ビーチやゲレンデで流れる「音楽」って必要?


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photo by Xavier Donat

 

 海水浴場のクラブ化! 若者いっぱい! マナー悪い!
 地元民が迷惑しているので、いろいろ禁止しました!……という話。

 

 まず、海の家で「クラブ」っぽいことをやっていることを知らなかった。読んでみて、「なんかおもろそうなことやってんなー」と思ったけれど、同時に、「あれ?でもそれなら、普通にクラブに行けば良くね?」とも。どっちやねん。

 上記記事を読んでみても、「音楽がないとか信じられない」という意見がある一方で、「静かで波の音に癒やされる」というお話も。

 そう言われて、「そもそも、ビーチに音楽って必要なん?」と考えてしまった。目的は泳ぐことや友人と遊ぶことであって、音楽は必須のものではないのでは?

 

 そんな、レジャースポットの「音楽」について。

 

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ビーチやゲレンデでは「音楽」が流れるのが当たり前?

 「クラブ化」とは別に、海水浴場では音楽が流れているところも少なくはない……と思うのですが、どうなんだろう。そんな毎年行っているわけじゃないので、自信がないのです。

 でも……ほら、夏の海水浴場を脳裏に思い浮かべれば、耳に聞こえるはサザンとTUBE、たまにオレンジレンジ。少なくとも、スピーカーから夏っぽい曲が流れていたような記憶はなくもない。

 

 音楽が流れているレジャースポットと言えば、他に思い浮かぶのは冬のスキー場。むしろ、ゲレンデ専用BGM*1まである。私をネ、失ったらネ、あなたの人生ネ、終わりだよネ。

 過去に数回しかスキー場に行ったことのない僕でも、「ゲレンデ=音楽が流れている」ようなイメージは強い。実際、行ったことのあるスキー場は、どこも音楽を流していたような記憶がある。 \ふぉーりんらーぶ/ ♪ろまーんすのかm*2

 

 ところがどっこい。検索してみたところ、こんな記事が目に入りました。

スキー黄金期の80'S後半~90'S前半にはゲレンデで音楽が流れているのが当然だった。リフトは30分待ちが普通で、ゴンドラは1時間待ちととか、今から考えると有り得ないほどゲレンデは混んでいたけど、だからこそ積極的に音楽を流していたのかもね。個人的に一番記憶に残っているのはやっぱりユーミンのサーフ天国、スキー天国かな。

今のゲレンデは違うんだね。11年ぶりにスキーに行ったけど、音楽が流れているゲレンデは殆どなくて、唯一流れていたゲレンデも昔の1/3の音量ぐらい。スキーヤーとボーダーで音楽の趣味が異なっているのが原因かもしれないし、ゲレンデ自体が冬のレジャーTOPじゃなくなったせいかも。

 2013年に書かれた記事のようなので、今もあまり変わっていないはず。もちろん、この方が行ったスキー場がたまたま音楽を流していなかったという可能性もありますが、印象として、音楽を流すゲレンデは減った、とのこと。そーなのか!

 

音楽の流れる日常の空間

 改めて考えてみると、僕らの日常生活空間は、BGMとしての「音楽」で満ち満ちている。

 実際、この記事を書いている今もスタバのカウンター席で、いかにも「スタバ(というか喫茶店)だ!」という、ジャズだかボサノヴァっぽいまったりBGMを耳にしながら、ノートパソコン(Mac)に向き合っています。俗に言う、 “ドヤ顔Mac” である。

 ほかにも、ジャスコ(というかスーパー)に行けば、ジャスコっぽいBGM(流行曲のMIDI打ち込みっぽいインスト版)で「これだよ……」となるし、すき家に行けば、すきですすきですすきですすき家の牛丼! で「うるせえ!」となれる。すすきです。

 

 飲食店に関しては、BGMを流しているのもわかるような気がする。カチャカチャと食器の触れ合う音、食事中の咀嚼音、店員さんが歩きまわる音。それら雑音オンリーの中では、落ち着けない人がいてもおかしくない。あと、音を出しづらい……かも。

 前々からずっとそうだったからかもしれないけれど、BGMがある方が自然であるような印象。喫茶店に行けば、まったりとした曲でホッと一息つけるし、ごちゃごちゃした個人食堂やラーメン屋に響くラジオの音に安心する。文字通りの “背景音楽” ですね。ラジオは違うか。

 

 他方で、人工的な非日常空間におけるBGMは、「演出」的な効果をもたらすものだとも思う。

 最たる例は、ディズニーランド。日常とは断絶された「夢の国」として、エリアやアトラクションごとに専用の楽曲を用いることで、その空間を演出・デザインしている格好*3。

 流行のJ-POPが流れることはなく、その、ディズニー1色の空間を存分に楽しむための、一種の舞台装置として機能しているように思います。詳しくは知らないので、見当違いのことを書いていたらごめんなさい。

 

ビーチ・ゲレンデに行って、何を楽しむか

 翻って、ビーチやゲレンデの音楽について。

 舞台装置として、または背景音楽として、「当たり前」にBGMが流れている飲食店、あるいはディズニーランドなどの空間と比べてみると、ビーチやゲレンデで流れる音楽は、何かしらの役割を果たしているものなのかしら?

 使われる曲は、流行曲だったり、その場所に適した “夏っぽい” 、もしくは “冬っぽい” 曲。ただ、前述の店やテーマパークと異なるのは、その場所が割と「自然」に近しいところであり、何をせずとも自然音が聞こえてくるような立地である点だ。

 僕が思うのは、その「自然音」が、既に背景音楽の役割を果たしているんじゃ?ということ。雑談だったり、食事の音だったりのように隠したい音があるでもなく、テーマパークのように、演出としてのBGMが必要なわけでもなく。

 

 いや、もしかすると、「演出」として必要としている人はいるのかも。

 

 浜辺に寝転んで、「す〜きだといって、て〜んしになって♪」*4とか耳にしながら、「夏だねぇ……」と感慨に耽ってもおかしくはないし、斜面を颯爽と滑っていたところ、懐メロが聞こえてきてテンション上昇&気分上々↑↑、「へい、でぃーじぇー!」*5なんて叫ぶ人だっているだろう。いる……だろう……?

 でもやっぱり、人工とは言え、山とか海とかの自然に近い空間、都会に暮らす人にとっては「非日常」の場所に遊びに来ているのだから、そこに「日常」の音楽を持ち込むのも無粋なのかな、と思わなくもない。

 それよりも、嫌でも耳に入る波音だとか、雪をかき分け滑走する音だとか、動物の鳴き声だとかに、耳を澄ませてみてもいいのではないかしら。スキー場で「青いベンチ」*6をが聞こえてきたので、ノリノリで口ずさんでいたらコースアウト。ふかふかの雪に頭から突っ込んだのは僕です。痛みだけがちょっと動いた。

 

 とは言え、友人と遊びに行くのであれば、話のタネにもなるし、その場を盛り上げる効果もあるかもしれないし、「絶対にいらない!」ものであるとは思いません。

 冒頭の逗子海水浴場の件もそうですが、ビーチやゲレンデで音楽を流すか流さないか、流すのであれば、どのような選曲をするのか。そのような違いを示すことが、その場所の「個性」ともなり得るはずなので。最近はスキー場にDJがいるんですねー*7。いいじゃん。

 

 いつかの冬、どこかのスキー場にて。「Last regrets」*8を流してくれた選曲者さん、握手しましょう。

 

4'33''

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  • ジョン・ケージ
  • クラシック
  • Â¥150
  • provided courtesy of iTunes

 

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