合言葉は、ボスコーン!

甘く切なく綴ってアン畜生なる彼方。SFと映画そして時々の成人向け漫画で日々精進なるや

子泣きトーテム

2006-08-29 00:40:05 | Weblog
 映画について…といきたい所なんですが、「ディアスポラ」のレビューがまだなんで明日に後回し。って「愛はさだめ、さだめは死」や「コラプシウム」もまだだった罠。例によって四つ星満点評価。


     グレッグ・イーガン 「ディアスポラ」  ☆☆☆☆(★)


 発売日に購入してからほぼ一年の熟成をかけ、今月に入ってやっと手をかけて読了。いやまぁ、イーガンほど読書する際の心構えを「登攀」と表現したくなる作家もそういないなぁ。それだけ知的読解を要求される長い道のりではありましたが、その苦労に見合うだけの重厚かつダイナミックな内容でした。イーガン作品を読み終えるとそのたびに決まって、「すげぇ、すげぇ、スゲぇー!」と頭の悪い連発をするばっかなんですが、今作もそこは変わらず。だって他に表現のしようがねぇんだよぅ。
 さて、この作品のタイトルは原題そのままの“Diaspora”であり、勘の良い人はすぐピンと来るとは思いますが、直訳すれば「離散」となり、あらすじを見て判るように正に人類の成す壮大な宇宙進出航行記であり、また一つの種族としての人類を描いたスペースオペラでもあります。こうやってみるとごく平凡に感じてしまいますが、イーガンの手にかかるとソレもたちまち一癖二癖もあるハードSFになっちまうわけで、その科学的描写も“順列”三部作でのサイバーパンク描写や理論提唱に輪をかけて更に凄まじい事に。ハードSFどころかウルトラハードSFと呼びたくなる代物で、中盤の数学的シークエンスで書かれた理論なんかはもうろくすっぽ理解できず、かなり凹みましたけどさ!でもなぁ、それでも流し読みするつもりで文を追ってみても、コレが無茶苦茶面白いっか「何が何だかわかんねぇけど、とにかくスゲェ!」と興奮しちゃうんだわ。ここには理系に限らず文系の人にも理解できる部分もあり、特に序盤と後半の世界描写と、イーガンならではの徹底した内面思考の描写にはただもう圧倒されるばかり。
 そしてこの人類宇宙航行記は終盤で大団円(少なくとも人類全体としては)とも呼べる終わりを迎えるのですが、そこからがイーガンの凄い所で、ラスト20ページには更なる感動が待ち受けており、最後のページを読み終えた時にはもう体中が万感の思いでいっぱいというか、これは間違いなくSFでしか成しえないものであり、他のジャンルでは絶対に表現できないと思った。それから最初のページに戻って、その万感をまた噛み締めるわけで、ここは大森望の解説が見事に代弁してくれています。

 最後に各所でも言われていますが、この作品の場合はほぼ理系向けの話であり、これまでのイーガン邦訳作品と比べると決して(というか確実に)万人向けではないので評価は真っ二つに分かれるでしょうが、文系寄りのこっちには非常に楽しめた内容でした。ただ数学的シークエンスがあまり理解できなかったので、そこの置いてけぼり感から満点超えの☆五つ揃いとまではいかず、あえて★一つ加える形に。将来、数学や宇宙論をある程度勉強してリトライすれば、評価は間違いなく本物の五つ星になるんじゃないかなぁ。



 
 かなりネタバレになるような気がするので、ここから反転。やっぱオラフ・ステープンソンの「スターメイカー」や「最初で最後の人類」も抑えとかなきゃいかんのかぁ、というわけでAmazonで田中ほさな「乱飛乱外」と併せてポチっと購入。なに、表紙のフトモモっぷりとかがなぁ、うん。



締める前に一つ
>「精子を飲みこむことは健康にいいって本当?」
 テレパシーでも繋がったのか、エロ漫画繋がりでちょうど友人からその話を振られたので。んで、このネタが出てくる漫画を脳みその中から掘り起こしてみたら胃之上奇嘉郎の初期短編が出てきた罠。体育系少女二人のフェラ漫画だったけかぁ。記憶が正しければ多分そうだ。

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