宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆院農水委、農業者戸別所得補償法案を否決

2008年05月08日 17時43分52秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

[写真は筒井信隆ネクスト農相(衆院農水委での賛成討論)]

 衆院農水委員会は8日、民主党提出・参院可決の「農業者戸別所得補償法案」を自民党の賛成多数で否決しました。

 同法案は、昨年7月29日投開票の第21回参院選(「逆転の夏」)で民主党を勝利に導いた「(民主党と国民との)3つの約束」の1つである「農業者戸別所得補償制度」を法案化したものです。

 民主党の篠原孝衆院議員、平野達男参院議員らが「欧州では当たり前の農業政策」である直接補償制度を参考に、農業者である小沢代表の肝いりで公約の目玉にすえたものです。

 毎シーズンの米など農作物の生産額と市場価格の差を調節するもので、“国営農業”ではありません。

 田畑というのは、毎年耕していかないと、ダメになるものでしょう。ですから、値段が安かろうと農業は続けなくちゃいけない。
 仮に農業で生活できない年があって、それを機会に、その人が都会に働きに出てしまえば、穀物が収穫できなくなるばかりか、田畑は荒れて環境問題にも。

 あと、法案に書いてないのですが、おそらく農業者と「農協」のがんじがらめからの脱却という狙いがあるように思います。細かい手続きは政権交代後になるでしょうが、おそらく「補償」は国・自治体を通じて手続きをするイメージを民主党は描いていると感じられました。ただ、脱「農協」というニュアンスを出すと、選挙に影響があるから、その点は強調していないのだと思います。

 平野さん、舟山康江さんらが法案提出者として秋の168臨時国会参院で審議、可決。衆院に送られました。
 衆院では筒井ネクスト農相らの頑張りで、少数勢力ながら、「継続審議」に持ち込みました。
 自民党が農業者らの間で同法案への人気がおびえ、168国会での「否決」を断念した結果、「継続審議」になったようです。

 169通常国会に持ち越された農業者戸別所得補償法案。

 自民党がどのような情勢判断をしたのか分かりませんが、おそらく米価が上向いてきたことで安心したのでしょう。ついにきょう、廃案に。

 自民党が圧倒的過半数をしめる衆院が、またしても民意を踏みにじりました。

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