせのために、T.S.レイサーの『1914』未開封品を未だ温存しております。シュリーフェンプランが美しいのか実証できる一品、なにせオランダも通れるし。
宗教法人設立の声も出ないではありませんでしたが、やはり教祖は得がたい存在で、その節には貴台のご出馬を乞う所存でありました。
前世紀の記憶を手繰ると、確かに中核派が体育会系で革マル派がオタクという傾向だったように思われますな(笑)
>某後輩氏
またそういう内輪ネタを(苦笑)二人で盛り上がってるし。
しかし実際のドイツ軍の行動も、規定路線に断固しがみついていたともいえるわけで、『1914』に限っては正しいプレイスタイルと申せましょう。
ただ、一つ確かなことは、沸いてきたテロリストと戦う羽目になるのは、T72氏でもなければ、椰子さんでもなく、書記長や異界氏の方と思います。
ご指摘のとおりかと思います。
一昔前なら、「中核派」とかは大学に入ればそれなりに実態を持った存在として認識できたでしょうが、今となってはそれが難しく、かえって今回のような事態を招いてしまったのでしょう。それだけ、リアルなセクトの力が衰えたということなのでしょうが(苦笑)
書記長には、リアルの意味をもっとよく活用してもらえればと思います。