情緒不安定な情報は
グラスの零れ落ちたラグリマ
遠き時を想った
「世界」
この奇妙な造形には
十分気をつけなければならない
フェルナンド・ソルの曲に触れるが如く
19世紀ギターを細心の注意でなぞる
少女が小説のページをめくった
寒い冬の時間
安手のグラスに注がれるワイン
プラットホームから電車が走り去る
黙って遠くを眺めた
優しい君の行方を探して
哀しい微笑みで君は何処かへ消えた
存在は哀しい
そうっとほほを近ずけた夢
赤樹の樹の下で
約束のキスをした
いなくならないでね
僕の瞳を覗きこんだ君が
意味が先に消えた
鞄の中身は?
楽譜です。いつか弾こうと願って。
それで
それで、いつの時間に弾くつもりなんだい?
たぶん、来世で。
白夜の逃避行
安穏とした暮らしに飽き飽きとした日々
暮らした部屋は煙草の煙でグレッチのホワイトファルコンが
少しずつ黄色くなっていった
ピアノマンの切ない音色で酒を飲んだ
ポール・コゾフのギターが好きだった
張り裂けそうな泣き声の様なヴィブラートは
たぶん僕の声
狭い部屋で幾度も嗚咽した
泣き出した君の背中
僕は憶えている
空に消えた雲を
さようなら
君の幻影を消してゆこうね
それが多分、始発の電車なのさ
淡い夢が永遠に続く筈なのに
我々は永遠に離れ離れになってゆく
煙草に灯を点ける
少女がつまらなさそうに
一眼レフのシャッターを切った
かしゃ。
切り取れた記憶は
カレンダーの横に並べられる
冷蔵庫の白の壁に
切り取られた瞬間は永遠なのだろうか?
少女が考え込む僕の側で
「月光」を弾いてくれた
モノクロームは哀しくないわ。
カラーの色合いのほうが残酷よ。
少女がつぶやいたとうりだった
極彩色の写真は生なまし過ぎる現実
己ガ身ヲ放出サセヨ
物云ワヌ皮ヲ持テ
表皮カラ発熱サレル微熱
唯 安ラカニ在レト
願ウ
時計台ノ下
時刻ハ午前零時ヲ指シタママ
誰モ動ケ無イ
仮想ト現実ノ所作二於イテ
真実二戸惑ウ
白夜ノ逃避行
全体プラットホーム二佇ヌダ時間ハ
果タシテ何秒ノ誤差デ在ッタノダロウカ?
あなたお腹すいてない?
暖かいスープがあるわ。
少女がはっか煙草をくわえながら尋ねる
トマトがいっぱい入った奴?
そう
赤いトマトがいっぱい入った奴。
彼女は煙草に灯を点けた
何千時間の記憶が燃え落ちた
グラスをなぞる
零れた涙
グラスの零れ落ちたラグリマ
遠き時を想った
「世界」
この奇妙な造形には
十分気をつけなければならない
フェルナンド・ソルの曲に触れるが如く
19世紀ギターを細心の注意でなぞる
少女が小説のページをめくった
寒い冬の時間
安手のグラスに注がれるワイン
プラットホームから電車が走り去る
黙って遠くを眺めた
優しい君の行方を探して
哀しい微笑みで君は何処かへ消えた
存在は哀しい
そうっとほほを近ずけた夢
赤樹の樹の下で
約束のキスをした
いなくならないでね
僕の瞳を覗きこんだ君が
意味が先に消えた
鞄の中身は?
楽譜です。いつか弾こうと願って。
それで
それで、いつの時間に弾くつもりなんだい?
たぶん、来世で。
白夜の逃避行
安穏とした暮らしに飽き飽きとした日々
暮らした部屋は煙草の煙でグレッチのホワイトファルコンが
少しずつ黄色くなっていった
ピアノマンの切ない音色で酒を飲んだ
ポール・コゾフのギターが好きだった
張り裂けそうな泣き声の様なヴィブラートは
たぶん僕の声
狭い部屋で幾度も嗚咽した
泣き出した君の背中
僕は憶えている
空に消えた雲を
さようなら
君の幻影を消してゆこうね
それが多分、始発の電車なのさ
淡い夢が永遠に続く筈なのに
我々は永遠に離れ離れになってゆく
煙草に灯を点ける
少女がつまらなさそうに
一眼レフのシャッターを切った
かしゃ。
切り取れた記憶は
カレンダーの横に並べられる
冷蔵庫の白の壁に
切り取られた瞬間は永遠なのだろうか?
少女が考え込む僕の側で
「月光」を弾いてくれた
モノクロームは哀しくないわ。
カラーの色合いのほうが残酷よ。
少女がつぶやいたとうりだった
極彩色の写真は生なまし過ぎる現実
己ガ身ヲ放出サセヨ
物云ワヌ皮ヲ持テ
表皮カラ発熱サレル微熱
唯 安ラカニ在レト
願ウ
時計台ノ下
時刻ハ午前零時ヲ指シタママ
誰モ動ケ無イ
仮想ト現実ノ所作二於イテ
真実二戸惑ウ
白夜ノ逃避行
全体プラットホーム二佇ヌダ時間ハ
果タシテ何秒ノ誤差デ在ッタノダロウカ?
あなたお腹すいてない?
暖かいスープがあるわ。
少女がはっか煙草をくわえながら尋ねる
トマトがいっぱい入った奴?
そう
赤いトマトがいっぱい入った奴。
彼女は煙草に灯を点けた
何千時間の記憶が燃え落ちた
グラスをなぞる
零れた涙