2011年8月13日、沖縄県にて行なわれた小出裕章氏の講演(動画はこちら)の導入の言葉が素晴らしいと思いましたので書き起こしました。
(書き起こし)
=====
小出裕章「皆さんは多分御存知だろうと思いますが。レイモンド・チャンドラーという米国の作家がいて。えーその彼の遺作は「プレイバック」という小説です。
その小説にこう書いてあるのですね。これは英語の原文のままですが。
"If I wasn't hard,I wouldn't be alive.If I couldn't ever be gentle,I wouldn't deserve to be alive."
と書いてある。もし訳せば、こんな日本語になる。
「強くなければ生きられない。」
今私も生きてるしみなさんも生きてこの場所にいるわけですから、なにがしか強さをもって今まで生きてこられたということは確かなことなわけですね。そしてもう一つチャンドラーがいってるのは、
「優しくなれないなら生きる価値がない」
と、言っている。
ですからこの世界にはもちろんみんな生きてて、強い人が生き延びてるわけだけれど。優しくなれない人は生きる価値がないとチャンドラーは言うんですね。
いったいやさしいってどういう事なんだろうかと、私はよく考えながら毎日を生きるようにしています。そのことがきっと福島の原発事故にどのように向き合うか。あるいはみなさんがお住まいのこの沖縄という、場所にどうやって向き合うかということに関係しているんだろうなと、私は思います。」
=====
(書き起こし、ここまで)
実は7年前のこの8月13日は、米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した日でした。その際に放射性ストロンチウムが消失あるいは撒き散らされ米軍によって極秘に処理されたそうです。現場には飛散防止剤がまかれ、土はごっそり入れ替えられ普天間基地に持ち帰ったとのことです。そして小出裕章氏は現地で調査を行ったとのことです。
私は小出裕章氏の講演が素晴らしいと思う理由はいくつもあります。科学的な検証もさることながら、講演を印象づけるためにストーリーを描いていることも理由の1つです。国会に参考人に呼ばれたときもガンジーの言葉で最後を締めくくっていました。
人間の脳はデーターだけでは左脳に訴えることになります。それは記憶に定着しづらいといわれています。そこでストーリーをもちいて右脳に訴えることでより印象深いものになります。これは多くの学者が証明していることです。
小出氏が自然にそれを行っているのか、それとも脳の機能を学びながら行っているのかは、私は存じ上げませんが、どちらにせよ、小出氏は科学的見地を持たない人間に対して伝わりやすい講演をプランニングしているといえましょう。今、小出氏の講演に多くの人が集まるのは、残念ながら原発事故が起きてしまったことがきっかけです。そして、聴衆を魅了しているのは、氏の講演が聞く者に、チャンドラーの言葉を借りれば「優しい」ものであるのは疑いようがないと私は思います。
※以下の書籍は公演中に小出氏が紹介していたものです。
コメント
コメント一覧 (6)
福島近県の子供や妊婦、授乳している方に、十分な防護薬は配布されていますか?モニタリングとシミュレーションをいかし、配布先に迅速に届けて下さい。疾病や相互作用に注意 しつつ、ヨウ化カリウム、カルシウム、システィンを処方箋なしで投与していただきたい。医師の絶対数が足りません。現場の医療介護スタッフが使用法を広報しましょう。
被害発生から時間がたちすぎていることに配慮して下さい。事態は急を要します!
私も同じ気持ちです。
小出先生は、事故発生以降、ずっと悩まれていると思います。
我々他府県の大人は低線量被爆を避けずに責任を引き受けるべきだと言う考えと、被害者の救済、子供たちの心配、除染や汚染物質の処理など、先生が変遷されていく様子は、私の内的経験と重なります。
教育関係の方へ。核に反対する研究者への差別を撤回し、推進派に等しい予算と待遇をお願いします。各教育機関のトップが決断すれば可能なはずです。学府に良心を呼び戻しましょう。
「私は子どもに嘘をついてはいけない、と教えてきました。もし過ちがあったら、きちんと謝罪すること」
と言われて、これが私の生き方ですー、そう締めくくられました。本当に感動しました。先生が放つ人格性こそ、今求められていると確信しました。
一方で、東電への責任を問う姿勢は大変厳しかったです。
大量の廃棄物(剥ぎ取った表土など)は責任を持って福島原発の敷地内に引き受けるべきだと。
先生の提言を謙虚に受け止める度量を持つ人よ、出よ!
いくら原発事故の加害者とは言え、リストの人物に危害を加えてはなりません。右翼も左翼も、今動いたら壊滅しますよ。
検察はリスト中の人間に対する捜査を開始しなさい。原発被害者は、どんどん告訴・告発しましょう。
法治国家なら適切に対処して下さい。
リストに載った方々は、自身で護身して頂くしかありません。日本の一大事に警察官をさく余裕はないはず。
ちなみに、誤記があったら出版元は責任を問われますよ。特にテロの対象となりかねない書籍だけに、至急内容を点検し、ミスは黒塗りしましょう。
人心のよりどことなる遺体検索がはかどらず、被災地の生活すら解決してないのに、自衛隊派遣を縮小。
これらは、職務怠慢の結果である。そして、人命軽視、私利保身のあらわれに他ならない。
一度事故が発生したら生命健康に直結する原発という存在。原発に関する職務上の間違いは犯罪である。業務上過失はまぬがれず、意図的ならば傷害事件、殺人未遂である。
ところで。
現在、反原発で活動している方々の無事を祈ります。私も含めて、危険性は増しています。顔を出している方は、家族を保護して下さい。匿名の方も用心しましょう。
身勝手なようですが、私の主張はほとんど発信したと思います。これから発言を減らすことを許してください。