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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今「代替医療」と格闘している。
代替医療とは平たく言えば民間療法のことだが、僕はこれまでアンチエイジング・メディシンの手法の重要な一部と考えていた。 ただ、必ずしもはっきりした疾患を対象にしてないことが多いので、そのエビデンスを証明しにくいのが泣き所と思っていた。 だが、今読み始めた「代替医療のトリック」によると、そのほとんどが効果がないか、危険性さえあるということがすでに立証されているという。 著者の一人のサイモン・シンは優れた科学ジャーナリストであり、今一人の共著者エツァーと・エルンストは世界初の代替医療の教授である。 彼らは代替医療を「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」と定義づけている。 著者らは代替医療そのものを否定しているわけではない。 むしろ壊血病の場合のレモン汁のように、主流派の受け入れなかった療法が、長い年月を経て、正当な治療法となった例を上げ、効果が科学的に立証されれば取り入れるべき、というのが著者らのスタンスである。 そして「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」について詳細な科学的分析を試みている。」 そして最後に、現在代替療法といわれているもののほとんどすべてについて、その効果の信ぴょう性について結論付けている。 ではなぜそれでも代替医療が盛んになっているか? まず、「冷たい主流の医療」にたいし「温かい代替医療」というイメージの存在がある。 今一つ、科学に対する反感もあるのでは、と著者らは指摘する。 「人工的」「西洋的」「分析的」といったキーワードで括ってしまう。 その反対を代替医療に期待する。 すなわち「ナチュラル」「トラディショナル」「ホーリスティック」の三つのキーワードだが、そこに落とし穴があるという。 僕は民間療法に関して、複雑な思いがある。 それは親父が内科医として、「手のひら療法」を信じ、その他鍼灸を含め、ありとあらゆる民間療法を試みてきた半主流派の医師だったからだ。 その中に何か本当に効果のあるものもあったのか、改めて見直す気になった。
by n_shioya
| 2010-08-09 21:58
| アンチエイジング
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Comments(8)
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アヤメ
at 2010-08-10 00:47
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国連のクリニシャンのための難民救済の指針資料に、「それぞれの文化が信じてきた伝統的な医療方法(たとえそれが西洋医学分野でなくても、ジャーマンや祈祷師など)を尊重して治療を進めるように。しかし、最低3人の伝統的な医療方法施行者と治療を進めるように」と書いてあります。 民間療法には何かあるのかもしれませんね。
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ruhiginoue at 2010-08-10 08:09
アメリカのテレビドラマで『誤診』という、褒められたものではない邦題の作品を思い出しました。
メリル=ストリープふんする主婦が、病気の息子を病院に薬漬けにされ、高額な料金と副作用に家庭は崩壊寸前のところで、ある病院では食事療法で遥かに効果をあげ副作用もないと知り、転院させようとすると、薬信奉の主治医が反対し、民間療法をやる病院になんて行かせられないと妨害するという、実話に基づいた話です。 ご覧になったでしょうか。DVDがあります。
先生、その本については読んでないので私は評価はできません。
ただ言えるのは、代替療法・民間療法が否定されると、私にとって生きていく上で大きな楽しみ・期待の一つが失われるという事です。
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うなか
at 2010-08-10 23:04
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はじめまして。こんばんは。
私は”手当て”ってあるのではないかとシンプルに考えております! 田舎の個人医院で事務の仕事をしており毎日リハビリに来るMさんが(彼は90前後の方でしたが自転車でヒョイとやってくる方でした)待ち合いの長椅子で珍しく膝をさすって待ってます。 私「Mさんどうしたの?」 Mさん「ち〜と膝が痛くてのぉ〜」 私「そうなんですか?」と自然と膝をさすってあげておりました。 Mさんは私も大好きな人だったので思わず何も考えなく手が出てしまいました。 翌日も来院されたMさん 「お〜Nさん 治ったよ!」って ありえないです(笑) 私は調子が良くなったと思っただけでした。 業務が終わり院長に呼び出されると 「それが手当て」と一言、、、(一部始終を診察室から聴かれていたよう) 「お前はMさんが大好きだろ?Mさんの身体に変化が起きたんだ」と、、、 普段、孫も曾孫も遠くで生活しているMさんにとっては私は孫のように思いやり合い、普段誰も労ってくれない膝に触る(触診ではないですが)事に刺激を受けたんだと。 医療は万人に成果がないといけませんが、施術には別なアプローチがあると思い退職し勉強を始めました。
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n_shioya at 2010-08-11 11:30
アヤメ さん:
著者は代替医療を否定しているのではなく、科学的検証が必要だと言っているのですが、今はやりのエビデンス・ベイスト・メディシンの手法が必ずしもなじまないのでは、という考えがあり、ナラティブ・ベイスト・メデシンを主張する方もあります。
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n_shioya at 2010-08-11 11:31
valkyries さん:
民間療法そのものを否定しているわけではないので、ぜひご一読ください。
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n_shioya at 2010-08-11 11:32
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n_shioya at 2010-08-11 11:34
うなか さん:
だれがどう言おうと、“手当て”は医の基本とお考えください。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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