何だか、 BSフジの「プライムニュース」7月23日の放送で、菅官房長官が「パチンコのギャンブル性をなくす」などと発言をしたとして騒然としております。


菅官房長官、パチンコ「ギャンブル性なくす」発言に万事休す? 市場規模「23兆円」巨大産業に迫る"消滅"の危機

この発言を菅官房長官がパチンコの「換金禁止」に踏み込む発言をしたと受け止めた、右派系の自民党支持者が「よく言った」と諸手を挙げて大絶賛のようなのです。


【速報】パチンコ業界に激震、菅官房長官が「換金禁止」を正式発表

ただね、コレ、全くの勘違いだと思うんですよね。先の放送における菅官房長官の発言を前後の文脈も含めて見てみますと、以下のようになります。


菅官房長官:
今回のIR法を機に依存症対策法というのを作らせて頂いたんですけど、例えば競馬とか競輪、よくご主人が熱中しすぎちゃってというのが有りますよね、そういう時に奥さん・同居する家族の方が反対であればインターネットで買えなくなっちゃう、そういう対応策とかですね。あるいはパチンコですけど、今、全部で23兆円ですよ。これ、すぐ近くにどこに行ってもあるじゃないですか。これに対しての対応策も今度とってます。まずギャンブル性がないような形にするとか。
(出所:BSフジ「プライムニュース」2018年7月23日)


「パチンコのギャンブル性をなくす」発言が出たのは上記のような一連の文脈の中でのこと。あくまで「今回のIR法を機に依存症対策法というのを作らせて頂いたんですけど、例えば…」として示された具体的な依存症対策であって、既に公営競技業界で実施が始まっている家族排除プログラムと並列に、パチンコ業界側の施策として例示されたもの。即ち、菅官房長官は既に実施が始まっている施策として、パチンコの「ギャンブル性がないような形にする」という発言を行なっているわけです。

その視点でこれを見た場合、知識のある人ならば直ぐに今年の冒頭から行なわれたパチンコ/パチスロの出玉規制のことだということがピンとくるわけです。以下、昨年8月のギャンブル等依存症対策推進閣僚会議にて警察庁が配布した資料より。


(4)出玉規制の基準等の見直し

遊技機の出玉(遊技客が獲得できる遊技球の数。以下同じ。)については、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和60年国家公安委員会規則第1号。以下「施行規則」という。)第8条で規定する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準(以下「遊技機の基準」という。)で規制されているが、ぱちんこへの依存の防止を図り、ぱちんこ営業の更なる健全化を推進するため、遊技機の基準の見直し等により、遊技機の射幸性を更に抑制する必要がある。

そこで、ぱちんこへの依存問題に係る実態を踏まえ、客の過度な遊技を抑制するため、出玉規制の強化等を内容とする施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(昭和60年国家公安委員会規則第4号。以下「遊技機規則」という。)の改正規則を制定し、平成30年2月1日から施行する
(出所:ギャンブル等依存症対策の強化について(案)


菅官房長官は、上記「既に行なわれた」施策を念頭に置きながら依存対策の実施例を紹介したワケですが、そこで「パチンコのギャンブル性をなくす」という表現を使ってしまった為にそれが様々な憶測を呼んでしまったわけです。実際は「パチンコのギャンブル性をなくす」わけではなく、「抑制した(過去形)」と表現するのが正しかったわけですが。

いずれにせよ菅官房長官の上記発言でパチンコの換金禁止が示唆されたわけではございませんので、この発言でカラ喜びしている嫌パチの右派勢の皆様、ご愁傷様でございます。