録画人間の末路 -

ようやくPS3のファームウェア2.41がアップされた。さっそくアップデートして
みたが、どうやら一部の環境でみられた2.40を使うと機動しなくなってしまう不具合
が解消された程度で、2.40が問題なく動き、かつゲームをやらないユーザーなら
特にアップデートする必要もないわけである。とはいえ、せっかくだからやっておこ
う。そして、ようやく2.40の時に感じたあらたなるPS3の動画再生機能のすごさを
書くことが出来る。そういうわけで、この記事は前に書いておいておきながら2.40
不具合のために保留にしておいたレビューを一部加筆・修正したものである。

使ってみて、まっさきに感じたのは、今までHDDに転送してからでなくては再生でき
なかった、H.264フォーマットの映像が、DLNA経由で再生できるようになっているこ
とと、Friioで作られるTSファイルを、拡張子tsのまま認識できるようになっている
こと。これでいちいち拡張子を書き換えたり、HDDに転送してから再生する手間が
省けた・・・と思いきや、DLNA経由だとなんかカクカクする。これは単純にLANの転送
速度の問題や、サーバーとして使うPCの安定度の問題だろう。特に、わたしのH.264
ファイルはほとんどHDのため、転送がおいつかないだけだろうし。「出来る」と「出来
ない」では大違いなので、もちろん出来たほうがいいに決まっているが、安定した
再生を望むのなら、やはり時間をかけていったんPS3側のHDDに転送してからの方が
いいようだ。
しかし、今回の目玉はなんと言ってもDVDやBDといった市販ソフト以外のファイル
を再生する時アップコンバート機能だろう。いままではかなりいい加減にやっていた
感じがしたが、今回一目で驚いた。PS3に転送してあって、何十回も見て画質を熟知
しているお気に入りの動画(H.264、720x480、16:9)が、まるで別物に見えた。くっき
り度が圧倒的に違うのに、動きもスクロールもナチュラルで。この画質ならHD画質
の動画は特にいらないのではないか、と思ったほど。また、ものの試しにと、ボケ
画質なのが分かりきっているPX-TV432PのMPEG2動画を再生してたら・・・これがまたま
た別物！　特に実写系の番組はしまりが非常によくなり、他のMPEG2メインのキャプ
チャーボードなみの画質に向上した。反面、アニメ系、特に24fpsのものはプルダウ
ンの際に挿入された映像がブレる様子が分かりやすくなってしまい、動きのナチュラ
ル感に欠ける。まぁこれは特殊な例なので気にすることも無いかも。

また、やはり特殊な例ということで、普段は切っている1080iを有効にしてみた。
ウチはPS3からHDMI出力された映像をCP-262Dを用いてコンポーネント出力に変換し、
HDブラウン管テレビで映している。こうでもしないと、特に市販DVDでブラウン管上
でアップコンバート機能が有効にならないためだ。これも著作権保護のため、とか
言っているが、なんでD端子でアップコンバートすると著作権保護にかかわるのか、
未だに分からん。多分、HDMIとの差別化したいだけだろう。
と、事情はさておきそういう出力を行っているためか、1080iは使い物にならなかっ
た。過去のファームウェアでは画面全体がブレたり点滅したりして落ち着かない画
にしかならなかった。だが、2.40/1は違う。見事にそれがなくなり、ブラウン管上
では静止画など、720pを超える部分すらある。なにより1920x1080で録画したファイ
ルがフルサイズで表示されるのは、非常に嬉しい。ただ、残念ながら完璧ではなく、
横に動きの大きい場面では、横線のようなノイズが画面に入ってしまう。インター
レースなのに、なぜか横の動きに弱いのだ。それ以外でも1080iより720pの方が画
は落ち着いた感じだ。強い1080iの方が好みという人もいるだろうが、やはりブラウ
ン管では720pを使った方がいいようだ。映像によって使い分けてもいい。なお、
当然と言えば当然なのだが、1080pは映らなくなるのでやめたほうがいい。

と、いうわけでもはやPS3はわたしにとって欲しい機能をほぼフル装備で備えてし
まった、強力なメディアプレイヤーと化した。特殊な状況下でのわずかな弱点や、
元々あまりよくない映像の補正にはさすがに限界はあるが、その弱点はこちらが
より良い映像を用意してやればいいだけのこと。こと動画ファイルの再生に関して
は、ほぼ隙の無い化け物プレイヤーになってしまった、と言っても決して言いすぎ
ではない。もはや他のメーカーのプレイヤーでは太刀打ちできないのではないだろう
か。そこまで今回はベタ褒めしてしまおう。2.40で不具合を出さなきゃ言うことな
かったのだが。ここまで来るともう機能アップも打ち止めの気はするが、SCEIは
まだ次の一手を用意しているのだろうか。実に楽しみだ。