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20万円かけてランサーズでロゴマークを募集してみてわかったこと

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8月末ごろに、弊社運営サイトのロゴマークを、ランサーズで募集していました。
参照:【20万円】クリエイター応援、ランサーズでロゴマーク募集を開始しました

本来、ロゴマークの募集相場は2万円ぐらいなのですが、その10倍の報酬を設定してみた結果、どんな感じだったのか、感想などをまとめたいと思います。

コンペ形式でロゴマークを募集してわかったこと

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ランサーズのコンペ形式で、報酬総額20万円でロゴマークを募集しました。その結果、いろいろなことがわかりました。

提案総数は380件

今回は、提案総数380件の応募をいただくことができました。
同じデザイナーの方からの修正デザイン、複数デザインの提案も多く、参加者ベースで見ると、209人のデザイナーが、本コンペに参加してくれました。

20万円で209人の応募があったので、1件あたりの制作コストは956円になります。募集する側からすると非常に安くデザインを集められていることがわかります。

募集をかける側からすると、1件あたり数百円~数千円程度で多くのデザインを参照できるメリットは大きいと思います。一方で、クリエイター側からすると、この「956円」という数字は非常に安いように感じられます。

ランサーズでのロゴマークの募集相場は2万円~5万円程度です。今回、弊社が提示した20万円という数字は非常に大きな金額です。しかし、「クリエイターが受け取るべき報酬」を踏まえると、コンペ形式の場合、もう一桁ぐらい単価が高くても決して安すぎることはないように思います。

つまり、クラウドソーシングによる「コンペ形式」は、それほどまでに価格破壊が起こっていると言えるのかもしれません。

それから、380件のデザイン提案をいただけたことは、嬉しい反面、選定は難航しました。デザインというものは素人目からすると、どれも甲乙付けがたく、「逆になかなか選べない」という状態になってしまったことも事実です。

60代のランサーが多い

実際にどんな方が応募してくださっているのかな?という部分に興味があったので、デザインの提案をくださったランサーのプロフィールは、結構チェックしていました。

プロフィールを見ていて思ったのは、「40代~60代のランサーが非常に多い」ことです。60代の方もたくさん応募してくれました。最近、テレビなどでも取り上げられるクラウドソーシングですが、定年退職後の仕事として、ランサーズを活用している人が、思った以上に多いのだなと感じました。

もちろん、20代、30代のクリエイターさんも応募してくださったのですが、全体数209人の中で言うと、ごくわずかといったところです。その他、自営業でデザイン事務所をやっている方や、法人の方の応募もありました。

また、募集側の意見を言うと、できることなら「ランサーのプロフィールは充実させたほうがいい」と思いました。やはり、単純にデザインだけでは比較できないケースも多く、「そのデザイナーの実績やプロフィールも含めて検討してしまう」部分が少なからずありました。

よく、顔出し・名前出しをしている方が信頼できると言われますが、それと同じで、プロフィールが充実していたり、実績が見える人の方が、信頼度の点から言っても選ばれやすいと思います。

一方で、プロフィールを充実させるべきなのは募集側も同じだと思いました。実際に、募集者がクートンという会社であり、募集の背景や、募集に至った理由をブログで公開したことで、ランサーの方からコメントや反応をいただけました。

どこの誰かもわからないクライアントを相手にするよりも、身元のはっきりしているクライアントを相手にする方が、仕事をする側のモチベーションも違ってくるのだと思います。ランサーの方から反応をいただけたことがきっかけで、急遽、ランサーズ上でアイコンを設定したり、プロフィールを追記するといった対応を行いました。

コンペには参加しないランサーもいる

ランサーのプロフィールを見ていると、「コンペには参加しない」方針を掲げている方も数多くいます。やはりコンペ形式は選ばれなければ報酬が出ないという「不確実性」をはらんだ仕事なので、クリエイターにとっても参加しづらい点があるのだと思います。

つまり、どれだけ報酬を高く設定しても、取りきれないデザインがあるということです。ただ金額を上げれば、あらゆるデザイナーのあらゆるデザインが集められるというのは間違いです。報酬がどれだけ高かろうと、「コンペには参加しない」ランサーもたくさんいるのだということを学びました。

そう考えると、募集側として、「コンペ形式」で募集すべきか、「プロジェクト形式」で仕事を依頼すべきかを、上手に使い分ける必要があるなと思いました。

コンセプトは大切

前述のとおり、たくさんの提案をいただくと、選定が難航します。

その中で、「なぜそのデザインに至ったのか?」というコンセプトを掲げてもらえると、選ぶ側としては非常に助かります。また、そのコンセプトが「なんとなく使いまわしできる感があるもの」ではなくて、クライアントの気持ちをしっかりと理解した上でのコンセプトだと、当選確率は一気に上がると思います。

あくまでも選ぶ側の意見なのですが、コンペを勝ち抜くコツは、デザイン勝負ではなく、
「クライアントの気持ちをいかに汲み取ることができるか?」

が勝負の分かれ目になるように思いました。

また、カラーパターンを複数提案してもらえると、イメージしやすいので、これも重要なポイントかなと思いました。

意外性を求めてしまう

380件もの提案をいただくと、どうしても「同じようなデザイン」がたくさん登場します。例えば、今回募集した「ネット銀行100の活用術」のロゴマークの場合、「100」の部分が「目」になっているデザインがたくさんありました。

しかし、クライアント側はなんとなく「ありきたり」は避けたいと思ってしまいます。どうしても「意外性」を求めてしまうので、他のデザインにはない、他に思いつきそうな人がいないようなデザインの方が、そそられました。

当選ロゴマークの紹介と感想

今回は「クリエイターへの応援・還元」を踏まえた取り組みでした。少しでもクリエイター・デザイナーさんの次の仕事に繋がればよいなと思っているので、最後に、候補として選ばせていただいたデザインをご紹介します。

今回募集したのは、弊社が運営する「ネット銀行100の活用術」というサイトのロゴマークです。ランサーズでは、1つの当選報酬(15万円)と、4つの参加報酬(1万円×4件)を設定していました。

提案デザインの一覧はこちらです。
「ネット銀行100の活用術」のロゴ(ランサーズ)

(当選報酬)Bulldogさん

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今回、当選デザインとして選ばせていただいたのが、Bulldogさんの提案です。

シンプルでわかりやすいデザインと、カラーの使い方が気に入ったので、選ばせていただきました。選定のポイントとして、「シンプルであること」、「カラーが好感的」、「2色使いでわかりやすい」、「フォントがサイトイメージに合う」、「サイトの掲載イメージに合う」といった部分が素晴らしいと思いました。

この方は、40代前半のイラストレーターさんです。今回のお取り組みをきっかけに、また機会があればお仕事の依頼などをしていきたいなと思っています。

(参加報酬)renamaruuさん

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20代後半のクリエイター、renamaruuさんは、今回応募をいただいた方の中では、最も若い年齢層のクリエイターさんの一人でした。

サイトのイメージとも相性抜群で、最後まで決めるのに迷った、優秀なデザインです。renamaruuさんのデザインの素晴らしいところは、「同じネット銀行でも、パソコンではなくスマートフォンを使ったデザインだったこと」です。

最近は、スマホを使って銀行取引をする人も増えています。
「ネット銀行」というと、パソコンでの利用をイメージしがちですが、スマホでの取引を想定したデザインは20代の若いクリエイターならではの嗅覚だと思います。

ちなみに、当選に選ばせていただいたBulldogさんのデザインは、当初はPC仕様だったのですが、私がrenamaruuさんのデザインに感化されて、スマホ仕様のものも見たいと、修正提案を出して作っていただいたものです。それくらい、renamaruuさんのデザインには説得力がありました。

(参加報酬)Doing1248さん

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Doing1248さんは、ランサーズのロゴマークデザイナーの中では、TOP10に君臨する人気のクリエイターさんです。あの、マネーフォワードのロゴマークを作った方として、実績があります。

今回のデザインでは、ネット銀行の「ね」をイメージしたロゴマークを提案いただきました。おそらく、応募の中では最もシンプルなデザインだったと思うのですが、なぜかすごく説得力を感じました。

50代前半の男性の方で、ランサーズでは副業?として活躍されているようですが、これまでに500件近くの実績を築いている、人気のランサーです。

(参加報酬)vivipipi@Xさん

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vivipipi@Xさんのデザインは、コンセプトが非常に良いと感じたので、選ばせていただきました。

今回の応募の中で、「ネット銀行 → ネット → クラウド」という発想から、雲をイメージしたデザイン提案はたくさんいただきました。しかし、その雲を「がま口財布」に見立てたデザインは、ほとんどありませんでした。

似たようなデザインコンセプトでも、そこからさらに一歩踏み込むことで、「意外性」を生み出せる良い例だなと思いました。

(参加報酬)flyingmanさん

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flyingmanさんは、宮崎県に住む60代前半のランサーです。

「宮崎県の60代のデザイナー」と聞くと、本来なら私が絶対に出会うのことのない方です。しかし、そのような方とお取り組みができるのが、クラウドソーシングのすごさなのだなと改めて実感しました。

flyingmanさんのデザインは、とにかくシンプルでサイトとのマッチング感が高かったです。実際に、サイトで掲載した際のイメージキャプチャも載せていただき、選ぶ上でも参考にしやすかったです。

2014年の5月からランサーズで活躍している方ですが、プロフィールも充実しており、信頼できる方という印象もありました。

さいごに

通常ならちょっとありえないことをやってみる。
そこから新しい何かが生まれたり、何かを学べることができるかもしれない。

利益度外視で何かをやる。
今回の募集を見て、「ロゴマークを1つ作れば、1ヶ月生活できるんだ、自分も参加しよう!」と思って刺激を感じてくれたクリエイターさんが、少なからずいてくれたのではないかと思っています。そして、それがモチベーションであったり、次の仕事の原動力に繋がっていくのだと信じています。

今回、このような取り組みができてよかったと思っています。
参加頂いた方々、また少しでも興味を持ってくださった方々に対して、感謝したいと思います。
ありがとうございました。

(書いた人:川原裕也)

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