My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

「動詞になる」のはサービス提供企業の究極の目指す姿

2011-01-30 16:30:38 | 2. イノベーション・技術経営

日本語でも「Googleで何かを検索すること」は「ググる」という動詞になっているけど、
英語でも今やgoogleは普通に動詞として使われる。
例えば、

"I don't know this word.." "Google it!" (「俺この言葉知らない」「ググれよ」)
I googled the word to make sure I'm using it in the correct form.
(私は正しい用法を使っているか確認するため、その言葉をググってみた)

などなど。
Wikipediaではto google という動詞として登録されている。

それからSkype。
これも英語圏の日常語では、「ネットIP電話で会話する」という動詞で使われてる。
ためしにTwitter内で検索してみるとこんな感じの表現にたくさん遭遇するだろう。

I skyped my boyfriend last night  (昨晩ボーイフレンドにスカイプしてみた)
I'm skyping with my Dad now (今お父さんにスカイプしてるとこ)

ネット上のサービスだけではない。
ボストンを起点とする米国のカーシェアリングサービス、Zipcarも既に「Zipcarで車を借りて乗る」という意味の動詞として使われている。
例えばTwitter内を検索すると、

I zipcared my daughter to school (Zipcarで娘を学校に送った)
I had once zipcard a prius (プリウスを一度Zipcarで借りた)

などの表現が次々出てくる。

このように商品やサービス名が動詞になるっていうのは、最近のケースだけではない。
古くは、1961年にXerox社が出したコピー機がきっかけでxeroxは動詞になった。
今でも英語では、「コピーをとる」ことをto xerox という。

「書類のコピーが簡単に取れる」というのはすごいことだったので、圧倒的な速さで普及した。
それに伴って、photocopyという動詞ではなく、xeroxが動詞として使われるようになってきた。

サービスの名称が、動詞になるって、すごいことだと思う。(特に英語圏)
そのサービスや商品を使うことが、新しい行動様式として人口に膾炙し、定着したっていう証拠だからだ。
そのサービスが、単純で、分かりやすく、便利だからこそ、新しい行動様式になれる。
それって、サービスを提供する会社が、究極に目指したいところじゃないだろうか。
そして、どんな宣伝媒体よりも究極のPRなのではないか、と思う。

かつてはGoogleも「Google」を動詞で使われることに抵抗を示していたことがあったようだ。
商標であるGoogleを、Google以外のネット検索にも使われていることで、商標権が侵されると懸念していたらしい。
Twitterで下記の記事を教えてもらった。
CNET Japan-Google ググるの使用に難色 (2006年8月)

最近の新しいサービスを出す企業は、そんな商標権なんてつまらないことにこだわらず、
むしろ動詞として使われることを目指して、積極的にPR活動をしている。

例えば、ネット上の写真アルバムサービスのFlickr(フリッカー)。
アメリカではかなり普及している、デジカメで撮った写真などをネット上に保存したり、友達とシェアしたりするためのサービスだなのだが、
"flickr"を「ネット上に写真をUpする」という意味の動詞として使ってもらうよう、PRしている。

あるいはマイクロソフトの新しいネット検索サービスのBing。
Googleに対抗して、"Bing it!"などの言葉を流行らせようとしている。
流石に "I googled the restaurant with Bing"(Bingでそのレストランをググった)などという表現が使われるほど、Googleが人口に膾炙してることに焦りを感じていることだろう。

これから新しいサービスを出そう、という人たちは、「動詞になる」ことを目指してみたらどうだろうか?

「動詞になる」のは意外に大変だ。
まず、新しい行動様式を要求する便利なサービスで無ければならない。
同じ行動様式があるなら、それに対応する動詞が既に存在するからだ。

そしてそのサービスは、ひとつの動詞に集約されてしまうほど、シンプルで分かりやすい必要がある。
例えば、Googleはトップページに検索窓しかない単純さ。
あのページにアクセスして出来ることは、文字を入れて検索ボタンを押すだけだ。
だからこそ、"google"というひとつの動詞になったのだ。

究極的には、良いサービスは「動詞になれる」。
動詞になるほどのサービスだからこそ、広く普及する、ともいえる。
新しいサービスを出す企業にとって、サービス名が直接動詞になるのは、究極の目指す姿なのだと思う。

今、新しいサービスを立ち上げている人は、Let's XXX (←あなたのサービス名) ! なんて言われることを目指してみては?

←クリックで一票お願いします!



最新の画像[もっと見る]

9 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
FB (Shu)
2011-01-31 00:07:31
動詞だけに限らず、その分野を代表する代表的な商標名は、代名詞的に使われる事が多いですよね。
代表的なのはティッシュ=Kleenex、最近では、スマートフォン=iPhoneでしょうか。
日本では、サランラップやウォシュレットがそれに当たるかもしれません。
どれもこれも、仰るとおり確かに「行動様式」がはっきりとしており、使用目的が明確であるものです。

Facebookが"I will facebook it"のように使われない理由も、ここにあるのかも?
返信する
仰る通り (amazedkoumei)
2011-01-31 00:15:25
>「動詞になる」のは意外に大変だ。
まず、新しい行動様式を要求する便利なサービスで無ければならない。

仰る通りですね。「動詞として使われることを目指す」というのも面白い切り口だと思います。
日本語でパッと思いつくものといえば「ググる」と「写メる」くらい。。ん?日本語で考えるとサービス名が「る」で終わるってのも意外に重要な要素!?
返信する
コメント有難うございます! (Lilac)
2011-01-31 08:29:22
@Shuさん
有難うございます。
一般名詞になっている商品名はたくさんあるのですが、とはいえ、動詞になるのは別格だと思うんですよね。
人々に新しい行動様式を提案して、それが定着していると言う意味で。
人の行動を変えるってすごいことですからね~。

で、おっしゃるとおりFacebookって余り動詞にはならない気がします。
もちろん、今回の北アフリカの一連のデモ行動がFacebookから巻き起こされたなど、影響力はハンパないですが。

@Amazedkoumeiさん
たしかに「しゃめる」というのありましたよね。
携帯をなにげに取り出して、写真を撮る、という行為を定着させたという。
あとTwitterで指摘されて笑ったのが「アサヒる」でした(笑)
目指すべき姿ではないような気もしますが、そこまで影響力を与えられるメディアはすごいのかも。
返信する
facebook (えび)
2011-01-31 10:38:43
facebookに関して一言。
少なくとも私が留学先の大学とその周りでは、普通にfacebookは動詞として使われていました。

I can't stop facebooking till the midnight. とか。

ご指摘のとおりGoogleのシンプルさは普及に寄与大だったのだろうと思いますが、今のfacebookの勢いを見ても、すでに動詞化されつつある言葉だと思います。(本当に一般動詞として認知されて、wikiに乗るのはまだ先でしょうけど…)
返信する
えびさんへ (Shu)
2011-01-31 14:49:10
Facebookが動詞として使われるという件、補足と情報提供ありがとうございます。
少なくとも、現在私が住んでいる周りでは聞いたことが無かったので…。

その場合の"facebooking"がいかなる意味を示すのか、気になる所です。
自分の中では、Facebookは機能が多く特化性に欠けるため、"facebook"が動詞として使われる事がないのではないか?という見解でしたので、非常に興味があります。
返信する
反対も (Willy)
2011-01-31 16:41:39
Urban Dictionary によれば、サービスがひどい状態を comcastic と言うらしいですよ(まあジョークの一種ですが)。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=comcastic

そのうち遅延することを Delted と呼ぶようになるかも知れません。日本でもアサヒるというのがありましたね。

返信する
シンプルが良い理由 (Vertigo)
2011-02-01 04:10:22
>シンプルで分かりやすい必要がある。

本当にネーミングは非常に重要です。
日本企業は品質ばかりに偏りがちですが、いかに覚えてもらうか、すぐに理解してもらうかはシンプルさに集約されます。
シンプルであれば学習コストが低いので広がるスピードが速いのも自明です。

動詞ばかりとは限りませんが日本企業や製品でいうならばベトナムのHONDA、メキシコのMaruchanなどでしょうか?
日本でもホッチキスやキャタピラなどは自然に代名詞として使っていますね。

SONYはどこの国であっても親しみやすく覚えてもらうために名付けた訳ですから小さいころから世界的な視点を持っていたと言えます。

日本人がブラジル企業の会社名を難しいと感じるように日本○○工業株式会社のような名前の会社がグローバル展開を本気でやる意思があるかは疑問です。

返信する
Unknown (Masa)
2011-02-02 17:37:27
そういえば、Fedexも動詞として使われているサービスですね。
返信する
Facebooking (AppleCider)
2011-02-14 05:03:05
私はカナダ在住ですが、確かにこちらでもfacebookingは使います(大学生はもちろんのこと、会社でも使っていますよ)ただしそれは「フェースブックのサービスを使う事」つまり、フェースブックのサイト上にいることを意味するので、一般的にSNSを使う事=facebookとは言わない気がします。その意味では、動詞化としてはgoogleなんかよりは、弱いかなぁと。

ある意味、どれだけ北米人がフェースブックを利用しているかを、示す動詞ではあるかもしれませんね。
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。