あんまり人の記事を参考にはしないのだけど、書きたいことに含めるのにちょうどいいと思ったので。
Elasticさんの25歳からのオーソドックスなスタイルを考えるという記事がとても盛り上がっている。
この推奨服に対しては、実に素晴らしいセレクトだと思うのだが、気になる点もある。
現在のアメトラリバイバルは、若者に受け入れられているのか?
一番オシャレを楽しむ高校~大学生なら、雑誌で盛り上げられているニューアメトラを着たいと思う人もいるかもしれない。
それを経験せずアメカジとヨーロピアンファッションを経て、オシャレのピークアウトした25~35世代には、アメトラに抵抗感があるような気がする。
オシャレはスパイラルとはよく言われるが、アラウンド30世代にとっては、アメトラは過去のダサさを感じる、いわゆるスパイラルの向かいにいた世代のように思えるのだ。
(アルマーニスタイルだって向かいじゃん、なんて突っ込まないでね)
「25歳からの~」と、オーバー25或いはアラウンド30に対するスタイルを提案するには、彼ら世代に受け入れられてきたセンスを汲んだオーソドックスを提案するのがよかったのではないだろうか。
しかし、この世代に強く訴えるジャケットというのがあるのか?というと、多分ない。
トラディショナルでなく、モード(一過性の流行)によってセンスを磨かれたわけだし、この時代においてIVYのブレザーのようなジャケットスタイルは生まれなかった。
ジャケットはトレンドを色濃く反映するから、いわゆるセレクトショップで買うオリジナルものが一番安心できるのではないかと思う。
インコやロータのパンツは、多分現在のトレンドの型にアップデートしているはず。
10年以上前は股上の深いパンツしかなかったし。
さてさて、言いたかったのはそういうことではなく。
これらを揃えると30万円近くになるということ。
「この3千円のシャツとあの1万5千円のシャツとどこが違うのか?」
という疑問からファッションの世界に入った私からしてみれば、これらの服の値段はその手間と価値からみれば妥当なもの。
服はただの身体の被りものとして、寒暖を防ぎ、ある程度の耐久性を持ち、そこに個性の表現物としての機能を求めなかった場合、3千円のシャツで充分なものになる。
そこそこの生地で、縫製や裁断の簡単なパターン(型)を引き、新興国の格安工賃で大量生産するものがそれ。
しかし、独自に素材を選び、身体の立体性を活かす複雑なパターンにし、それに見合った難しい縫製を、技術を持った職人に少ロットで発注した場合、その金額では作れない。
(ちょっと原価を想定してみるといい )
「弘法筆を選ばず」って言葉があるように、3千円のシャツでもオシャレに着こなすことが出来ればいい。
しかし、誰もが弘法ではないし、弘法だって書きたい文字によっては筆を選びたいことがある。
そういうときのために後者の服がある。
わざわざ選ばれる服。
スキルのない人が前者を着ると、センスの無さが露呈するが、後者の服には間違いのない清潔感や上質感がある。
そういう物を買うのだから、普及品と比較するのはそもそも間違っている。
自分だけ乗って移動できればいいからと軽自動車を買うのと、お客様を快適に乗せるためにクラウンを買うのと似たようなこと。
洋服を散々勉強してきた私が言うのだ。
着崩さないオシャレをするための洋服は高い。
シャツと同額の1万円で買えるものを考えて欲しい。
靴と同額の5万円で買えるものを考えて欲しい。
「イタリア服に10万円使うなら、10万円でイタリアへ行こう」
かつてそんなニュアンスのコピーが流行ったらしいが、そういうものと比較できるほど、洋服は高いものなのだ。
ま、マニアしか読まないこんなブログに、こんなこと書いたって、読んで欲しいビギナーには読まれないんだろうけど…
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何度も紹介していますが、カットソーで言えばここを超える品質はありません。
この価格は驚異的な設定です。
サイズ感は人を選びますが、着られる人は買って損しないどころか、得すると思います。
残念ながら殆ど売り切れていますが、白の厚手の長袖が残っていて、早い者勝ちですよ。
sol-design
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