「韓国は類似内戦状態、大統領没落しても解決しないだろう」(中央日報)
韓国の民主主義が岐路に立った時に意見を求められる碩学に高麗(コリョ)大学の崔章集(チェ・ジャンジプ)名誉教授がいる。長く韓国の民主主義を批判的に探求してきた。「民主主義の民主化」「民主化以降の民主主義」「民衆から市民へ」などは彼の著書名であり当代の民主主義を理解する観点だ。
(中略)
「それなら韓国はどんな民主主義なのか」と尋ねたところ「民主主義にはなったが政治が消滅したと言おうか、見えない民主主義だがとても本当に危険千万な民主主義」と答えた。「政治のない民主主義」だ。民主主義に向けては政治が必要だが政治がないという意味だ。彼が「危険千万だ」という表現を使った理由であろう。懸案から尋ねた。
(中略)
――民主党の権力乱用も問題だ。
「与野党間の協議主義の伝統が完全に崩壊した。過去の少数与党多数野党の国会が多様な形態の対話と妥協を通じて大きな改革をやり遂げることができたとすれば、いまの少数与党多数野党は立法府と政権の全面対立を通じて何も成し遂げることはできない国会を生み出した。均衡のない無限牽制だけがある一種の『不毛の興奮状態』になった。拒否権を乱発した尹大統領も問題だが、政権をまひ状態に追い込もうとする民主党も良くやったものではない」
(中略)
――87体制の限界という主張も多い。
「87年体制は政治学者が『協約による民主化』と呼ぶものの産物だ。与野党が共存するようにした政治体制でうまく作動した時期があった。連立政権が支配的で政党内部も新進改革勢力から穏健中道、合理的保守まで多様な派閥があった。大統領も多様な世論に開放的な秘書室を運営した。陣営政治、青瓦台政府、ファンダム政治を経て87体制が悪化したものであり当初から問題だったのではない。もちろん悪化した87年体制を改善する道は87年体制に戻るものではないだろう。新しい政府の形態や権力構造を作ることが対案になりえる。必要ならば憲法改正もできるはずだ。問題は現在の両党寡占構造に衛星政党を付け加えた政党政治では何もできないという事実だ。政界改編なくしては改憲も政治形態の変化も期待できない。後に戻ることも、前に進むこともできない進退両難に置かれたのがいまの韓国政治だ」
(中略)
――混乱が長引きそうだ。
「大統領職の罷免であれ反憲法的犯罪行為に対する処罰であれ、いまの大統領は没落が決定された状況だ。これを締めくくるのは難しくないだろう。尹錫悦が消えるからと共存の政治や平和の市民社会がくるわけではない。いまと同じでは事実上の無政府状態や類似内戦のような状況から簡単に抜け出すことはできないだろう。
(引用ここまで)
「成熟した韓国の民主主義」ってアレについてちょっと書いてみましょうかね、といったエントリ。
まず、「成熟した民主主義」なんて言っているのはアレな日本人の一部、そして韓国人のごくごく一部でしかない。
韓国人からの視点では──
・「あんな事態になってしまって恥ずかしい」
・「そもそも戒厳令が発令されて、それが原因で弾劾になっているとか先進国ではあり得ない」
・「戒厳令もおかしい、弾劾を連発していることもおかしい」
──って話になっています。
「これが民主主義だ!」みたいな言いかたもされていないことはないですが。
ごく少数。
あとどう考えても「恥ずかしさを糊塗するためにすごいと言い張っている」部分がありますよね。
まあ、与党・国民の力にせよ、野党・共に民主党にせよ強烈な支持者であればまた別ですが。
冒頭記事では「韓国はもはや類似内戦状態」っていってますが、まあ理解できますね。
与党支持者は裁判所に乱入していますし。
野党支持者はあの乱暴な弾劾29連発を支持している。
そしてデモをやって自分たちの意見を掲げ続けないとやっていけない。
ただ、疑似内戦状態であろうとも、どっちの鉄板支持層はついていく……ってとこなんだろうなぁ。
で、中道派が「どっちもひどいけど、とりあえずいまはこっち」って移ろっている、ってところか。
結果として現在は
「野党よりは与党のがマシかな……」くらいになっている。
大統領選挙が実施されるまでこうして移ろっていって、当日まで分からないって状況が続くと思います。
野党もあのままやってればなんの問題もなく大統領の座が手に入っていただろうに、イ・ジェミョンが悪手を打ち続けてた結果、支持率伯仲するようになったっていうね。
正直、韓国の現状は「成熟した民主主義」っていうよりは「国民が最前線に出て人の壁を作らないと守れない民主主義」ですよ。
常に対峙していないと民主主義とか自由を保てない。
民主主義って根本的には有権者が投票行動で意思を示すだけでいいはずなんですけどね?
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