MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

「1, 2, たくさん」ではなかった

2008å¹´07月17æ—¥ | é›‘想
■埋め草代わりに気になった記事を。
technobahnの「アマゾンの原住民族、数認識能力は「ちょっと」と「いっぱい」だけ」という記事は「ちょっと」どころかかなりミスリーディングだ。MITのGinson(あのGibsonがこんなことも)らの調査と実験の報告なのだが、「ピラハ族の言語の場合、絶対的数値認識は1~2までしかなく、3以上の数値は全て「ちょっと(some)」と「いっぱい(many)」という概念によって表されれていた」というのでは完全に誤りだろう。こちらのスラッシュドット・ジャパンの記事は、「この部族には「1」「2」「沢山」を表す言葉があると思われていましたが、「1」と思われていた言葉は実際には1から4の数を表し、「2」と思われていた言葉は5か6を表していることが」わかったと、ほぼ正解。MIT Newsの英語原文はこちら。ただ、別の実験について「また、物の数を合致させる作業を行わせた場合、数を正確に記憶して合致させることはできなかったということです」というのは「ちょっと」分かりにくいかな。原文を読んでもよく分からないのだが、「記憶を使わずに数をマッチさせる」というのは、たぶん何かをたとえば5個置いて、「これと同じだけ集めてください」のような作業で、「記憶を使う作業」というのは何かをたとえば5個見せておいて、しばらくしてから、「さっきと同じ数だけ集めてください」と指示するようなことかなと思うのだが。

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