2012年6月15日(金)、小出裕章氏が、文化放送「吉田照美ソコダイジナトコ」に出演。大飯原発の再稼動に関して、日本全体の電力需給問題について触れ、橋下徹大阪市長ら関西広域連合の唱える夏限定の再稼動にも言及しています。
▼20120615 週刊エンター『原発のウソそして本当の話 第6弾』 小出裕章
=====
※「原発ゼロの電力受給・夏限定の再稼動についての分析 小出裕章6/15(1)(吉田照美ソコダイジナトコ)」からの続きです。
吉田「なるほどなるほど。ちなみに使用前の核燃料棒というのはありますけども。」
小出「はい」
吉田「これはどういう管理が必要なんですか。やっぱり使用済み核燃料棒とおんなじようにプールで冷やし続けないといけないものなんですか」
小出「いいえ。全然そんなことはありません。え…使用前の、燃料というのは、ウランを瀬戸物に焼き固めたペレットというものが、燃料棒というジルコニウムの金属のさやの中に入ってるだけのもの、であって。え…燃料製造工場に行けば、え…剥き出しで作業員が取り扱って、います。あの空気中に置いておいても、被曝はゼロではありませんけれども、え…空気中にも保管できるというそういうもの、です」
吉田「はあ…」
小出「それで、それを一度そのウランを核分裂させてしまいますと、放射能が10億倍に増えてしまう、のです。そのためにもう人が近づくことすらができなくなって。つねにプールの底に沈めておかなければいけない状態になる。」
吉田「わかりました」
小出「はい」
吉田「さてその再稼動問題の一方でですね、綱渡り状態が続く福島第一原発の事故処理なんですけども」
小出「はい」
吉田「え…東京電力は先月末ですね。4号機の核燃料プールに保管している、未使用の燃料2体を、え…7月にも試験的に取り出す方向で検討しているという、これ発表ありましたけども。」
小出「はい」
吉田「小出先生はこれに関してはどういう、あの、捉え方をされてますか」
小出「はい。えっと、未使用の燃料であれば、今聞いていただいたように、プールの底に沈めておかなくても、あるいはそのプールから空中に釣り上げても大きな危険にはならない、のです。え…ですから4号機の使用済燃料プールがあった場所はすでに爆発して、色々と壊れているのですけれども」
吉田「ええ、ええ」
小出「どんなふうに壊れているのか。え…今現在そのどんなふうに燃料棒が、例えば腐食してしまったりですね、え…壊れかけているのかということをどうしても見たいと思いますので。そのまま、…使用済み燃料はもう、全く釣り上げることすらできませんから。まずは、未使用の燃料を釣り上げてみると、いうことは、私としてもやってみたい、ですし、」
吉田「ああそうですか」
小出「東京電力もやりたいんだろうと思います」
吉田「ちなみにこの4号機の燃料プールには使用済燃料が783体で。」
小出「はい」
吉田「原子炉から取り出した燃料が548体」
小出「はい」
吉田「未使用の燃料が204体の」
小出「そうです」
吉田「合計1535体ということでよろしい訳ですよね」
小出「そうです」
吉田「はあ。でこれ発表に合わせて4号機内部というものが報道陣に公開されましたけども」
小出「はい」
吉田「小出先生はこれ映像はご覧になったですか」
小出「はい。ええっと。はい。色々見ています」
吉田「はあ。え、その分る範囲で結構なんですけど、映像から。」
小出「はい」
吉田「4号機の燃料プールというのは小出先生がお考えになる感じではどういう状態なんですか」
小出「ええっと、大変だと思います。え…通常使用済燃料プールというのは、大変綺麗な水の状態に保って、います。もちろん温度が上がってしまいますので、水を循環させながら、え…冷却もしていますし、水がもし放射能で汚れてくるようなことになれば、浄化系というところで、放射能を取り除いて、水自身はほんとに飲んで、本当に飲んでもいいぐらいに、きれーいにしておいてあるのです。」
吉田「はあ」
小出「それで…上から覗いてもプールの底がそのまま、全部見えると、いうぐらいな状態なのですが。え…現在の4号機の使用済燃料プールは。もう水自身がものすごい汚れていて、え…様々なものが漂っているという」
吉田「ああ、いう状態なんだ」
小出「状態ですし。曲りなりの底のほうの、カメラを入れてみてみると、燃料の上にいろんなものが散乱して落下してしまっているという。そういう状態ですので、え…通常私たちが考えている使用済燃料プールの状態とは全く違ってしまっています」
吉田「ああ…なるほど。今日発売のフライデーでは福島2号機、7万ミリシーベルトを超え、再臨界の危機なんて見出しがあるんですけど。これはいかがですか」
小出「ええっと、多分再臨界の危機はないと、思います」
吉田「これはない」
小出「はい。ただし、あの、猛烈な放射線、が飛び出しているということが、今回わかってきたということだと思うのですが。想像してみれば当たり前のこと、なのです。え…要するにウランを核分裂させてしまえば、放射能の量が1億倍にも増えてしまうという。そういうものが溶け落ちてどこかにあるという。どこに行ってるのかもわからないという状態ですので」
吉田「はい」
小出「場所によっては猛烈なところはやはりあちこちにあるだろうと思います」
吉田「分かりました」
小出「はい」
吉田「お忙しいところありがとうございました」
唐橋「ありがとうございました」
小出「はい。ありがとうございました」吉田「またよろしくお願いします」
小出「こちらこそお願いします」
吉田「失礼いたしまーす」
小出「失礼します」
吉田「京都大学原子炉実験所の小出裕章助教でございました。ありがとうございました」
唐橋「以上、週刊エンターでした」
=====
(了)
コメント