ノバルティス 希少難病CAPSの治療薬を国内承認申請 患者は数十人
公開日時 2011/01/28 04:02
ノバルティスファーマは1月27日、生後すぐや幼児期から激しい炎症を繰り返す希少難病であるクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)の治療薬としてカナキヌマブ(遺伝子組換え)を日本で承認申請したと発表した。10年8月にオーファンドラッグ指定を受けており、順調にいけば年内の承認が期待される。CAPSを適応症とした治療薬は日本にはなく、承認されれば国内最初となる。
CAPSは、炎症に関与するインターロイキン(IL)-1βが過剰に産生されることで起これるといわれ、40度にも及ぶ発熱や激しい関節痛が断続的に繰り返され、さらには聴覚や視覚の障害、骨・関節の変形なども引き起こすこともある。おおよそ100万人に1人の頻度で発症するといわれるが、国内で確認されている患者数は30~50人程度とみられる。CAPSはいくつかの病態の総称で、最も重度の病態には、ミクス本誌で断続的に取り上げてきたCINCA症候群がある。
同剤は、IL-1βと特異的に結合することで、炎症を抑える。8週間に1回投与する。海外ではすでにIrarisの製品名で欧米など17カ国で販売され2010年(1-12月)売上高は2600万ドルに上るが、日本には承認薬はなかったため「CAPS患者・家族の会」が国内で使えるよう厚生労働省に要請していた3つの治療薬の1つだった。厚労省は、開発の必要性の高い未承認薬と判断、昨年同社に開発要請。同社は要請前の09年から約20人の患者を対象に国内開発を進めていた。
症状は進行するため発症早期からの投与が必要とされるが、海外では投与は4歳以上と年齢制限を設けているケースもある。日本でどういう内容で申請したかについては開示していない。
同剤の適応拡大も進められており、日本と海外では2型糖尿病治療薬としての開発が進められている(日本:フェーズ2)。痛風の適応で欧州で承認申請中、米国でも承認申請予定の段階。全身性若年性特発性関節炎の適応でも海外で開発されているという。