01)

2011年8月13日、沖縄県にて行なわれた小出裕章氏の講演(動画はこちら)の導入の言葉が素晴らしいと思いましたので書き起こしました。

(書き起こし)

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17)

小出裕章「皆さんは多分御存知だろうと思いますが。レイモンド・チャンドラーという米国の作家がいて。えーその彼の遺作は「プレイバック」という小説です。

その小説にこう書いてあるのですね。これは英語の原文のままですが。

01)

"If I wasn't hard,I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle,I wouldn't deserve to be alive."

と書いてある。もし訳せば、こんな日本語になる。

「強くなければ生きられない。」

今私も生きてるしみなさんも生きてこの場所にいるわけですから、なにがしか強さをもって今まで生きてこられたということは確かなことなわけですね。そしてもう一つチャンドラーがいってるのは、

「優しくなれないなら生きる価値がない」

と、言っている。

ですからこの世界にはもちろんみんな生きてて、強い人が生き延びてるわけだけれど。優しくなれない人は生きる価値がないとチャンドラーは言うんですね。

22)

いったいやさしいってどういう事なんだろうかと、私はよく考えながら毎日を生きるようにしています。そのことがきっと福島の原発事故にどのように向き合うか。あるいはみなさんがお住まいのこの沖縄という、場所にどうやって向き合うかということに関係しているんだろうなと、私は思います。」

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(書き起こし、ここまで)

実は7年前のこの8月13日は、米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した日でした。その際に放射性ストロンチウムが消失あるいは撒き散らされ米軍によって極秘に処理されたそうです。現場には飛散防止剤がまかれ、土はごっそり入れ替えられ普天間基地に持ち帰ったとのことです。そして小出裕章氏は現地で調査を行ったとのことです。

私は小出裕章氏の講演が素晴らしいと思う理由はいくつもあります。科学的な検証もさることながら、講演を印象づけるためにストーリーを描いていることも理由の1つです。国会に参考人に呼ばれたときもガンジーの言葉で最後を締めくくっていました。

人間の脳はデーターだけでは左脳に訴えることになります。それは記憶に定着しづらいといわれています。そこでストーリーをもちいて右脳に訴えることでより印象深いものになります。これは多くの学者が証明していることです。

小出氏が自然にそれを行っているのか、それとも脳の機能を学びながら行っているのかは、私は存じ上げませんが、どちらにせよ、小出氏は科学的見地を持たない人間に対して伝わりやすい講演をプランニングしているといえましょう。今、小出氏の講演に多くの人が集まるのは、残念ながら原発事故が起きてしまったことがきっかけです。そして、聴衆を魅了しているのは、氏の講演が聞く者に、チャンドラーの言葉を借りれば「優しい」ものであるのは疑いようがないと私は思います。

※以下の書籍は公演中に小出氏が紹介していたものです。

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