サラリーマンしながらラブホテルとかアパート経営とかしてFIREしてみた

ラブホテルはみんなに使ってもらっているのに、なぜかあまり好かれる施設ではありません。まあだからこそブルーオーシャンで儲けさせてもらっているのですがね。よくある話ですが、近所の子供が「近寄るなと言われると近寄りたくなる」理論でホテルにちょっかいを出してきたり、自分からホテルの近所に家を建てたくせに「ホテルがあるから売れなくて困っている」などと人のせいにされたりと、枚挙に暇がありません。とは言ってもどれも大した話ではないんですけどね。

近隣からの迷惑に対しては毅然と対処します。例えば子供が悪ふざけでホテルに石を投げてきて窓を割ったら、親に対してきちんと損害賠償請求をします。必要があれば警察も絡めます。こちらが被害者ですので。逆にこちらが迷惑をかけた場合、例えば騒音を出してしまったり、樹木が越境してしまったりした場合は、極力誠意を持って解決します。ただしお金は払いません。たかられてしまいますので。

一番良いと思っているのが、その地域の町内会長のような人と仲良くすることです。地域のボスを抑えることで、ほとんどの問題が解決しますのでお勧めです。まあどこの企業でも、どの個人でもやっている程度の努力は必要かもしれません。お祭りがあれば、匿名で町内会にちょこっと寄付してあげたり、テキ屋の宿を提供してあげたりくらいで良いかと思います。そこそこ地域に溶け込むことが、トラブルを減らす一番のテクニックかもしれません。

あくまでも個人的なやり方になりますが、私は従業員の管理方法として「従業員同士をあまりくっつけ過ぎない」というテクニックを使っています。一般的には、会社は一体感を持って公私ともに仲良くなり、一丸となって目標に突き進むというのが良しとされているように思いますが、副業ホテル経営の場合は、求心力となるべき自分が常にホテルに駐在しているというわけではありませんよね。

しかし自分以外の誰かに求心力を持たせてはいけないと思います。従業員の誰かが必要以上にリーダーシップを発揮し、従業員で徒党を組まれると、遠隔で管理をすることが難しいのです。それだったら、まだ適当にサボってくれていたほうがマシです。従業員が経営者の言うことを聞かないという状況は悲惨です。

そうさせないために、根暗な方法かもしれませんが、従業員個々人と私が直接つながりを持ち、適度に「チクらせる」という方法を取っています。ちょっと手間がかかりますが、少ない労力で人を管理できる良い手法ではないかと思っています。「誰がしが掃除をサボっていた」とか、「誰がしが指示を守っていなかった」など、小さなチクりをさせ、「あなたが監視役ですよ」というようなニュアンスを与えると、遠隔でも現場の問題点が見えやすくなります。「私が監視役なのでしっかりやらなきゃ！」と思ってくれるのもメリットです。

また、このテクニックにより従業員同士が適度に監視されあっている緊張感を持ちますので、これもまた遠隔管理にプラスとなっているのではないかと、私はこのやり方を少し自画自賛しています。

ラブホテルは採用も結構難しいとお話したところですが、それでも外部から募集をしなくてはならないのが宿命です。一度、ホテルの近所に人材募集チラシを数百部ばらまきましたが、効果はありませんでした。まあ枚数が少なかったこともありますが、あまり近所すぎると世間体が悪くて応募できないのではないかと思いました。

私は困ってしまい、真面目に従業員採用のマーケティングを始めました。まず、雇いたい人材はどういう人か？経験的に若い人はあまりラブホテルに向いていないと思います。トラブル対応力が弱く、まだ人のSEXに興味があるため落ち着かないということで辞めることが多いと聞いています。あと金銭をくすねる率も高いようですね(人によるでしょうが)。

そうするとやはり、ある程度歳のいった初老の人が良いと思いました。夜勤となるフロント業務の人は男性の方がベターですし、清掃は能力的に細かいところに気が届くので女性の方がベターと感じます。ご老人は本当に人によりますが、我慢強く真面目に働く率が高いです。他に働ける口も少ないですしね、そうすると定着率も結構高くなってきます。

ある程度年齢が高い層にリーチするには、やはり新聞の折込広告が便利です。地域も絞れますし、価格も安い。ただ、先にお話したとおり、原則新聞等への風俗職種の募集は禁止されています。ところが実際のところ中小媒体であれば、案外掲載してくれるということも分かりました。従業員に頼んで数週間分、新聞を人材広告チラシをかたっぱしから持ってくるように指示しました。そこから聞いたことのない媒体に電話してみると、どこの地域でも2,3媒体は掲載OKが出るものです。そうやって地道に人を集めると良いと思います。

私がやっているラブホテルでは、案外従業員の定着率が高いのが特徴です。知り合いがやっているホテルでは、従業員の入れ替わりが高いところもあるようですが、安定したルーチンワークなので、コキ使ったり、怒声を浴びせるなどしなければ、比較的気楽に働けるのではないかと思っています。それでもやはり、いろんな事情で退職するというケースもあります。

ラブホテルの従業員の募集は結構難しいです。風俗営業の一番の悩みなのですが、あまりおおっぴらに大手広告媒体やチラシなどをばらまくことが禁止されているため、ハローワークやリクルートなど普通に思いつく従業員募集方法が使えないケースが多いです。私も実際に問い合わせてみて初めて知りました。新聞広告は通常不可、大手折込広告も不可、ネットでの募集も大手は不可ということでした。

そうするとまず一番最初に思いつくのが、従業員の紹介による採用となります。これは一回は使えます。ただ、普通の人はそれほど多くのコネを持っているわけではないので、二回目を依頼しようとすると、もう知り合いはいないと断られることが多いようです。紹介の欠点として、少なくとも2,3人は候補が上がりますが、ほとんどはあまり質が良くないケースが多い気がします。従業員は自分よりデキる人を紹介しない(自分の職が脅かされるため)のか、身内として評価が甘くなるのかのどちらかでないかと思います。

となると、クオリティの高い従業員を雇うには、一般から広く募集するしかないということになります。

ラブホテルの従業員というと、どういうイメージを持たれるでしょうか？住居不定、身元不明、ワケありの人が住み込みで働いているのでしょうか？いえ、ほとんどの従業員は普通の一般人で家も持っていますし、ヤクザだったとか、犯罪者だったとか、そういうことはありません。そこまでブラックな業種ということでもないのです。

私のホテルでは、ホテルの近所に住んでいる一般企業を定年退職した元・サラリーマンや、地元の農家の人、孫にプレゼントを与えるために小遣いを稼ぎに来ているおばあちゃんなど、本当にどこにでもいる一般人ばかりです。たまたま近くに働き口があるから、農業の閑散期に現金収入がほしいからなどの、特に変わったこともない従業員たちです。

元々総務をやっていた従業員は電気系統から設備までなんでも詳しく、自分で簡単な修理くらいできてしまいますし、元水道工務従事者は、ボイラーから水栓修理までじぶんでやってくれます。過去、いくつものラブホテルを渡り歩いている、ホテル部屋清掃のプロ(?)のようなおばちゃんもいます。ほんの数十分で部屋を清掃してセッティングする技術は、新幹線清掃人にも負けません。

このように世間で思われているほど、ラブホテルは特殊な業界ではありません。普通の人が、普通のお客様を相手に、普通の努力と儲けで回している平凡な仕事なのです。一般の企業と比べれば、不動産資産への依存度が高いため、いくらか少ない努力で運営できるのが特徴です。この点が私たち副業で経営をしている兼業経営者にはピッタリな業種ではないかと思います。